仏紙figaroより

日本ではあまり報道されていないが、フランスでは今、ワールドカップを巡って”移民のあり方”が大々的に議論されている。ことの発端は先週の木曜日。ワールドカップのグループH組でアルジェリアとロシアが対戦し1─1で引き分け、アルジェリアは初の決勝トーナメント進出が決定したのである。

試合が終わってからの深夜、パリ凱旋門前では、勝利を祝うアルジェリアサポーターが集結。お祭り騒ぎから過激化した一部のファンは、車を燃やしたり、警官隊と衝突する事件に発展した。警察官に瓶を投げつけたり、街中にあるゴミ箱やモーターバイクを次々に倒したり、市役所に掲げられてあるフランスの国旗を引きはがしてアルジェリアの国旗に変えるなど、まさしく“やりたい放題”という状態だったらしい。

動画を見てくれれば、街中のカオスぶりが伝わるかと思う。筆者はパリ凱旋門から北へ約6キロ離れたところに住んでいるが、凱旋門周辺でのお祭り騒ぎは中心から離れた自宅まで聞こえた。そのせいで、この夜は深夜0時から2時くらいまで眠れなかった。次の日にパリの南の方に住んでいる友人に聞いたが、彼女も同じような経験をしていたそうだ。

【W杯】パリ凱旋門でバカ騒ぎするアルジェリア人から見る移民問題特筆すべきは、このお祭り騒ぎの前日に同じくフランスも決勝トーナメント進出が決定したということだ。しかし、フランス人はアルジェリア人のように真夜中に大騒ぎすることもなく、ホームグラウンドにいるはずのフランス人サポーターたちは比較的静かに勝利の喜びをかみしめていたかのように思う。

フランスにいながら、フランスではない国がワールドカップに勝利してバカ騒ぎをする…。これに違和感を感じるのは、筆者だけではないはずだ。日本で例えると、渋谷のスクランブル交差点で在日韓国人たちが韓国国旗を掲げ、日本の警察に衝突し、真夜中にバカ騒ぎをするといった具合だ。

フランスでは現在、マリーヌルペン氏率いる国民戦線(FN)が25%の票を得てトップに立つなど、移民への敵意とナショナリズムの高まりがヨーロッパ中から注目されている。そんななかで今回のような暴動とも受け取られるバカ騒ぎが、パリだけではなくフランス各地であり、フランス人たちのアルジェリア人に対する不満と怒りがますます高まっている。

仏紙figaroより
仏紙figaroより

ある人は言う。

「これは、戦後の移民政策がいかに失敗だったかがわかる騒動だ。移民は排除すべきである。」

ある人は言う。

「アルジェリアの2世、3世のフランス人は、フランス人としてフランスの学校に通ってフランスで育ったのに、自分のことをアルジェリア人だと思っている。これがそもそもの問題の根源である。」

ある外国人は言う。

「フランス政府の移民に対する接し方が悪いから、フランスに対する不満が募り、今回のようなケースでそれが爆発しているのではないか。責任はフランス側にもある。」

それぞれの人がそれぞれの立場で議論しているが、筆者がこの騒ぎを見て一番思ったのは、『こんな騒動なんてやめてほしい思っているアルジェリア人が可哀想』だと言うことだ。今回のことを受けて、一部のフランス人は「これだからアルジェリア人は嫌いだ」と当然のことのように言う。アルジェリア人に不満がたまり、アルジェリア人全てが”悪”のように思える。

しかし、ここでアルジェリア人全てを同じグループのものとして考えるのは危険だ。アルジェリア人にだって色んなタイプの人がいる。サッカーではアルジェリアを応援しているが、常識的な人もたくさんいる。そもそもサッカーに興味がなく、まだ一回も試合を見ていない人だっている。こんなバカ騒ぎをするアルジェリア人を非難するアルジェリアサポーターもいるはずだ。

色んなタイプの人がいるのに、アルジェリア人を全て同じと見なすのは間違っているし、それを”偏見“と呼ぶのだと思う。バカ騒ぎをして車を燃やした人も、その人本人が罪に問われるべきでアルジェリア人全てが責められるべきではない。渋谷に集まった日本人サポーターのなかで便乗痴漢をした人も、痴漢した人が悪いのであり、日本人男性みんなが悪いというわけではない。

しかし、ここフランスにいて、アルジェリアのサポーターの騒動を見た人の意見を聞いていると、「偏見をもたない」、「偏見をつくらない」というのがいかに難しいことかがわかる。それと同時に、イチフランスの移民である筆者は他の在仏日本人の方々に迷惑がかからないように、フランス人に「これだからジャポネは嫌よね!」と言われないように生きていこうと強く思った。

筆者がこれを書いている現在の時刻は2014年の6月30日、17:33。

あと30分で、フランス対ナイジェリアの試合が始まる。さらにその4時間後にはアルジェリア対ドイツの試合だ。

これでフランスとアルジェリアが勝てば、フランスの次なる対戦相手はアルジェリアとなってしまう。何だか今年のワールドカップはハラハラさせる。すでに今から少し怖い。

 

 フランスの移民問題↓

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4 コメント

  1. なぜテンションあがると破壊してまわるのか謎。
    暴れる理由をふだんから探しているみたい。

  2. 私が一部のムスリムの人たちに接してよく感じるのは、
    先進国の人間に比べて(あまりいいことではないのですが)。
    いい人と、きちんとした人の差があまりにも大きいということです。

    オランダに住んでいた時に、経験したことなのですが、
    オランダではモロッコ系住民の評判がものすごく悪いです。

    公共の場(図書館とか、市役所、公園など)で大声を出してる
    人をみると、殆どがモロッコ系です。女性に暴言を吐く人も、しつこく付きまとう人も、
    殆どがモロッコ人。。。残念ながら、ムスリムの友達が多く、
    オランダに1年しかいなかった私ですら、モロッコ系の人との間には
    いくつものトラブルがあったのです。

    オランダには、レバノン系やトルコ系も多いですが、トルコ系の人たちは
    それほど荒っぽくないのですね。割と穏やかでのんびりした人が多いので、
    それほど評判もわるくない。

    植民地主義を反省していない白人の人の傲慢さや、視野の狭さにもいら立ちを感じますが、すべてがムスリムたちんのいう”西洋人のプロバガンダ”だとも思えません。

    ムスリムたちが向かい合わなければいけない弱さはまだまだたくさんあると思いますね。