日本では街のそこらじゅうに設置してある自動販売機。なんで日本にはこんなに自販機が多いのだろう?と疑問に思ったことはありませんか?世界の自動販売機数を見てみると、絶対数ではアメリカ合衆国が一番多いですが、人口や国土面積を勘案した普及率では、日本が世界一です。それでは、日本が世界で自販機普及率ナンバーワンになった理由とは一体何なんでしょうか。そして反対に、なぜ海外では自販機が増えないのでしょうか。そこで今回は、日本で自販機が多い理由を8つご紹介します。

 

1. 治安の良さ

なぜ日本は世界でいちばん自動販売機が多いのか?海外との8つの違い

日本で自販機が設置できる理由のひとつに、治安の良さが関係していると考える人が一番多いようです。自動販売機窃盗は加害者から被害者の顔が見えないため、心理的な障壁が低いといいます。自動販売機が荒らされる危険性が高いというのが、海外での自動販売機の普及を妨げる一つの要因であり、逆に日本はとても治安が良いため、こんなにたくさんの自動販売機を設置することができたのだと思います。その証拠に、アメリカでは鉄格子で囲んだ自動販売機があるそうです。

ちなみにフランスでは、人が集まる場所(観光名所や公園)にミネラルウォーターやビールを手売りで販売している人がいます。スーパーで買ったペットボトルの飲み物を氷をはったバケツに入れて売り歩くという方法ですが、ほとんどの場合が無許可で販売しているそうです。フランス語で“vendeur a la sauvette”と呼ばれている彼らですが、バックにマフィアが絡んでいるために警察の取り締まりが難航しており、社会問題となっています。このような状況下でパリの街のそこらじゅうに自動販売機が設置されるようになれば、こういった手売り販売の人は黙っていないのではないかと思います。暴動や窃盗事件が起きる可能性があることは誰の目にも明白ではないでしょうか。

 

2. 人口密度

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日本は1960年代の高度経済成長期以降、過疎化が進んでいる国です。世界的に見ても人口密度の高い東京や大阪など、狭い土地に多くの人が集まる場所が多いのが特徴的です。人の移動が多いこのような都市部は、まさに自動販売機の設置に最適な場所です。採算性が見込めるTPOシーンが多い日本だからこそ、今日まで自動販売機業界が発展してきたと言えます。東京に旅行に来た外国人は渋谷のスクランブル交差点の人混みにとても驚きますが、海外の人から見て異様に映る日本の人混みがあったからこそ、自動販売機に需要が生まれたのではないでしょうか。

 

3. テクノロジーの発展

 

 自動販売機の発展に最も貢献した要素と言えば、日本の高い技術力です。世界に誇れる日本のものづくり精神があったからこそ、自動販売機が日本人に愛されてきたのだと思います。というのも、海外の自販機には「お金を入れる」、「商品がでてくる」、「おつりが返ってくる」などの基本的な機能すら働いていない場合があるからです。筆者もよくパリの地下鉄を利用しておりましたが、駅の自販機で飲み物を買うのをためらったことが何度もあります。その理由は、パリの自販機に対する信頼がないからです。パリの自販機は、お金を入れてもうんともすんとも言わない場合や、商品のボタンを押しても出てこないことが度々あります。お釣りが返って来ないこともしょっちゅうで、自販機の前でブツブツ文句を言っている人を見かけることもよくあります。反対に、実際よりも多くのお釣りが返ってきて喜ぶ人を見かけることもあります。このようなポンコツ自販機が多いため、海外では自販機ではなく少し歩いてでも売店で買おうと考える人が多いわけです。

また、自動販売機に紙幣を入れられないことも海外の自販機での購入を妨げる要因となっています(しかし実際に紙幣が使えたところでお釣りが返ってくるかもわからない自販機では誰も紙幣を入れようとは思わないでしょうが…)。

このように信頼のおけない自販機では利用者が減ってしまうのは確実です。日本のメーカーが消費者が安心して購入できる自動販売機を作りあげたこと。これが自販機の普及に貢献したことは間違いありません。

 

4. 日本人は忙しい

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日本を訪れた外国人は朝、駅を急いで歩く日本のビジネスマンを見て「みんな歩くのが速いね!」、「徒競走をしているみたいだ」と言って驚きます。確かに筆者もたまに日本に帰ると、街ゆく人の歩くスピードが速くて感心することがありますが、やはり日本人他の国の人に比べて忙しいのではないのかと思います。味の素による調査によると、東京のビジネスパーソンの平均睡眠時間(5.6時間)および睡眠満足度は、世界主要国のなかでも最低だといいます。電車の中で寝ているサラリーマンなどを見た外国人は、「電車で寝なくちゃいけないほど忙しいのか!」と思うようです。

ワーキングホリデーなどで海外に行った日本人は、海外では日本のように時間に追われることがなく、時間がゆっくりと流れると感じる人も多いようです。このように、1分1秒を惜しむような忙しい日本人にとっては、単なる水分補給のために売店やカフェに入るよりも、自動販売機で飲み物を買う方が時間を短縮できて効率的です。まさに、自動販売機は街を行きかう忙しいサラリーマンの味方だと言えるでしょう。

 

5. 夏季の蒸し暑さ

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 なぜ海外では自販機が普及しないのか。それは生活していて自販機の「必要性をあまり感じない」というのが大きいのだと思います。日本よりも寒い気候の国では、そこまで「のどが渇く状況」がありません。

日本で最も飲料自動販売機が必要になるのは、蒸し暑い夏です。実際に、自販機の売り上げは夏にピークとなり、冬になると夏の売上の半分まで下がるのが一般的だと言われています。毎年、猛暑には熱中症で倒れる人もいるため、国全体でこまめな水分補給を呼びかけています。日本の夏ほどの蒸し暑さは、世界主要都市の気候にはあまりみられないものです。日本では自販機が夏に外出するときにはなくてはならないものとなっていますが、日本の夏の暑苦しさが自販機の売り上げと普及に貢献していることは間違いありません。

 

6. 自販機無償貸出し

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 自動販売機が店頭におかれるようになった当初、設置店舗側はメーカーから自動販売機自体を買っていたといいます。しかしこれでは、あまりにリスクが大きく、自販機の普及は当初鈍かったそうです。しかし、飲料メーカー数社が無償での貸し出しを決定し、小売店の店舗に置くようになると事態が一変しました。これにより、初期資金が必要ないのでリスクを負う必要がなく、店頭に自動販売機を置く小売店が急増しました。設置台数は爆発的に増え、自動販売機業界内の競争が激化しました。競争のなかで、自動販売機の商品開発が何度も行われ、飲料メーカーも次々と新しい商品を販売するようになり、現在に至っているといいます。

 海外にある自動販売機との品質的な違いは、無償貸出しによる競争激化によるものではないでしょうか。日本の自販機は新製品などが一目でわかりやすく、商品陳列も明るくて、自販機の前を通りかかった時に飲み物を買いたくなってしまいます。反対に海外の自販機は照明も暗く、何となく購買意欲がわきません。

 

7. デモが少ない

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 自動販売機の設置には様々な問題が発生する可能性を含んでいます。自販機の設置に反対する人もいるかもしれません。例えば、自販機を置いたら空き缶のポイ捨てが増えて困るという人や、自販機自体が電気の無駄遣いだと思うエコロジスト、自販機によって景観が崩れることを嫌う町の人などです。海外だったら、このような自販機設置反対派の人は強固な抗議行動にでるかもしれません。日本のデモは諸外国に比べて非常に穏やかであり、参加者自体が欧米諸国に比べて非常に少ないので混乱もそれに応じて少ないそうです。日本では警備が非常に厳しく、デモ隊より警備の警察官の方が多くなることもしばしばあり、さらに警察官がデモ隊をぐるりと包囲する形で監視していることもしばしばみられるため、事前計画を超えることが難しく、極端な参加人数を集めにくい傾向にあるといいます。

つまり、デモの多い諸外国に比べ、日本では国や地方自治体が何か新しいことを始めても厄介なことになりにくい国だといえます。現在、日本全国そこらじゅうに自動販売機があるのは、日本がデモの少ない国だからこそできたことなのではないでしょうか。

 

8. 高度経済成長

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 日本人が初めて自動販売機に親しみをもち始めたのは何がきっかけだったのでしょうか。自動販売機が日本社会に広く普及したのは1960年代以後。特に1967年に国鉄が合理化の一環として、都市部における近距離乗車券発行用自動券売機の全面的な導入に踏み切ったことが、大きな影響を与えたといわれています。庶民の足であった国鉄は、老若男女を問わず様々な年代の利用者を持っており、この国鉄に券売機が導入され、自動販売機の信頼、親しみが向上した。

また、国鉄で自動券売機を導入した1960年代の日本といえば、高度経済成長期真っ只中です。この時代、映画「ALWAYS 三丁目の夕日」で登場するように、集団就職(田舎から都市圏へ大人数の就職)が行われ、都市圏へ人口が流れるようになりました。増えた都市圏の人口は単身者、核家族が主となり、「核家族時代」、「個人の時代」へと社会が変化してきました。自動販売機といえば、まさに個人の消費に適したシステムです。個人消費をメインターゲットとする自動販売機と高度経済成長で「個人の時代」へと突入した時勢が合致したことにより、自販機の需要が高まったといえるのではないでしょうか。

 

まとめ

私が日本に帰国するたびに、密かに楽しみにしているのは「自動販売機で新商品のジュースを買うこと」だ。自販機のジュースを飲んで、「あぁ帰ってきたなぁ~」としみじみ思うこともある。

今回、海外と日本の自販機の違いを調べてみて、自動販売機というのは、日本人の国民性や習慣、社会、経済など様々な要素を反映したものだということがわかった。私たち日本人がいつでもどこでも好きな飲み物を買えるのは、自動販売機が売り出された時期や日本のものづくり技術などのおかげだ。

そういった意味では、自動販売機は「日本」を集約したような機械なのかもしれない。だから海外生活をする日本人は、自販機で飲み物を買うという行為にどことなく故郷の懐かしさを感じてしまうのだろう。

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7 コメント

  1. この考察は面白い。
    正直記事を見るまでは最初の治安の良さくらいしか頭に浮かばなかったが、
    なるほど読めば色々あるものだなと感心した。
    良い記事を読ませていただいた。

  2. 治安・テクノロジー・信頼性(アフターケアー含む)・ごみ問題(リサイクル含む)どれをとっても外国と日本は全然違うからね。
    そもそも日本は環境保全(ゴミ分別や処分)やリサイクル大国なのだが、反日活動家の脳内じゃ劣等国扱いで「バカみたいにペナルティー料を中国に収める用に煽ってる」=京都議定書の内容は中国にペナルティー料を収める愚かな条約。
    よってアホ臭いのでカナダは脱退し、USAは当初から加盟してない。
    そもそも二酸化炭素の排出量が地球温暖化の原因ではないと国際学会で明らかになっているのも付け加えておく。
    興味があれば如何にマスゴミが嘘ばかり吐いてるか、ECOビジネスの欺瞞も含めて少し調べると色々解る事が多い。ハイブリッドも燃費が良いと言ってるが、電池生産や同型の非ハイブリッドと総合支出やCO2排出量(生産や交換部品)を考えると全然ECOじゃないのが解る。そういう欺瞞に満ちてるのを知らないってのも罪過ぎる。

    自動販売機に関しても日本は少し過剰にあり過ぎるのは否めないと思う、価格も補充人件費や冷温代で高めの設定で100円ショップに押されてるのを見ても直ぐに解る事実だと思ふ。

  3. 東京で起きた自販機荒らしの話を聞くと悲しく感じる
    家から少し歩けば自販機にたどり着くのが当たり前な国なんて、世界でも希少で素晴らしい事なのに

  4. 日本のテクノロジーが凄いというか外国では日本ほど自動販売機は普及してないから力いれてつくるメーカーが少ないってだけだな。自動販売機自体は先端産業とかと比べればローテクな分野。火星に無人探査機飛ばしてるような日本より遥かに総合的科学技術力あるアメリカの自動販売機もボロいしね。

  5. 飲み物類は、自動販売機で買うよりスーパーで買った方が安いですよ
    100円ショップやドラッグストアもお勧め
    まあ、私は自分で淹れたお茶を飲むので滅多に買いませんけどね

  6. コインが。
    500円、100円、50円、10円、1円もあるけど。
    自動販売機には便利だ。
    なかなか、高額コインは世界中で無いでしょ。