【海外生活者インタビュー第1回】 「日本人としてきちんと働くことが新たなチャンスに繋がった」綾子さん(27)
海外で働く人、結婚する人、子育てする人、学ぶ人にはそれぞれいろんなドラマがある!海外で頑張る日本人のドラマを「これから海外に行こう」と考えている人に伝えたいと思い、海外在住者にインタビューしていきます。第1回目の今回は、新卒でフランスのホテルに就職した綾子さん(27)にこれまでのいきさつを聞いてみました。ニースという土地で仕事を見つけ、外国人と働くにはどういう心構えが必要なのでしょうか。

 

-綾子さんが最初にフランスに来たのはいつですか。【海外生活者インタビュー第1回】 「日本人としてきちんと働くことが新たなチャンスに繋がった」綾子さん(27)

綾子 父がヨーロッパへの出張が多いのもあって、子どもの頃からよくヨーロッパに旅行に来てました。当時からフランスはきれいで好きでしたね。大学で外国語を専門に学ぼうと思った時、英語ではない他の言語を学びたいと思うようになり、フランス語を専攻して大学2年生の時にニース大学へ留学しました。

-日本人のあまり多くないニースという土地でどのように仕事を探しましたか。

綾子 まずは履歴書(CV)とモチベーションレター(Lettre de Motivaton)の準備から始めました。私はフランス語だけではなく英語も活かせる観光業でのお仕事を探していたのですが、とにかくこの書類作りには時間をかけましたね。インターネットで調べたり、人にも聞いたりして。フランス人って履歴書も割と大げさに書くんですよね。英語が話せるっていうのも、日本人相手だと「あまりできない」とか「会話程度なら」っていう感じで控えめに言うけど、フランスでは日本の“謙遜”はあまりよく評価されないんです。私もこれまでにフランス人に「自分の評価を下げるような発言はしないほうがいいよ」って何度もアドバイスされてきました。謙遜の文化で育った日本人がフランスで仕事を探すなら、履歴書もフランス流に書かなくてはいけません。まずは、フランス流の履歴書の書き方から学びました。

そうやってできた履歴書とモチベーションレターを目ぼしい会社に送りました。日本では求人のある会社に履歴書を送るっていうのがルールですが、フランスではアノンスが出ていなくても、自分で働きたいと思う会社の住所を調べて送るんです。全部で30社くらいに送って、4社から面接の案内が来ましたね。

-履歴書を送ったり、面接に行ったり、不安はありませんでしたか。

綾子 面接はとても緊張しました。でも、私は外国人だし、ダメでもともと、断られても気にしない!と思ってぶつかっていきましたね。実際、今の仕事では日本語を話す機会があまりないので、採用の時に日本人だから有利になるっていうことはないんです。フランス人と互角でやっていかなきゃならないから、最初から「断られたらどうしよう」なんて考えていられないです。当たって砕けろ!の精神で、自分は外国人なんだからと少し開き直ってましたね。

【海外で暮らす人インタビュー第1回】 「日本人としてきちんと働くことが新たなチャンスに繋がった」綾子さんのケース
インタビューに答えてくれた綾子さん

-履歴書を送ってから2か月でホテルのフロントとしての採用が決まった綾子さん。そのホテルはどんな所でしたか。

綾子 オーナーが一番感じが良かったので、このホテルで働くことに決めたのですが、とにかくいろんな国籍の人がいましたね。フランス人はもちろん、アメリカ、ベルギー、セルビア、イタリア、モロッコ、アルジェリア、レバノン、ポルトガル、セネガル、スペイン…etc. 初日はすごく緊張しましたが、ゆっくりと丁寧に教えてくれたベルギー人の同僚のおかげで頑張れました。人種のるつぼのような環境で、宗教や考え方の違いから大変なこともありましたが、同時にとっても面白かったです。

 -色んな国の人と一緒に働くうえで、綾子さんが気をつけていたことはありますか。

綾子 違う国の人と仕事をする場合、相手の文化を尊重し、決してけなさないことが一番大切だと思います。相手の言語を知ろうとするだけで、ぐっと距離が縮まります。例えばアラビア語で「おはよう」ってなんて言うの?と質問してみて、次からその人に会った時はصباح الخير(サバーヒルヘイル)と言ってみるとか。相手のテンションが上がって、とっても喜ばれます。

それと外国人が海外で働く場合、その理由は人によって様々なんです。フランスにいる理由も人それぞれ。時間があって何もすることがないから働く人もいれば、生活に切羽詰っている人もいる。自分のスキルアップのために働く人もいれば、1€でもいいから多く稼ごうとする人もいる。色んな文化が混ざるから、たまにチップで揉めてギスギスした感じになることもありました。私が気をつけていたことと言えば、文化が違うという環境にいても「最低限の礼儀はちゃんと守る」ということですかね。

きちんと働く。やるべきことはちゃんとする。そういった日本人らしさを忘れないことが大切だと思います。

たまに海外生活が長い日本人で完璧に現地人化しちゃってる人に会いますが、私はこれってすごくもったいないなと思います。フランスで働く日本人でも、フランス人化して無愛想な接客をする人もいますが、私は海外でも日本人らしさを忘れない人に好感を抱いちゃいますね。それに、この日本人の勤勉さや真面目さは他の国の人にも高く評価されていると思うんです。実際、私も「きちんと働く真面目さ」が買われて、よりグレードの高いホテルにヘッドハンティングされました。日本人としてきちんと働くことが新たなチャンスに繋がったんだと思います。私が思うに、日本で真面目に働いた経験がある人は世界のどこへ行っても重宝されるのではないでしょうか。

-最後に、これから海外での就職を目指している日本にいる人たちに何かアドバイスできることはありますか。

綾子 現地の情報を細かにチェックすることが大事だと思います。住む場所や税金、仕事など、海外で1人で自立してどうやって生活していけるのか?どうして(何をして)フランスに住みたいのか?具体的なビジョンをもつためには、現地に国際電話してでも、情報収集することが必要です。何も知らないで海外に来ちゃうと、期待と現実のギャップで苦労してしまいますから。実際、これで労働ビザがおりなくて帰国する羽目になる人も多いです。それとこれは当たり前ですが、語学力は絶対に必要です。私の場合は、フランス語に加えて英語力もあったことが、仕事探しの際に役に立ったと思います。

 

今後はホテル以外の業種にもチャレンジしていきたいと語る綾子さん。日本人らしさを忘れないことが大切だと語る彼女は、控えめながらも芯がとてもしっかりした女性だった。日本人の少ないニースという土地で、今日もいろんな国の人に囲まれて働く綾子さんの今後の活躍に期待したい。 

綾子(あやこ)

1985年生まれ。某大学外国語学部仏語専攻卒。大学2年次にニースへ留学する。留学中に知り合ったポーランド系フランス人と2年間の遠距離恋愛を経て、23歳の時に結婚。現在はニースにある4つ星ホテルのフロントとして働いている。

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1コメント

  1. すごいなぁ。向こうで働いてる日本人って大抵は国際的な企業やブランドショップの店員だったりするけど、ホテルフロントとは珍しい。
    私も無理に現地通ぶるのをやめて(良い意味で)日本人らしく振る舞うようにしたら上手くいくようになった憶えがある。何より、気遣いとかきっちりやったほうが自分にとっても気が楽だった。