後ろ髪引かれる思いで彼を1人家に残し、発った地元・福岡。東京での新入社員研修が始まった。この研修によって配属先が決まり、その配属先が福岡ではない限り、彼とは遠距離恋愛になってしまう。そうなってしまったらどうしよう?私のそんな憂鬱さとはお構いなしに、毎日の研修プログラムは淡々と進行していった。ところが、研修中にたびたび電話してくる彼の様子がおかしい。

私に質問ばかりしてくる。「一番好きな花は何?」だとか、「リリーにとって最高の朝ごはんは何?」だとか、「一番好きなラブソングは何?」だとか、「赤いバラと白いバラはどっちが好き?」だとか。とにかくわけのわからない、今さら何?って感じの質問を電話で話すたびにしてくるのだった。嬉しいこともあった。彼が今まで口にしなかったような言葉を言ってくれた。「僕が日本に来た理由はきっと、リリーに会うためだったんだ!」とか、「君がどこに配属されてもついていくから大丈夫だよ」とか、「もうフランスには戻らないって決めたんだ」とか。いやいや、ちょっと待て!その気持ちは嬉しいけど、一体何があったの?早く彼に会って確かめたかった。

母に電話で彼の話をした。

私:「彼が~とか、~とか言うんだよ。それに何かいろいろあたしの好みを聞いてくるし。何があったんだか…。」 すると勘の良い母はこう答えた。

母:「あんた、それってもしかしてプロポーズでもされんじゃない?」

彼が私にプロポーズ??まさか!ありえない。彼はフランスに帰る人だもん。

でも、もしそれが本当なら?・・・・ 迷いはなかった。私の答えは100%YESだ。私が神様に祈ったこと「できるだけ長く彼と一緒にいたい」っていう願いが叶うわけだもん。この母との会話がきっかけで、私は初めて「プロポーズされるかも?」と思った。

その後も彼のおかしな質問は続いた。ある日彼に東京で私の友人のS子に会うと言ったら、彼は言った。

「S子のメールアドレス教えて!」何で?とはあえて聞かず、彼女のメールアドレスを教えた。

そして予定通り翌日、新宿でS子に会った。心の中で「彼はS子に何てメールしたんだろう?」と思いつつ、大学卒業したてのピカピカ社会人1年生の私たちはこれから始まる仕事への意気込み、新人研修の内容、将来の不安などを話した。すると何の脈絡もなく彼女が聞いてきた。

S子:「ねぇ、リリー、指輪のサイズなん?」

私:「はぁ?知らんけど、何で?」(本当にサイズは知らなかったのでそう答えた。)

S子:「いやぁ~、あたし最近、何かほしいんよね。」

おかしい。はっきり言って、怪しすぎる!第一、私の知っている限り、彼女がジュエリーの類に興味があるようなことを聞いたことは一度もない。それに仮に彼女が本当に指輪がほしかったとして、なぜこの私にサイズを聞いてくる?いくら勘の鈍い私でも、あまりに不自然な彼女の質問のおかげで悟った。そして彼女に聞いてみた。

私:「それってもしかしてM.Sushi(彼)から、私の指輪のサイズを聞くように頼まれた?」

S子:「はぁ?いや、違うけど。」

そう言った彼女の表情を見て確信した(彼女は嘘が下手くそな憎めない奴だ)。間違いない、彼は私にプロポーズするつもりなんだ。それで今、福岡で1人、プロポーズ作戦を練っているんだ。それでS子にも協力してもらうつもりだったんだ。でも、どうしよう?彼は今サプライズを計画しているのに、先にそのサプライズに気づいてしまった!きっと私が驚く顔を楽しみにしてワクワクしているんだろうなぁ。S子にもこんな嘘をつかせてるわけだし、ここは私が全く何も気づかないって事にしておけば丸く治まる。よし、何も気づかなかったことにしよう。

東京での研修も終わり、配属先が九州に決まった。九州って、広すぎるやんけ!と思いつつ、私の乗った飛行機は福岡空港に到着。ゲートを越えると彼が迎えに来てくれていた。2週間ぶりに彼の姿を見た。たった2週間なのに何ヶ月も経ったかのように思えた。彼の前に立つと、彼は最初にこう言った。

彼:「ねぇ、目つぶって!」

なんだなんだ?と思いつつ目をつぶり、「OK」の合図で目を開けると、目の前に一輪のキレイなガーベラがあった。もちろん私が一番好きな花だ。わぁ!と感激してガーベラを見つめ、彼のほうに目を向けると、私がこれまで見たことないほど大きな花束を持って彼がそこに立っていた。わぁ!何これ!すごいたくさん!ありがとう!得意げに笑う彼が何とも可愛らしかった。

今思えば、これが彼のプロポーズ大作戦の幕開けだった。

[国際ラブストーリー6~「予想外」なプロポーズ大作戦]に続く・・・・

 東京研修中、同期とガストでお昼ご飯を食べていると彼から電話があった。「ちょっと待って!」と言って、咳払いをした彼。その後受話器から聞こえてきたのは、Stevie Wonder のI Just Called To Say I Love Youを歌う彼の声だった。こういうドッキリは実際されてみると嬉し恥ずかし!いとゆかし!

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3 コメント

  1. S子て…(笑)
    あの嘘の下手さはM.Sushiに
    申し訳なかったなぁ〜(笑)
    まだ社会人1年生だったあたしたち…
    懐かしいね〜(^_^)