香港で増える「マック難民」の孤独な現状

今月6日、香港のマクドナルドで、席に座ったまま死亡したホームレスの女性が、周りにいた客たちに気付かれることなく数時間にわたり放置される出来事があった。香港では、24時間営業のレストランに身を寄せるホームレス、「マック難民」の数が増加しており、この女性もその一人とされる。

なぜ香港ではマック難民が増えるのだろうか。そこで今回は、そんな香港のマック難民が抱える孤独な現状を伝えたBBCの記事を紹介する。難民たちはマクドナルドでどんな夜を過ごしているのだろうか。

香港の「マック難民」

香港北西部の商業地区、深水ホには24時間営業のマクドナルドがある。香港では一般的な2階建ての店舗だ。

香港の「マック難民」

夜が深まるにつれ、このファーストフード店は一時的なホステルになる。都市部の最も貧しい層の人々を集める宿泊施設化するのだ。

このようなマクドナルドのホステル化は、アジアの至るところで起こっている。特に顕著なのは日本と中国だ。高齢化する人口と高すぎる家賃、上がらない賃金などが、香港でこのようなマック難民を生んでしまう一番の原因である。

香港のマック難民の多くは高齢者だ。彼らは明るい笑顔の裏に、絶望的に悲しく、暗い過去を持っている。

香港の「マック難民」

マック難民の一人、アー・チャンさんは54歳。昔は評判の良い警察官だった。

彼は近所に小さなアパートを借りているが、ほとんどの時間をマクドナルドで過ごしている。マックに行けば、友人と語らい、楽しい時間が過ごせると彼は言う。

マクドナルドは顔なじみの仲間がいる行きつけの場所なんですよ。ここにいる人はみんな彷徨っているんです。早めに去る人もいれば、長く残る人もいる。ほとんどの人は住む家がありません。みんな帰る場所なんてないんですよ。

香港の「マック難民」

香港は世界で最も貧富の差が激しい国の一つである。香港政府によれば、人口700万人のうち、5人に1人は貧困だ。

高齢者に至っては、3人に1人が貧困線以下の生活をしている。

香港の「マック難民」

この社会問題に関して、香港の貧困問題を解決する最善の方法は、経済を拡大させ、雇用を生み出すことだとしている。

しかし、この政策ではアー・チャンさんを救うことはできない。ペーパーカップと紙タオルを前にして、彼は「マック難民」になったいきさつを話してくれた。

1970年代後半、大学を卒業して警察官になった。1996年に警察を辞めて、中国で個人事業を開始。

それから7年間、彼はそれまで持っていた貯金を使い果たし、家族や親戚などから借金をするようになった。2003年、彼と一緒にビジネスをしていた中国人の共同経営者が資金を持って、彼の元からいなくなった。

その後3年間、法廷でこの件について闘い、2006年に香港に戻ってくることができたが、その頃には体も心も疲れ果てていた。

私は心を休めるために休息が必要でした。今は、ただただ目の前にあることに向かうようにしています。平気だと思えるときもありますが、昔の嫌な記憶が蘇ってくることもあります。

香港の「マック難民」

チャンさんは親戚家族にも長い間会っていないと言います。

もう家族に会わせる顔がありません。信じてくれていたのに、裏切ったのですから。起こったことに対しての責任逃れはできません。

彼は日々の出費をまかなうための不定期の仕事をしている。屋台に行くこともしばしばで、衣服は寄付されたものを着ているそうだ。

こんな見方もある

香港の「マック難民」

インド人写真家のスラジュ・カトラさんは、香港のマック難民を2013年から取材し、この“社会現象”のドキュメンタリーを制作している。

香港のカラフルな風景を背景に、このような高齢のホームレスや貧困層が前景になるというのは、とても皮肉な光景だと思います。

しかし、私は香港よりも貧しいインド出身です。そんな私から見ると、マック難民はインドのような国のホームレスと比べたらまだ恵まれていると思います。もっと、きちんとしていますし。少なくとも福祉だって、寝るところだってあるわけですから。

取材に協力してくれたマクドナルドでは、夜中の12時を越えると、店内に響き渡るような大きないびきをしている中年男性が2人いた。

マクドナルドの店員に聞いてみたところ、なかにはトイレに鍵をかけて閉じこもる難民もいるそうだが、そういったことがない限り、基本的には追い出すようなことはしない。

香港のマクドナルドでホームレスが亡くなった事件の後、マクドナルドは「どんな人でもいつでも歓迎します」と発表し、マック難民の死を悼むと同時に、全ての顧客に温かい場所を提供すると誓った。

私のこと、怠け者だと思うでしょう?

深夜のマクドナルド。店員の多くが帰宅し、店には「マック難民」だけが残った。

香港の「マック難民」そのなかの一人、デビット・ホさん66歳は、元警備員。月収は日本円で約15万円だったが、脳卒中になり、これまでのように働くのが困難になった。

彼は薬を飲んで生きながらえており、毎月病院通いをしている。一月あたりの国から約6万円が保険料として支給されている。

私のこと、すごい怠け者だと思うでしょう?でも違うんです。私は働きたいんです。でも私の歳では雇ってくれるところはない。だから国からお金をもらっているんです。

香港の「マック難民」国から保険料が支給されているホさんでも、アパートを借りることはできない。香港の家賃は世界で最も高いのだ。

市では公営住宅を提供してはいるものの、数が不足しており、ウェイティングリストに載っても、数年は待たなくてはいけない。

だから彼は中国の深セン市に月に約一万円でアパートを借りている。それでも本当は香港を離れたくないで、こうやって度々やって来てはマクドナルドで数日寝泊りしているそうだ。

このマクドナルドでは朝までお客さんが絶えなかったが、夜が深まり、店内2階の照明が弱くなった。

ほとんど全ての人が眠りについた。

参照:BBC(英語)

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