ホームニュース【フランステロ事件】厳重な警戒態勢が続くパリで思う日本の誇るべき点

【フランステロ事件】厳重な警戒態勢が続くパリで思う日本の誇るべき点

フランステロ事件から1週間以上経った。しかし、以前として厳重な警戒態勢が続いており、物々しい雰囲気がパリの街を包んでいる。筆者はパリ郊外の大きなショッピングセンターのあるラデフォンスに住んでいるが、人が集まる場所であることから、デパートの敷地内に入る人は全員手荷物チェックを受けることが義務付けられた。

幼稚園や小学校でも同様の警戒態勢が続いている。たとえ保護者であっても学校の敷地内に入ることはできず、学校の門の前にいる親の顔を子どもに確認させて、先生たちが門の外まで一人一人の子どもを連れて行くという対策を行っている。登下校時の校門前にはもちろん警官が配備され、子どもを待つ親で人だかりができている…というのが最近の当たり前の光景になりつつある。

フランス政府は、「テロとの戦争に入った」として、軍の兵士1万人を動員するなどして、警備を強化している。今、パリを歩けばどこにでも銃を持った警官や軍隊を目にする状態だ。

【フランステロ事件】厳重な警戒態勢が続くパリで思う日本の誇るべき点
フランステロアラート、”ビジピラット”

アメリカのテロリストアラートのようなものがフランスにもある。ビジピラット(Vigipirate)と呼ばれるもので、パリの商業施設や人が集まる観光名所などにはビジピラットの張り紙が張られ、テロリスト特殊警戒中であることを知らせている。

先日、フランスの報道番組でこんなことを言っていたコメンテーターがいた。

「今回のテロで私が思ったのは、フランスの警察は武器が足りていないということです。テロリストのほうが武装していて、これで警察が対抗できるわけがない。もっと武器を持たせて、国民を守れる側に立たせてあげるべきだ。」

この発言には正直、絶句してしまった。警官に武装させることがテロリストへの抑止力に繋がるというのも正論なのかもしれないが、元はといえば「テロリストが武器を手に入れられる世の中」であることが問題の本質であるように思う。シャルリーエブド襲撃事件でも、テロリストが銃を手に入れられなかったらここまで多くの犠牲者を出すことはなかったのではないだろうか。

そもそも、テロリストたちが所持していた銃を作って売ったのはどこの国だろうか。ウィキペディアによる、兵器主要輸出国ランキングは以下の通りになっている。

フランステロ事件から1週間、厳重な警戒態勢が続くパリで思う銃規制の大切さ

皮肉なことに、フランスは兵器輸出国第4位。そして、これらの経済大国が武器を売っている国は以下の通りだ。

フランステロ事件から1週間、厳重な警戒態勢が続くパリで思う銃規制の大切さ

兵器輸入国からテロリストたちへ武器が出回ってしまっているわけで、大本をたどれば武器を輸出する国がなければ、確実にテロリストの勢力鎮圧につながるのだ。しかし、この点に触れるメディアは残念ながらフランスにもあまりない。

また、これらランキングを見てもわかるように日本は非核三原則があるため、兵器の輸出入はできないので、これら資料のどこにも名前が挙がらない。シャルリーエブド新聞社を襲撃した銃が日本製であることはあり得ないわけで、そういう意味で日本は世界のテロリズムを抑止している国だと言える。

この点が今回のテロ事件を受けて武装するパリに住む筆者が感じた、「日本を誇りに思う点」である。今年で戦後70年になるが、日本は非核三原則を頑なに守っている世界で唯一の国であり、世界平和実現のモデル国として世界に誇れる日本であると思う。

もちろん国によって外交問題も抱えている宗教問題もそれぞれなので、それらを全て一括りにして「世界中が日本のように武器をもたない国になるべきだ」とは言えないが、“武器の輸出入”を世界的に禁止するだけでも、多くの悲惨な戦争やテロリズムを回避できるようになるはずだ。

フランス国内で今、ムーヴメント化しているビジピラットとも相まって、フランスが銃規制に寛容になりつつあるが、テロリストも警察も銃を持っている社会よりも、“武装の必要のない社会”になるほうが好ましい。そうはいっても現実には難しいが、”銃を使って警戒強化”に突き進むフランスに異議を唱える思想がもう少しあってもいいように思う。

政治であれ外交であれ、何か問題が起きた時に「一番悪いのは相手だ!」と批判するのは簡単だが、問題の根源が自分にもあることは多々ある。これは私たちの普段の生活や人間関係でも言えることだが、他人を批判するときは、同時に自分にも問題点はなかったのか見つめなおすことが大切だ

最近まで、史上最悪のダメな大統領だと批判されていた仏大統領オランド氏の息巻く演説を聞いていて、つくづく思う。

 

フランステロ事件から1週間、厳重な警戒態勢が続くパリで思う日本の素晴らしさ
兵器貿易の輸出入国、取引規模

※青が兵器輸出国、オレンジが兵器輸入国。円の大きさが取引の規模を示している。

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3 コメント

  1. こんにちは。
    非核三原則はとても重要だと思います。
    しかし、この記事に関する内容は武器輸出三原則のほうが関係しているかもしれません。また、安倍政権下では、この武器輸出三原則を事実上撤廃してしまいました。企業が経済発展しさえすれば多くの問題は解決するという、あきれるほどの勉強不足ゆえ、戦後+20世紀的感覚で政治運営をしているからです。

  2. 日本は武器輸出を後押しする国へと舵を切りましたが・・・。 この記事のタイトルは「日本が誇れた」と、過去形にするのが良いかと思います。 

    せっかく「戦争」から距離を取っていた数少ない先進国であったのに、そのステイタスを捨てようとしているのです。

  3. 銃がなければ、合成出来る
    サリンとかVXガスを撒くって…。
    もしくはアメリカのマラソンで使われた
    圧力容器に釘入れて爆破させるやつ。
    銃など武器の問題より
    殺意がある人や団体の取り締まりをしないと
    殺人の道具が変わるだけだと思うよ。

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