日本で一番多い苗字は、1位が「佐藤」さんで、2位が「鈴木」さん、3位が「高橋」さんです。それでは、ヨーロッパの国ではどのような苗字(名字)が多いのでしょうか。そこで今回は、ヨーロッパの国ごとに多い名前とその意味をアルファベット順にご紹介します。

 

1オーストリア…「グルーバー」さん


ドイツの南方、中部ヨーロッパの内陸に位置するオーストリアは音楽を中心に文化大国としての歴史も有する国です。オーストリア人のなかで最も多い苗字は、Gruber(グルーバー)。炭坑夫という意味で、全人口の0.3991%です。2位はHuber、3位はBauer。

2ベルギー…「ペータース」さん

EUの首都であるブリュッセルがあるベルギーは日本の九州とほぼ同等の経済規模の国であり、チョコレート、ベルギーワッフル、ビールなどで有名です。ベルギー人のなかで最も多い苗字は、Peeters(ペータース)。元はオランダの名字 Petersからきており、ベルギーには33,275人のペータースさんがいます。2位はJanssens、3位はMaesです。

3クロアチア…「ホーバット」さん

東ヨーロッパ、バルカン半島に位置するクロアチアは、美しいアドリア海に面したテニスの盛んな国です。クロアチア人のなかで最も多い苗字は、Horvat(ホーバット)でクロアチア人という意味です。2位はKovačević、3位はBabićです。

4チェコ…「ノヴァク」さん

中央ヨーロッパに位置するチェコは首都をプラハにもつ、ビールとアイスホッケーで有名な国です。チェコはビールの国民一人当たりの年間消費量が世界一で、バドワイザーはチェコの「ブトヴァイス」(Budweis)にちなんで名づけられたといいます。チェコ人のなかで最も多い苗字は、Novák/Nováková(ノヴァク)で、「新しい男/女」という意味だそうです。ちなみにチェコ人の名字は、男性と女性で語尾が変化するという法則があります。名前も同様で、女性は基本的にaで終わるようになっています。チェコで2番目に多い苗字はSvoboda/Svobodová、3位はNovotný/Novotnáです。

5デンマーク…「ジェンセン」さん

北ヨーロッパの1国であるデンマークは、、国民の所得格差が世界で最も小さい世界最高水準の福祉国家です。結婚・葬式、医療費・介護サービスが無料であり、失業手当は所得の90%相当が最長4年間支給されます。国民の教育水準も高く、大学までの学費は無料であり、出産・育児休暇は男女で56週間とれるだけでなく給料も支払われる、まさに福祉国家です。そんなデンマーク人のなかで最も多い苗字は、Jensen(ジェンセン)で、son of Jens(ジェンズの息子)という意味です。デンマークの国民の約5%はジェンセンさんです。2位はNielsen、3位はHansenです。

6フィンランド…「コロネン」さん

キシリトールとムーミンで知られる北ヨーロッパの国フィンランドは教育水準が世界トップで、教育における「フィンランドメソッド」が近年、注目を集めています。フィンランド人のなかで最も多い苗字は、Korhonen(コロネン)。正確な意味は不明ですが、Korho(耳の不自由な)から由来しているという説があります。2位はVirtanen、3位はMäkinenです。

7フランス…「マルタン」さん

ワインとチーズのおいしいフレンチグルメで知られるフランスは世界で最も観光客の多い国で、毎年7千万人以上の観光客がこの国に訪れます。フランス人のなかで最も多い苗字は、Martin(マルタン)で、ラテン語Martinusから由来していると言われています。フランスのマルタンさんは235,846人。2位はBernard(ベルナール)、3位はDubois(デュボワ)です。

8ドイツ…「ミュラー」さん

日本にとってヨーロッパ最大の貿易相手国であるドイツは、フランスとともに欧州連合の中心国としてヨーロッパをリードする国です。ドイツ人のなかで最も多い苗字は、Müller(ミュラー)。millerが由来であり、意味は製粉業者です。ドイツ全人口の0.95%がミュラーさんです。2位はSchmidt、3位はSchneiderです。

9ギリシャ…「パパドプーロス」さん

財政危機で逼迫しているギリシャ。ギリシャには技術力、科学力がある企業や研究機関がなく、多くの雇用を生み出す大企業もないため、伝統的に失業率と公務員就任数が多く、経済基盤が弱いことが問題視されています。ギリシャ人のなかで最も多い苗字はPapadopoulos(パパドプーロス)で、意味は「聖職者の息子」です。2位はVlahos、3位はAngelopoulosです。


10アイルランド…「マーフィー」さん

アイルランドは1949年にイギリス連邦を離脱した、アイルランド島に存在する国です。2005年の英「エコノミスト」誌の調査では最も住みやすい国に選ばれました。アイルランド人のなかで最も多い苗字は、Murphy(マーフィー)で、意味はMurchadh(海の戦士)の子孫という意味です。2位はKelly、3位はSullivanです。

11イタリア…「ロッシ」さん

イタリアの人口はヨーロッパ第5位で、ユーロ圏では第3位、世界では第8位の経済大国です。食、芸術、音楽、ファッションなどの文化も豊かで、ユネスコの世界遺産リストに登録された文化遺産が45件、自然遺産が4件存在しています。イタリア人に最も多い苗字はRossi(ロッシ)。「赤い髪」という意味で、主に中央・北イタリアに多い苗字です。2位はRusso(ルッソ)、3位はFerrari(フェラーリ)です。

12オランダ…「デ・ヨング」さん

日本ではチーズ、チューリップ、風車などが有名で、首都をアムステルダムにもつオランダは、日本が鎖国下で欧州諸国で唯一外交関係を維持した国です。オランダ人の中で最も多い苗字は、De Jong(デ・ヨング)です。意味は「若い」で、オランダ人の0.53%がデ・ヨングさんです。2位はJansen、3位はDe Vriesです。

13ノルウェー…「ハンセン」さん

1人当たりのGDPや平均寿命、就学率、成人識字率ともに世界的に高く、「人間開発指数(HDI)」で、世界トップクラスに位置している国、ノルウェー。この国の人の中で最も多い苗字は、Hansen(ハンセン)で、意味は son of Hans(ハンの息子)。これは、デンマークで3番目に多い苗字です。2位はJohansen、3位はOlsenです。

14ポーランド…「ノヴァク」さん

中央ヨーロッパに位置する共和制国家であるポーランドは、日本の九州とほぼ同じ経済規模で、ヨーロッパで最も治安のいい国です。2013年における経済協力開発機構 (OECD) 加盟国の治安ランキングでは、ポーランドの治安の良さは日本に次いで2位でした。ポーランド人の中で最も多い苗字はチェコと同じく、Nowak(ノヴァク)さんです。2位はKowalski、3位はWiśniewski。

15ポルトガル…「シルヴァ」さん

かつてはヨーロッパ主導の大航海時代の先駆者ともなったポルトガルは、日本の埼玉県よりやや大きい経済規模です。ポルトガルで最も多い苗字はSilva(シルヴァ)。ポルトガル人の9.44%がシルヴァさんです。2位は Santos で5.96%、3位は Ferreira で5.25%です。パーセンテージか見て、ポルトガルは他のヨーロッパに比べて、名字に偏りがあるようです。

16ロシア…「スミルノフ」さん

世界で一番面積の大きい国、ロシアの人口は1億4千3百万人で世界第9位です。ロシアの人口は減少しつつあり、そのペースは年々早まっているが、経済成長は今後も続くと見られています。ロシアで最も多い苗字は、Smirnov(スミルノフ)。意味は「従順な人」で、人口の1.61%に相当します。2位はIvanovさん、3位はKuznetsovです。

17スペイン…「ガルシア」さん

2013年のスペインのGDPは1兆3586億ドルであり、世界第13位。闘牛やフラメンコ、パエリアなどのスペイン料理も有名です。スペインで最も多い苗字はGarcía(ガルシア)。意味は前ローマ人で、人口の3.48%に相当します。2位はFernández(フェルナンデス)、3位はGonzález(ゴンザレス)です。

18スウェーデン…「アンダーソン」さん

イケアやスウェーデン雑貨でおなじみのこの国は、ヨーロッパで最初の紙幣が発行された国です。スウェーデンの経済の最大の特徴は公務員が多いことです。公的部門の人数は実に33%を超え、全体の3分の1にも達しています(日本は9.5%)。スウェーデン人で最も多い名字はAndersson(アンダーソン)さん。意味はson of Anders/Andrew「アンダー/アンドリューの息子」です。2位はJohansson、3位はKarlssonです。

19イギリス…「スミス」さん

イギリスの主な民族はイングランド人、スコットランド人、アイルランド人、ウェールズ人で構成されますが、旧植民地出身のインド系(印僑)、アフリカ系、アラブ系や華僑なども多く住む多民族国家です。イギリスで一番多い名前はSmith(スミス)で、全人口の1.26%を占めます。オーストラリア、アメリカ、カナダなどでもよくある名前で、one who works in metal で鍛冶屋さんを意味します。2位はJones(ジョーンズ)、3位はTaylor(テイラー)です。

 

参照:List of the most common surnames in Europe


3 コメント

  1. 元北欧在住者です。外国の言葉をカタカナで表記するのは難しいですが、デンマークはジェンセンではなくイェンセン、フィンランドはコロネンではなくコルホネンの方(RとHは有声化されます)が現地語の発音に近いと思います。

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