プラネットスシ店内

 日本食ブームから30年~フランスの寿司が面白すぎる件では、フランスお寿司は「何じゃこりゃ!」と突っ込みたくなるような代物の数々と日本食ブームの歴史に触れたが、現在のフランスでの寿司の位置づけはどのようなものだろうか?今後もフランスで寿司ブームは続くのか?寿司業界発展への不安要素は何か?フランス最大の報道機関、フランス通信社(AFP)の最新の記事を翻訳した。

フランスレストラン業界~しかし寿司レストランは未だ外食消費の過半数を占めておらず

15年前、寿司レストランはひっそりとフランスにあるハンバーガーショップの店舗数とほぼ並んだ。しかし、寿司レストランの売り上げは外食産業全体の5分の1に過ぎない。専門家はこの1口サイズのご飯と生の魚が業界の売り上げの過半数を占めることはないと見ている。

ジラ・コンサルタント専門調査会社のリサーチによると、フランス国内には1750店舗のファーストフード店がある。それに対して寿司レストラン店舗数は1580。調査によると、日本食レストランの年間売り上げは8億6千400万ユーロであり、ハンバーガー店の年間売り上げは450万ユーロである。

寿司はエリート主義、高級、ターゲットを絞った商品

「回転率の低い店舗はごくわずかである。」

そう語るのはジラ・コンサルタント会社社長、ベルナルド・ブドブル氏。しかし彼はこうも続ける。

「寿司はエリート主義、高級、ターゲットを絞った商品である。」

彼は寿司の発展と成長への妨げとなりうる要因を強調。

それは商品そのものにあるという。生魚というのは食の安全と価格を懸念する一部の消費者にウケないという見方だ。

「寿司はハンバーガーやサンドウィッチのようにメジャーな商品にはなりえない。」

ベルナルドは予測する。日本のマグロは注目されている

彼はマグロ絶滅への脅威に関する環境懸念はその要因として触れていない。というのも、この絶滅種(タイセイヨウクロマグロ)は日本で大半を消費されているものであり、フランスではごく一握りの高級レストランでしか提供されていないからだ。

別の視点から捉えると、寿司は健康に良く、食べやすくて冷たい食べ物であることから、お持ち帰りや宅配に適した食品である。

“生”が歯止めをかけることにはならない

フランスにある寿司レストランの大部分は独立事業であり、90年代にブームとなったネム(春巻き)を捨て、より儲かる寿司店に転向した“元中国料理店”である。

しかし突如こつ然と現れた“スシ・ショップ”、“プラネット・スシ”、“スシ・ウエスト”などの寿司チェーン店は2010年末までに合計で132店舗にのぼる(年間売り上げ1億4千万ユーロ)。今後は寿司のフランチャイズも発展していくだろう。

プラネット・スシは現在までに30店舗出店(うち10店舗はフランチャイズ)、来年には新たに40店舗をオープンすると発表している。プラネット・スシの経営者であるシベン・エンサー氏は250店舗までネットワークを広げることが可能であると見ている。

「しかしそれでもフランス国内に1200店舗もつマクドナルドのようにはならない。」

シベン氏は相対化して述べる。

彼は「“生”が歯止めをかけることにはならない」とみているようだ。その根拠として、フランス人はステーキタルタル(生肉ミンチステーキ)の主要な消費者であり、ビストロ・ローマンのようなチェーン店は特にカルパッチョ(牛肉の刺し身のようなもの)の食べ放題によって大きな売り上げを上げているからだ。

ステーキタルタルビストロ・ローマンのカルパッチョ

市場はピークに達している

スシウエスト(フランス国内20店舗)の創設者であり、経営者でもあるローラン・ブコブサ氏は寿司を“エリートな商品”として認める一方で、数多くの寿司チェーン店の開業により、“エリート主義”が時代遅れとなっていると指摘。

「最初のコース料理、アントレ・プラ・ボワッソン(魚の前菜)は10ユーロ以下です。」スシウエストのランチメニュー、9.5ユーロ

彼はそう強調し、ファーストフード店の平均消費価格が7ユーロであり、ブランジェリー(お手頃価格のレストラン)での価格が4ユーロであると比較する。

寿司店の成功の秘訣は宅配にある。売り上げ全体に占める宅配での売り上げは、プラネットスシで50%、スシウエストでは70%である。これと対抗馬になりうるものはピザのみであると専門家は強調する。

スシウエストの経営者によれば、スシの消費者の大半は大都市圏からくるものであり、インテリ職業に就く45歳以下が多い。しかし彼らが外食に行く頻度は1か月に1回であり、この寿司愛好家をより誘い込むため、寿司チェーン店はどこも新たな策を導入している。

「多くの小さな寿司レストランが同じネタで、バラエティーのある商品を開発、提供しています。市場はピークに達しているのです。」

この先、寿司レストランのメニューを広げるとそこには、サトウダイコンで着色されたピンク色のシャリだったり、ネタがフォアグラになっていたり、トリュフやマンゴーのソースがあしらってあったりする寿司が載っているのかもしれない。

余談だが、年度末に日本に帰国した際に1人でお寿司屋さんに行った。そこの大将と寿司の話で大いに盛り上がったのが、大将曰く、「日本では寿司の敷居が下がり、老舗が潰れていっている」そうだ。手頃においしいお寿司が食べられるのは嬉しいことだが、寿司の本場である日本で歴史あるお店がなくなってしまうのは何とも寂しい。

↓テレビ東京でも放送されたプラネット・スシ


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