海外ではよく、「なぜ日本人は食べても太らないの?」と聞かれることがあります。実際には、アメリカに長期滞在した日本人は太る傾向にあり、日本に長期滞在したアメリカ人は痩せるので、”日本人だから太らない”というわけではありません。しかし、日本での食生活や生活習慣は欧米と比べて、“痩せる習慣”であることは間違いないです。

そこで今回は、日本人が食べても太らない理由のなかから欧米とは異なる点を9つご紹介します。日本人の”痩せる習慣”とは一体どんなものなのでしょうか。


 

1. ヘルシーな和食

やはりヘルシーな和食の力は絶大です。和食なら何でも低カロリーというわけではありませんが、やはり欧米の普通の食事と比べてみてもあっさりとしています。一汁一菜、魚がメインの健康的な食事は肥満が増えている先進国で今後ますます注目を集めることでしょう。

 

2. 学校給食による”食育”

なぜ日本人は食べても太らないのか?日本の食生活が海外とは違うところ9つ欧米人と日本人の意識の大きな違いは、日本人は外国人に比べて“健康的な食事”のイメージがよりはっきりとしているという点です。より鮮明に健康的な食事をイメージできるのは、子どものころからの学校給食のおかげだと思います。栄養士が栄養のバランスを考えて作った献立がどういうものかを、子どもの頃から長期的な経験とともに学んでいる国民は世界のなかでも稀です。さらに日本人は“食育”を重要視する傾向にあり、子どものころから栄養のバランス(右図のような三色食品群)を学校で教えられます。

これを大人になっても何となく覚えていて、普段の食事に取り入れる習慣が出来ている人やバランスのとれた食事を意識している人も少なくないはずです。健康的な食事というものを具体的にイメージできるかどうかは、食生活の違いに現れると思います。

 

3. 甘いものが苦手

欧米人と日本人の味覚の違いとして、甘さに対する感じ方があります。日本人は欧米人に比べて甘いものが苦手な人が多いです。例えば、欧米人でチョコレートが苦手だという人は比較的珍しく、甘いチョコレートをたくさん食べても平気だという人が多いですが、日本人の場合は(特に男性)甘いものが苦手だという人がいても、そう珍しくはありません。その影響もあってか、欧米では食後に必ずデザートを食べる習慣がある国もありますが、日本人は毎食後にデザートを食べるという人は少数派だと思います。

砂糖消費量の国際比較
砂糖消費量の国際比較

 

4. 胃腸が弱い

日本人が薬局で一番買う薬は胃腸薬だそうです。日本では胃腸の薬のテレビコマーシャルをよく目にしますが、海外では日本ほど放送されていません。実際に胃腸関連の疾患に罹っている人や胃腸のトラブルを訴える人の数も、日本のほうが多いように感じます。

ちなみに日本では大腸がんが女性のがんの死亡率の1位を占め、2020年には男性でも2位に上昇すると予測されています。また、胃がんに至ってはとくに日本人に多いがんで、現在は部位別死因の2位ですが、罹患率はトップで、患者数はもっとも多いがんです。胃腸が弱いという体質を持っているため、胃もたれしそうな脂っこいものや甘いものが日本人は相対的に苦手です。欧米人に比べると量も少なめにならざるを得ないため、”太りにくい体質”だと言えます。


 

5. いつも忙しい

欧米人と日本人の生活習慣の違いをあげてみましょう。日本人の生活で特徴的なのは、仕事中心の生活で忙しい人が多いという点です。東京のビジネスパーソンにおける睡眠時間は平均5.6時間で、世界の主要都市の中で最下位ですが(参照)、日本人がいかに海外の人に比べて時間に追われた生活をしているかが伺えます。忙しい生活をしていて、食事をとる時間がなかったり、仕事の合間にコンビニのおにぎりやサンドウィッチで”とりあえず空腹をおさえる”ということを繰り返している人も少なくないはずです。あまり良い傾向だとは言えませんが、食べる時間もない忙しい生活というのはその分“太る機会がない”わけで、日本人のやせ傾向に影響していると言えます。

 

6. 料理を提供する順序

なぜ日本人は食べても太らないのか?日本の食生活が海外とは違うところ9つ

日本食は主食、主菜、副菜が一度に提供され、一目で自分の食べる量を把握できるようになっています。逆にフランスなどの欧米食では、前菜→メイン→デザートという順番で一品一品提供されます。そのため自分の食べる量を把握しにくく、ついつい食べ過ぎてしまう傾向にあります。飲み会やパーティーでも欧米では前菜とメインを順番に提供しますが、日本の居酒屋での飲み会は大皿料理を各個人が取り合って食べるスタイル。そのため食べる量をコントロールしやすく、腹八分目で痩せやすい体をつくることができます。

 

7. 遺伝

「肥満は遺伝である」と海外生活を通して、ますます感じるようになりました。家族が太っている人が多い人は同じような体型をしており、総体的に痩せている人の多い日本人の親から生まれた子供はやはり太りにくいようです。これは筆者の所見ですが、海外では太っている人は食べる量が多いかというと必ずしもそうではなく、食べる量が少なく運動もしているのに痩せにくいという人も珍しくないように思います。逆に日本人はよく食べるのに痩せている人の割合が多く、太る遺伝子を持っている人が少ないように感じます。

 

8. ダイエット&健康志向が高い

欧米人と比べて、日本人の国民性はダイエットや健康志向が高いです。 真面目な気質も相まって、ちまたの健康情報に敏感に反応する人が他の国に比べて多く、健康情報番組で紹介された商品が次の日には完売するなどの現象は海外ではあまり見られません。欧米では(最近変わりつつありますが)、真面目に健康にいいことするよりも“人生を楽しむ”ことを優先するといった価値観を持った人が多い印象を受けます。ダイエットや健康に関心の高い人が多いため、多くのテレビや雑誌がこの分野をとりあげ、さらに健康志向が高まっていくという好循環が日本社会では根付いています。

 

9. おにぎり

筆者はフランスで生活していますが、フランスで困ることの一つに「ちょっとお腹が空いたときに食べるものがあまりない」というのがあります。日本では次の食事まで2~3時間あるときにお腹が空けば、コンビニでおにぎりを1つ買って凌ぐことが出来ました。しかし、コンビニのないこちらでおにぎりの代用になるものといえばパン屋さんの菓子パンやケーキ、スナック菓子、サンドウィッチ、ピザ、マクドナルドのバーガーなどで、どれも太るものばかりです。おにぎりは2つ食べても400カロリー以下で、腹持ちも良いため、最近では“おにぎりダイエット”というダイエット法も登場してます。筆者は海外生活を初めてから、コンビニおにぎりのありがたみを知りました。海外でもおにぎりがもっと流行ってくれるといいのですが…。

 

おわりに

以上が筆者が考える、日本人が他の国の人に比べて太りにくい理由です。みなさんはなぜ日本人は太りにくいのだと思いますか?

 


1コメント

  1. 面白い記事をどうもありがとうございます。このテーマは、欧米系の家内と僕との間で時々話題になります。僕の方がはるかにたくさん食べているのに家内の方が太く、家内に言わせれば「ずるい」そうです。不思議ですね。

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