私の旦那は日本語学習暦5年。日本語能力検定2級のフランス人である。彼がこれまで日本語学習のために買ったテキスト数、約30冊。それらを日本人が見てみるとなかなか面白い。今回は、外国人がどのように日本語を勉強し、どんな点が難しいのかをテーマにする。

これは旦那が日本に留学していた頃に使っていた教科書。日本人が小学校高学年で使う道徳の教科書のような内容の本。付属のCDを聞いてみると、「いやぁ、こんな話し方する日本人っていないんじゃないの?」ってぐらい本当にキレイすぎる発音が流れてくる。ネィティブスピーカーが聞くと、こう思ってしまうものなのかもしれない。

そして写真右が、旦那の字。はっきり言って、汚い(笑)。私はこれまで留学生の宿題を手伝ってきたので、外国人が書く日本語の字っていうのをよく見てきたが、旦那に限らず外国人が書く字っていうのは何というか、字のバランスが悪い。良く言えばかわいい字なのだが、子供のころからたくさんの日本語を書いてきた日本人とは明らかに違うクセがあると私は思う。

旦那曰く、外国人にとっては日本語のひらがなもカタカナも漢字も、どれも「絵」のように思えるそうだ。見本となる字を目で見て、覚える。日本人が小学校で習ったように、書き順まで丁寧に勉強する外国人は稀だから、大半の外国人が日本語を書くとなると書き順がめちゃくちゃだ。旦那が日本語を書くのを隣で見ていると、「おぉ!その線から始めてこんな字になるんだ!」とおかしな感激をしてしまう。

文字の話が出たので、ここで「漢字」について話す。日本語を勉強する外国人にとって一番厄介なもの、それが漢字である。私の旦那は日本語の日常会話のほとんどを理解できるが、もし私が普段話すことを紙に(常用漢字を混ぜて)書いたら、全く意味がわからなくなってしまうのだ。それほど「漢字」という文化のない外国人にとって漢字というのは、覚えることも見分けることも難しい文字なのである。私たち日本人は不思議なもので、どう読むかわからない漢字に出会っても何となく意味がわかったり、音読みするか訓読みするかを推測することができる。

それはなぜか?

これまで生きてきてたくさんの漢字に出会ってきているからである。漢字に対する「経験」とでも言うべきだろうか。当然ながら外国人にはこれがない部分であり、だからこそ日本語学習を難しくしていると言っていい。私たちが普段何気なく使っている漢字・・・。外国人にとったら、これを私たちと同じレベルまで理解できるようになるのは中々難しいのである。

 

次は日本語の文法の話。外国人の間違える日本語の文法は何とも「ビミョー」なものが多い。ビミョーというのは、どこがどう違うのか説明しづらい間違いということ。例えば、旦那から以前、“「~もらう」と、「~あげる」と、「~くれる」の動詞はどうやって使い分ければいいのか?”という質問を受けたが、うまく答えられなかった。

「えぇ~と。~もらうは(誰かに)~してもらうっていう意味で・・・。そんで、~あげるってのは(誰かに)~してあげるってことでしょ?で、~くれるてぇのは(誰かが)~してくれるってわけで・・・。」

ふー、やれやれ。説明している端からわけがわからなくなってしまった。正しく使い分けているつもりなのに、改めて「どう使い分けるの?」と聞かれたら、よくわからない。これ!っていうルールが見つからない。私、日本語力ないですかね?それでも旦那から、「リリー、ちょっと塩とってあげる?(塩とってくれる?の意)」と言われたら、やっぱり何かおかしいなぁと思うわけで。

 

それでは外国人はどうやって日本語の文法を勉強するのか?

これは旦那が日本のジュンク堂で買った、日本語検定2級のテキストである。このシリーズの「文法編」が、なかなか面白い。

例えば、この例文を見てほしい。

「日本人一般の考えからすると、彼の態度は非常識だと言われるかもしれない。」

この「~からすると」とは、どういう意味だろうか?あなたが外国人に聞かれたら何と説明しますか?

 

この本によると「~からすると」は、「~判断すると」「~を見て判断すると」という意味であり、形から見れば「Aからすると、B」。Aには「判断のもと、判断の理由・根拠」を入れ、Bには「話し手の判断」を入れる。文法的に言えば、「名詞+からすると・からすれば」ということになる。

ほぉ~。なるほど勉強になる。

こーやって、改めて説明されると「小さな発見!」だ。

私たち日本人が英語やフランス語などの語学習得に苦労するのと同じように、外国人にとっても日本語の習得は簡単ではない。でも、この事実を知っておけば、道端で英語で話しかけられてうまく答えられずアタフタすることもなくなるのではないか?と思う。彼らも同じく「勉強」している身。間違えることを気にしすぎず、どんどん話せばいい。そうやって互いに語学力アップができたら最高だ。

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7 コメント

  1. リリー側の話もおもしろいけど
    こうやって「外国人から見た日本」が知れる話っておもしろーい。
    私達が英語を勉強したいとき
    英語のテキストがあるように
    外国人が日本語を勉強するために
    テキストがあって当たり前なんやろうけど
    日本語のテキストがあるって、ちょっとおもしろい。
    でも自分が与えられる立場である「~もらう」「~くれる」はともかく
    「~あげる」は大丈夫やろう。笑
    ていうかM.Sushiよりうちの旦那のほうが字汚いw
    まあ日本語を書くのが難しいのは
    私らがデーヴァナーガリー文字(ヒンディー語)を書くのが難しいようなもん?
    赤ちゃんが本読んどる画像かわいい!

    • いや、日本語でも「外国人にわかるように」説明するとなったら、
      なかなか難しいものよ。

      ヒンディー語はよく知らんから、あんまり詳しいこと言えんけど、
      あれも要はアルファベットみたいにスペルを見れば発音がわかるものじゃないの?

      日本語の漢字はそうはいかないよねー。
      おそらく、感覚的には外国人が漢字を勉強するのと日本人がヒンディー語を勉強するのは似ているんだと思う。
      ちなみに旦那は「ヒンディー語より漢字のほうが難しいんじゃない?」って言ってた。

  2. こんにちは!

    どこからかこちらにたどり着きました。

    私は英語を20代の後半から勉強した経緯で(学生のときは全く興味がなくて・・)外国人が日本語を学ぶというものにすごく興味があります。

    普段私も何気に思うのですが、本当に自然な日本語を簡単に使えるのはなぜかなぁ~って。

    逆に私などは、いつまで英語を勉強していても「自然な英語」というものがいまいちわからず、たぶん話しても書いてもどこかへんちくりんだと思います。

    それが外国人としての自分の愛きょうになっているかも知れないけど、日本人の自分にはその向こう側からの感じもわからない。。

    一時は

    「正確な英語を!」

    習得したいと意気込んだものです。だって、外国人でも日本人と変わらない運用能力を持つ人がいるなんてちょっと悔しいですもん?

    でもいまだにそれを実現させていませんが、それをするためにどうすればいいのかなぁと途方に暮れるのですが、やはり私たちが漢字を感覚でわかるようになるくらいとにかく

    正しいものに触れる(話す・書く・読む・聞く)

    というのの積み重ねでしかできないのでしょうね。

    そしてそれをしているうちに出来るようになる!?

    まだ実現できていませんが、仕事で多忙でできない!と言い訳をするよりも、多くのものに触れる時間を積み重ねたいと思います。

    長々とすみません!
    文章が生き生きとしていてとても面白い内容だったので書き込みしたくなりました。

    よかったらショップ見てみてくださいね♪

    ありがとうございました。

    • アコチャンズ。店長さん、こんにちは。

      語学はやはり、正しいものに触れて知識をしっかり習得しつつ、「練習」を重ねるしかないなぁ~と
      旦那を見ていて思います(自分の経験でもありますが)。
      近道はない。地道に続けるしかありませんね。

      あと、旦那が言うに日本のドラマが自然な英語を身につけるのには1番だと言っていました。
      確かにドラマに出てくるのは日常私たちが使う自然な日本語ですよね。それに1番いいのは、
      そのセリフをどのような気持ちで言うのか?を学習できるところ。
      これは、英語の場合(海外ドラマ)にも言えることかもしれませんね。
      私もフランス語学習者です。一緒に頑張りましょう♪

      • マダム・リリーさま

        お返事ありがとうございました。

        ドラマ、やっぱりいいのですね。
        あー、でも早口で!(笑)

        あんな風にスラスラとよどみなく言葉が出たらいいなぁとぼーっと見とれているうちに話が終わってしまったりしますが、ぜひ取り入れてみようと思いました!

        興味深いお話がたくさんありそうで嬉しいです。

        ゆっくり拝見していきますね。

        ありがとうございました!

  3. こんにちは。興味深い記事を読ませていただきました。

    今私は高校生なのですが、学校の学習で「日本語を分かりやすく教えられるテキスト作り」というものをやっています。

    初めは交換プログラムで来ていた同年代のフランス人の子に感化されました。

    彼女達は日本語を勉強して日本に来ていましたが、それでもやはり難しいものはあるのだそうです。(始めて2、3年だそうなので、当然だとも思いますが)
    フランスでは日本語学習者が増えていると聞き、テキストや参考書をいろいろ調べてみたのですが…

    その中で「もっと分かりやすいのはできないだろうか」「言語を勉強している人の目線から作ったら、もっと面白いものができないだろうか」と思い始めました。

    目標は初心者の子も飽きさせないで、学習を楽しめる手伝いになるテキストを作る事です。

    自分のことばかり長々とすみません。
    他の記事もとても面白かったので、一つ一つ丁寧に拝見させていただこうと思います。また、質問などをするかもしれませんが、その時はよろしくお願いします。

  4. 日本語教育に長年携わってきたものです。
     いきなり本題に入りますが、「してもらう、してあげる」のところを読んで思ったのは、この不都合については、つまり、旦那さんの「間違い」のもとは、主格(〜が・は)や対格(〜を)の省略についての理解と発話のトレーニングが不足しているようだということです。ここに紹介していただいた内容だけによる判断ですが、次のことが考えられます。仏語(や英語)ならば、代名詞をいれるべきところを日本語では(文脈上自明であれば)省略してもよいという運用規則が適用されます。ネイティブの日本人なら意識しなくてもできることなので、奥様のように外国人用の教科書を見てはじめてその仕組みを知ることです。
     日本語学校の教師も、ついこういったトレーニングをおろそかにしてしまいがちなのですが、ちゃんとした教師がいるところでは、省略を意識しないせいで生じる間違いを未然にふせぐための口頭練習を初級段階でしっかり行っております。
     独学の方の場合は、読解教材に取り組むときに、母語(旦那さんの場合は仏語)に訳して理解するときに、省略されている主格や対格が何を指しているのかはっきりさせる練習をすると効果的だと思います。使役「させる」使役受け身「させられる」敬語の謙譲語と尊敬語の使い分けにも、こういった初級レベルでの理解とトレーニングが効果的です。(たとえば、「させてもらう」、と「させられる」の気持ちの違いなど)
     そのうえで、アウトプット、話すとき、書くときにも、何を省略したか意識できるようになると、文法的正確さが増すと思います。語彙力は初級以上の方だと思いますから、それを生かすためにも、(お嫌かもしれませんが)初級段階の積み残しを復習し、使う練習をなさることをお勧めいたします。できることが多いなかでのブラッシュアップですからさほど苦労はしないはずです。
     繰り返しますが、記事内容だけからの判断ですので、見当違いがあるかもしれません。ご参考までに。
     わたしは、言語が違う人のあいだでのコミュニケーションは、文法的正確さよりも、互いに協力してコミュニケーションしようという協力の方が大切だと考えております。それがあれば少々の文法的におかしな表現があっても問題にはなりませんから。しかしながら、細かい気持ちを含め、第二言語で伝えようとするときには、やはり文法を理解し、身につけ、適切に表現するトレーニングが必要です。