マジで?外国人英語講師から見た「アメリカと日本の学校の違い」20選

日本の小・中学校や高校で、英語の授業のアシスタントをしている外国人講師(ALT)。初めて話しかけた外国人は学校のALTの先生だった…という人も少なくないのでは?ALTは日本語が得意でない先生も多く、筆者も子どものころは緊張でどぎまぎしながら話しかけた覚えがあります。

では逆に、日本にやってきた外国人先生たちは、日本の学校や教育制度、教員の職場環境、日本の学生たちをどのように見ているのでしょうか?そこで今回は、日本で英語講師をした経験のあるポーランド人マイケルが書いた「日本の学校が欧米とは違うところ」を20紹介します。


学生

1通学方法

欧米の小・中学校のように、日本にはスクールバスというものがありません。子どもたちだけで歩いて(もしくは自転車で)通学するというのは、欧米人には驚きのようです。海外では、登下校時の交通事故や誘拐などを避ける目的で、スクールバスを導入している国が多いですが、日本では児童の通学が困難なところ(主に僻地)にのみ導入している地域がほとんどです。

2入試と塾

いい就職をしたければ、いい大学をでること。いい大学に入りたかったら、大学入試に合格すること。大学への進学率は高校の偏差値によって変わるので、進学率の高い高校に入るには、高校入試で競争に勝たなければならない…というのが、現在の日本の教育システムです。そのため、中学生になって塾に通い始める生徒が日本では非常に多いです。

受験が厳しいアジア圏では塾に通う中学生というのは普通ですが、「真剣に勉強をするのは高校生から」というパターンが一般的な欧米人からすると、小中学生の受験戦争は厳しすぎるように映るようです。

3授業態度

海外の人がイメージする「日本の学校」というのは、静かで勉強熱心、規律正しく、権力者を敬う学生たちを想像する人が多いそうですが、実際はそうでもないと言います。静かで利口な子もいれば、うるさく落ち着きのない子もいて、授業態度という点では欧米も日本も、あまり変わりはないようです。

マイケルいわく、日本では憲法26条で教育を受ける権利を規定しているため、教師はいかなる理由であっても生徒を教室の外に追い出すことはできないと言っています。また、どこからが「授業態度が悪い」と見なされるかにも国際間で違いがあり、日本人英語講師(JET)は居眠りをしている学生を注意することが多いですが、外国人講師は全く気にならないそうです。ここらへんに、子どもに対する考え方や個人主義・集団主義の違いなども反映されているようで、面白いですね。

4進級は誰でも可能

写真;Mario Kaoru Mevy

外国人講師が日本の教育システムで最も驚くことといえば、小中学生に留年がないことです。明らかに他の生徒よりも成績が悪く、授業にもついていけていない生徒でも、出席回数が少なすぎる生徒でも、全員自動的に進級できるという点に疑問を持つそうです。

欧米では、「悪い点ばかり取っていると留年させられるかもしれない」という不安感が小さな頃からあり、これが原動力となって勉強してきたという人が多いです。ですから、欧米から来たALTの先生たちは、「どんなに勉強しなくても留年しない日本の制度」にとても戸惑うのだとか。留年がない代わりに高校受験があるので、結局はどちらにせよ「勉強しなくてはいけない」ことには変わりがないのですが…。

教師

5職員室

日本では教師が授業の準備をしたり、仕事をする場所は決まって職員室。しかし、英語圏の学校には職員室がなく、教科ごとに教室が集まっており、先生の部屋はそれぞれの教科の建物や階に付属しています。先生が基本的には個別の部屋をもって、授業間の移動のロスを省き、「生徒が移動する」ことによって、授業に必要な準備も合理的にできる仕組みになっています。

海外にはない職員室ですが、外国人の先生には意外とウケが良く、生徒やクラスのことを他の先生と相談しやすく、連絡事項が全員に行き渡りやすく、日常的にコミュニケーションがとりやすい環境になっているところが素晴らしいのだそうです。

6人事異動

欧米の学校の先生たちは自分の地元の学校で働くと言う人が多く、職員の異動はあくまで本人の意思によるものです。しかし、日本の教員は都道府県の教育委員会の指令で人事異動がなされます。日本でころころと学校を異動させられる先生もいれば、何十年も同じ学校で働く先生もいるのはこのためで、先生によってばらつきがあります。

体制

7学校制服とドレスコード

アメリカの公立学校で制服が必要な学校は約20%。日本では小学校以上になると、ほぼ全員が制服で登校するようになります。風紀の校則も、海外では髪を染めたり、タトゥーをいれて校則違反にはならない学校が多いそうですが、日本では髪の長さや靴下の色、通学靴のデザインまで細かく規定があります。

8学期

欧米の新学期は、「桜咲く頃」ではなく、まだ残暑が残る「紅葉シーズン」。ALTの先生が日本に来るのは、夏休みが終わる頃なので、一足出遅れて授業を始めるというかたちになります。外国人の先生は新学期の5ヶ月後に、「一人だけが新しい人」という環境で授業を始めていかなくてはならないので、最初は慣れるのに苦労するそうです。

9成績表

日本と海外で成績のつき方にも違いがあります。日本の場合は、1・2・3…と数字で評価されていたり、優良可、◎○△などで表現されますが、例えばアメリカはA~Fまでの5段階評価。AがExcellent(優秀)、BがAbove Average(平均より上)、CはAverage(平均)、DはBelow Average(平均以下)、FはFalling(落第)で留年決定です。

10教室

生徒が教室を移動する欧米型のシステムに比べ、教室が「生徒たちの部屋」であり、担任の先生が決まっている日本の教室は、よりクラスの生徒たちの一体感が生まれやすいとマイケルは語っています。朝から下校時まで一つの教室にいて、一緒に食べたり、掃除したり、飾り付けをしたりすることもあり、教室はまるで“家族の場所”のようなのだとか。

11靴箱

日本の土足禁止の文化は、学校教育でも教えられます。生徒たちは外履きと上履きに分けるため、学校の玄関口に生徒たちの靴箱が置かれているのも、日本ならではなのだそうです。さらに、体育館で使うための体育館シューズまであり、外国人にすると、履物の区別がなかなか複雑なのだとか。


しかし、靴箱はあっても教科書を入れておくためのロッカーが日本の学校にはありません。そのため重い教科書を毎日持ってくる小さな子どもたちを見ていると、可愛そうな気持ちになる外国人の先生も少なくないようです。

課外活動

12学校給食

写真:Nathan

海外ではカフェテリアでランチをとる学校が一般的ですが、日本では給食を教室でみんなで食べたり、家から持ってきたお弁当を食べるのが一般的です。給食は食育の一環であるため、先生であってもジャンクフードを学校で食べるのは禁止されています。例え、ジュースでも注意されてしまうのだとか。

これが外国人先生からすると、結構辛いのといいます。海外の学校ではこのようなルールはなく、あくまで「大人は大人」であり、学生にはない特権を楽しむ先生も多いからです。

13掃除の時間

日本の学校には、欧米のように教室を掃除してくれる用務員さんはいません。マイケルさんはこの掃除の時間をポジティブにとらえており、クラスメイトと連帯感が生まれたり、責任感を学ぶことのできるいい機会だと言っています。日本に来た外国人は、ゴミがひとつも落ちていない街のきれいさに驚くと言いますが、こんなところにその理由があるのかもしれません。

14部活動

全国調査によれば、7割以上の中学生と5割以上の高校生が運動部活動に加入し、ほぼすべての学校が運動部活動を設置しており、半分以上の教員が運動部活動の顧問に就いているそうです。それに比べ、海外の部活動といえば、学校ごとに行うものではなく、地域ごとであり、異なる学校、異なる年齢の子供たちが一緒に活動するのが一般的。指導者は学校の先生ではないので、部活顧問先生の負担も少なく、よりのびのびとした自由な雰囲気なのだとか。

15学校行事

日本は学校行事が多い国。運動会や文化祭、合唱会、もちつき大会、お楽しみ会など、様々な行事があります。このような日本の学校行事は最近になって、世界で注目を集めており、JICA(国際協力機構)では、20カ国以上の国から運動会を開く手助けをして欲しいという要請がありました。日本の政府系の団体やスポーツ団体が運動会の開催を支援しているようです。今後、日本の運動会が世界に広がるかもしれないですね。

16宴会

職場の人との宴会も、日本ならではの風習なのだとか。他の先生との親睦を深めるために、先生たちとの宴会にはできるだけ参加したほうがいいとマイケルさんも語っています。宴会に参加すれば全ての問題が解決することにはなりませんが、助けになる場だといいます。反対に、欧米の学校ではこのような先生同士の横のつながりはあまり重要視されていないようです。

17入学式、卒業式

写真:Tomoyuki Kawashima Follow

日本は○○式と名のつく式が多いです。毎年ある始業式と終業式に加え、入学式と卒業式があります。マイケルさんいわく、日本の入学式と卒業式はとても感動するのだそうです。卒業式に参加してスピーチを聞いたり、歌を聴くなかで、日本人の人生のなかの文化的な一面を学ぶことができるのだとか。入学式・卒業式は海外にもあればいいのに…と筆者も思います。

学校設備

18トイレ

生徒用のトイレは和式が多く、これが外国人も先生には厳しいのだとか。しかし、最初は気恥ずかしかったり、変な感じに思える和式トイレも慣れれば、とても楽だとマイケルさんも語っています。

19冷暖房設備

日本の学校は職員室には冷暖房がありますが、教室には基本的に冷暖房が設備されていません。教室にも整備されている学校もありますが、使えるのは生徒が全員下校してからです。冷房を使い始める日にちも決められており、7月1日からと決められている場合はどんなに6月29日が暑くても、冷房を入れることはできません。

冬になると石油ストーブをつける学校もありますが、一酸化炭素中毒にならないように窓を開けっ放しにしておくため、あまり温まりません。

日本でも猛暑が続く昨今、小中学校での冷房設備が検討されています。今後は変わっていくのかもしれないですね。

20テクノロジー

日本といえば、テクノロジーの印象を抱いている外国人も多いですが、日本の学校はそこまでテクノロジーの発展した環境ではないそうです。教室にはほとんどテクノロジーのものはなく、職員室でもパソコンは少なく、コピー機があるのみ…。テクノロジー好きな外国人は、ここで割とショックを受けるそうです。

 

おわりに

いかがでしたでしょうか。日本の学校は欧米とは違うところもありますが、外国人講師から見ると良い点が多いようです。海外に右倣えではなく、日本の社会にあった日本人らしい良さを伸ばしていける場であればいいと、この記事を読んで思いました。あなたは日本の学校について、どう思いますか?

参照:Tofugu、写真:t3hWIT


4 コメント

  1. 五番の職員室についての記述ですが、「海外にはない職員室」という断定的な言い方はどうかなと思いました。
    私の配偶者はポーランドではありませんが、同じ中欧に位置する国の出身で、彼の通っていた学校には職員室、教頭室、校長室があったそうです。全ての学校に職員室があるわけではないそうですが(学校に規模にもよるそうです)、ある所にはあるそうです。これはマイケルさんが書かれた記事に記述してあるままの表現なんでしょうか…こういう「海外」という括りをするのは無理だから(海外といっても国や地域によって様々で一概に言えませんもんね)あまりしない方がいいと個人的には思っている表現です。

  2. 日本のように靴箱で靴を履き替える。実はこれはとてもいいことなんですよね。校内を清潔に保つ効果があるんだそうです。イタリアのパレルモでは、上履きに履き替えることにした学校があるとまえに聞いたことがあります。これは、パレルモの街では清潔ではない場所もあるそうで、子供たちの健康を考えた措置だそうです。日本がお手本になっていると聞きました。靴箱があることはあながち悪いわけではないので、マイケルさんにも是非、知ってほしいと思います。

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  4. 『日本では小学校以上になると、ほぼ全員が制服で登校するようになります』

    日本で制服のある小学校は、2割程度なのでは?
    ほぼ全員という言い方をするのはおかしいかと思います。
    中学校以上というなら分かりますが…

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