日本で生活し始めたばかりの外国人が最初に苦戦することいえば、ごみの分別。「何をどこに捨てればいいのかわからない」、「ルールが多すぎる」など、外国人にとっては日本でのごみの分別は厄介で難しいという。

日本で生活する人は誰でも、市役所が交付するゴミ分別のガイドラインに従ってゴミを捨てる。「燃えないゴミ」「燃えるゴミ」「紙」「ビン」「缶」「金属」などの資源ゴミや生ゴミ、プラスチックなどに分け、それを種類ごとに異なった色のゴミ袋に入れ、指定の日、指定の時間に捨てなければならない。間違った日に間違ったゴミを出せばゴミを持っていかれなかったり、住人の元へ送り返されることもある。


日本はゴミ捨てに関するルールの細かさや厳しさでいえば、世界トップクラスである。これほどまで厳しく、これほどまでに多くの国民が素直にルールを守っている国は他にはないのではないだろうか。

それではなぜ日本はこれほどまでにゴミ分別に厳しい国となったのだろうか。そこで今回は、日本のゴミ分別の歩みと海外ゴミ事情との違いを4つ紹介する。あなたは日本のゴミ分別事情についてどう思いますか。

 

 1. 1990年代

なぜ日本は世界一ゴミ分別に厳しい国なのか?海外との違い4パターン 日本でゴミ減量化の必要性が認識されるようになったのは1990年代。ダイオキシン問題が大きくクローズアップされ、規制が進んだ時代である。それまで可能であった家庭の焼却炉でごみ処理を禁止され、ごみ処理の仕方に注目が集まった。そこで当然議題に挙がったのが最終処分場の減少問題。増え続けるゴミをどのように処分するのか、最終処分場の確保は現在でも自治体にとって大きな問題となっている。

またこの時代は1997年の京都議定書により、温室効果ガスの総排出量を削減することが取り決められれるなど、国全体がこれまでの大量生産、大量消費から「エコ」へシフトした時代といえる。1990年代なくして現在のごみ分別はありえないほど、社会のゴミに対する見方が変わり、国民の価値形成が行われた時代だ。

 

2. ルールに厳しい国民性

ごみを減らすべきだということは、世界中の誰もが知っている。しかし、日本人ほど律儀にルールを守っている国は他にはないのではないだろうか。ヨーロッパやアメリカなどの先進国でも、一応はゴミを分別している。しかしゴミの分け方は日本ほど細かくなく、「普通のゴミ」と「リサイクルできるゴミ」の2種類しかない。さらに、こんなに簡単に分別できるにも関わらず、「リサイクルできるゴミ」を「普通のゴミ」用の箱に入れてしまっている人も少なくない。


それではなぜ日本人はややこしいゴミ分別をやってのけるのか。それは、日本人がルールに厳しい国民性だからである。欧米人は例えルールがあっても、「誰にも見られていなければ良し」という行動に出る人が多いように思う。一方日本人は、誰も見ていなくても常に他人の目があるものとして行動する。日本ではルールはルールであり、ルールを守らない人は”常識のない人”だと思われてしまう。日本人がルールを真面目に守れるのは、集団主義社会特有の「他人の目」の恐怖が背景にあってこそではないだろうか。

 

3. 過剰包装

ごみになる前の段階で、日本と海外の違うところと言えば「包装の仕方」である。日本を訪れた外国人は「日本は何でも過剰包装しすぎ」だと言うが、確かに日本の商品(特に食品)は海外に比べて紙やビニールなどを使って何重にも包装しているものが多い。

以前、日本のテレビ番組でフランスでバゲットを買うと紙一枚でしか包装しないので不衛生だと言っていたが、世界的に見るとフランスが不衛生なのではなく、今の日本が過剰に包装しているだけなのかもしれない。日本人はきれい好きな人が多いと言われているが、この日本人のきれい好きが過剰包装に繋がっているのではないかと思う。清潔でありたいから過剰に包装し、ごみが増え続ける。包装の数も種類も諸外国に比べて多いため、分別して捨てることが必須になってくるのではないだろうか。

 

4. 細分化するほどエコという教え

首都圏でゴミ処理業を営む白井グループの白井徹社長は言う。なぜ日本は世界一ゴミ分別に厳しい国なのか?海外との違い4パターン

「廃棄物の処理で一番お金がかかるのは物流です。全体の7割が物流費で、中でも最初にゴミを集めるところが最大のコスト要因になっている。分別をやめた方がいいとは断言できませんが、分ければ分けただけトラックが走り回って物流費がかかる、CO2をまき散らす、という面があるのも事実です。

  地域によっては、ペットボトルなど燃えるゴミにした方がいい場合もあります。」

欧米のように2種類の分別ではなく、日本のように細分化したほうがエコだと思っていたので、これは意外だった。白井社長曰く、多くの人がこのような間違ったモラルに支えられてリサイクルをしているのが現状らしい。

ペットボトルの周りのシートを剥がしたり、書類のホチキスの針をわざわざ取って分別するなどの「面倒なこと」を誰もが面倒くさいと思いながらやる。自分がそうするから、出来ていない他人に厳しくなる。

しかし、実際はそうして努力して分別したゴミ処理の仕方が環境へ悪影響を及ぼしている可能性もあるのだ。

まさに本末転倒。日本のゴミ分別の厳しさは、環境への配慮という本来の目的とは違ったところで空回りしてしまっているのが現状なのかもしれない。

 

参照:JBPress


10 コメント

  1. なるほど。わたしの印象は逆でしたね。日本に引っ越してきて、ゴミ分別が簡単だなと思いました。前にドイツに住んでいましたから、日本よりだいぶゴミ分別が細かく、ルールも多かったです。
    最近10年ぐらいで日本でもルールが増えてきたんですけど、実は地域によってゴミ分別が結構違いますね。プラスチックが「燃えるゴミ」に入っているところがあるのはショックでした。

    まあ、基本的に、先進国のゴミ分別は段々同じようなものになってきていますね。そして、最近、日本でもプラスチックゴミ(特にレジ袋)を減らそうとしているのは、とても嬉しいことです。

  2. 道路の清掃って一体誰がやるの? パリに住んでいた時は毎朝アパートの前の歩道と道路は市の清掃職員が放水車で水を撒きながらホウキを使って綺麗に掃除をしていました。
    今年の冬は東京も雪が多く、家の前の歩道と道路に溜まった雪を片付け、綺麗に掃除をしました。日本社会の不思議なところは家の前の歩道も道路も住民が行う…歩道や道路は公的部分では?行政が道路や歩道の清掃をしている姿を見た事がありません。公の道路や歩道は行政の仕事だと思います。住民に甘えている行政の怠慢としか私には思えないのですが…

    • 日本全国、行政が清掃したら、どんだけ経費がかかることか!!
      経費はすべて国民の税金です。税金は有効に使ってもらいたいです。
      今現在、行政が清掃する必要ないんですから、経費削減につながりますよ。

      日本人の感覚で言えば、公共の場であっても国民自身で綺麗にすることは、
      むしろ常識であり、ごくごく普通のことです。
      おそらく、不満に思っている人はいません。
      国による認識の違いですから、行政の怠慢ではありません。

  3. 海外と比べてみること自体は良いですが、
    事情は各国が違うものですから、
    どこどこが良くて日本は~が良くないなどと
    卑下することは無いと思います。
    過剰包装・・・これは日本の美的感覚ですので、
    それとゴミを一緒に考えるのはあまり意味が無いです。
    なんでも合理化して、日本の良さを消すことはありません。

    • 綺麗な包装はいいんですけど、所詮、ゴミにはなりますから、環境に優しい包装を使うにこしたことはないと思います。

      日本の美的感覚は、ゴミがいっぱい散らかされている森や川の方でぜひ活かしてほしいものです。

    • 日本人によくある反応ですね。
      卑下するとかなんとかでなく、ただ諸外国の事例を参考にしているだけです。
      他国を知ることによって自国の良さを再認識する場合があるのに、日本人はよく「外国の真似をするな」「日本を批判するな」と言います。
      「外国では」と聞いた途端、「外国なんてどうでも良い。ここは日本だ」と言う人がいます。しかし、最後まで話を聞けば「だから日本が良い」「もっと良くしたい」と続くことがあるのに、他国の例を出すだけですぐ反応してしまうのです。

  4. > 集団主義社会特有の「他人の目」の恐怖が背景にあってこそ

    私は↑この言葉に引っかかりました。外国人の多くが、日本人をこのような目で見ている事は知ってはいますけれど。
    「みっともない事をするな」「よそ様に顔向け出来ないような事をするな」「お天道さまが見ているぞ」「バチが当たるぞ」
    どれも少々古臭い言い回しではあるけれど、多かれ少なかれ日本人はこのような意味合いの言葉を聞かされて育ちます。
    どれも言い換えると「不正(ズル)などするな」という教え。
    他者の目への恐怖感というよりも、不正行為をする己への嫌悪感…といった意識の方がより強いように思えます。少なくとも、私自身はそうです。

  5. らいむさんのコメントに同感。
    そして日本人は気付いていないけど日本のそのような他者の目を気にするという感覚は実は宗教が深く関係している。
    例えば本当に人の目が全くないのに不正をしない場面では
    自分の精神に汚点をつけたくない、仏教的に言えば徳の高い人間でありたいという気持ちがある。
    他者の目は別の言い方をすると神様の目。バチあたるとという言い方をする日本人をよく見るが、この場合罰を与えるのは神様の役割。八百万の神の精神と繋がるのかもしれない。

    いずれも子供だましの雰囲気もあり
    本気で信じている自覚している人はいないだろうけどこの話は深く掘り下げると宗教観に通じると思う。つまりまさに仏教・神道的に自分がどう正しくあるかを追求する為に相対的に他者への評価も厳しくなる傾向にあるだけ

  6. なんだか止めて欲しいと思うのは私だけだろうか。
    アパートとかのゴミは前の夜に捨てても問題ない所を見かけると一戸建ては厳しい。
    そこら辺で差が出る。
    ましてや、不法投棄を見かけると余計に思う。
    実際に見てるんだって。
    こんなに分別やらで決まるから、そういう事が起きると思う。

  7. 分別しても同じ場所に焼却されるからな。
    日本人って馬鹿なんかねw
    ルールに厳しいってか思考停止なだけじゃねーか。呆れる(´-ω-`;)ゞ

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