日本人夫をもつ外国人妻「日本人の働き方は異常」と思う6つのこと

安倍政権が検討する「働き方改革」の中では「長時間労働の抑制」が盛り込まれている。日本では以前から長時間労働の問題は喫緊の課題だが、単純に長時間労働を抑制したり、有給休暇の取得を促進するだけでは、日本の企業文化を変えていく根本的な改革には繋がらないのではないかと思う。

横並び意識の強い日本では、働いている労働者自身も、日本人の働き方のどこが異常なのかわからなくなってしまっているケースも考えられる。そんな労働者一人一人の目を覚ませ、意識を変えていくことが本当の意味での「働き方改革」であり、過労死の減少や日本の企業文化改革に繋がり、日本人の生き方や人生観を変えていくことになるのではないだろうか。

そこで今回は、日本人男性と結婚したアメリカ人女性グレイスさんのブログ記事より、「日本人の働き方で、どうしても理解できない6つのこと」を紹介する。外の人から見たら、私たちの働き方はどのように映るのだろうか。彼らにとって当たり前ではない「日本の当たり前」を探ってみようと思う。

 

These are the 6 things I don’t understand about working in Japan.
日本の労働で私が理解できない6つのこと

1.オープンオフィス

日本人夫をもつ外国人妻「日本人の働き方は異常」と思う6つのこと
写真:株式会社マルハニチロホールディングス

オープンオフィスとは部長から新入社員まで、大勢の社員が机を並べて働く広いオフィスのこと。社内コミュニケーションが活性化させるために巨大フロアに机を並べたオープンオフィスが日本では良しとされているが、欧米人から見ると、この仕切りのないオフィス環境は「古い」のだそうだ。

まるでアメリカの中学校の学食みたいだと語るグレイスさん。オープンオフィスを嫌がる理由として、「気が散るから」と挙げている。仕事に集中したときに変な顔になっていないか、キーボードをタッチする音が大きすぎないかと気になって、仕事に集中できないそうだ。

しかし、日本人でもオープンオフィスを嫌っている人は多いのではないか。彼女の友人の大半は、オープンオフィスでの周りの音が気になったり、プライバシーがないところ、パーソナルスペースがないところ、少し顔を上げただけで人と目が合うところなどが嫌だと言っているそうだ。

社内のコミュニケーションを活発にするためといえば聞こえはいいが、オープンオフィスにすれば誰が熱心に仕事をしているかが一目でわかってしまうので、“周りの目”を気にしながら働くことを余儀なくされているということもできるのではないか。もちろん日本の企業の全てがオープンオフィスではないが、机を“横並び”にして、互いに“他人の目を気にしながら”働かなくてはいけないところが、何とも日本的であり、オープンオフィスは日本の職場環境や企業文化の根幹の部分を象徴していると言えるかもしれない。

 

2.ほぼ強制の飲み会

最近は会社の飲み会に参加しないゆとり世代の新入社員が話題になっているが、欧米では職場の人との飲み会は“必ず行かなくてはいけないもの”ではない。グレイスさんも日本の会社の飲み会文化が苦手だそうだが、その理由としては「そもそも職場の人とそこまで仲良くなりたくない」と思っているからだ。仕事の出来によって、性格まで判断されたくないという。

欧米人は仕事とプライベートをきっちりと分けたがる人が多く、職場の人間関係がいくら良くても、金曜日の夜に一発芸をしながらお酒を飲んだり、恋人と別れた後に泣きついて電話するような相手にはならないと彼女は言う。また、職場での人間関係とプライベートを混同していまうと、その人との関係がうまくいかなくなった時に仕事とプライベートの両方に悪影響が出てしまうことを懸念して、職場の人とは一定の距離を置き、仕事とプライベートをきっちりと分けるようにしているのだそうだ。

確かに「ほぼ強制の飲み会」というのは、日本がまだ派遣社員もいなく、終身雇用制度で年功序列だったころは機能したコミュニケーションの場だったが、そうではなくたってしまった今、「会社の人は家族同然だ」という植え付けはもはや時代遅れなのではないだろうか。

 

3.社員旅行

グレイスさんが日本人夫のりょうすけさんから「3日間の社員旅行にいく」と聞いたとき、彼女はなにかのプレゼンや会議、交渉などが目的の旅行だと思ったそうだ。実際は職場のゴルフ旅行で、彼女はとても驚いたという。

会社の人と余暇を過ごすための社員旅行の目的が、グレイスさんには全くわからない。会社の業績が上がって、社員の日頃の働きに会社が感謝の気持ちを伝えるために与える余暇ならば、会社の人との旅行ではなく、社員一人一人に「ハワイ旅行プレゼント」という制度にするべきだと彼女は言う。会社の上司や同僚とのハワイ旅行では、全く「休み」にならないというのが彼女の意見だ。

彼女が言うことが正論だと筆者も思う。社員旅行を心から楽しみにしている人は実は会社の中でも少数派で、ほとんどの人が本当は行きたくないと思っているのではないだろうか。みんな行きたくないと思っているのに、「みんなが行くから自分も行かないわけにはいかない」という状況は、就業時間を過ぎてもなかなか帰れない状況と似ている。

 

4.見た目重視

日本に住む外国人奥さんが“日本人の働き方は異常”と思うこと6つ
グレイスさん:この服装で面接に挑んだ

日本はとても見た目重視な国だと言われるが、この日本の特有の価値観を未だにグレイスさんは理解できないという。例えば、就職活動用のスーツ。日本では就職活動用のスーツ、バッグ、靴、ヘアスタイルが決まっているが、欧米ではこのように杓子定規のように決められてはいない。

グレイスさんが日本で就職活動をした時は、旦那さんのお姉さんにスーツを借りた。就職活動用のバッグや靴を買って、いざ面接へ。しかし、後日、「その靴は就職活動向きではないね」と友人(日本人)に言われたそうだ。その会社の面接は残念ながら落ちてしまったそうだが、靴が原因で落とされてしまったのではないかと今でもたまに考えるそうだ。

彼女は日本のテレビ番組で外国人レポーターとして働いたり、演技、声優、フリーランスライタ―として仕事をしているが、どこに行っても初対面の人は必ずグレイスさんの見た目にコメントをするそうだ。彼女がSEO対策のセミナーを開いたときも、「最後に質問はありますか?」と聞いたら、最初に「とてもかわいいですね」とコメントする人が多く、これにも彼女は戸惑いを感じるという。スーツを着て、真面目に仕事をしている女性に対して、「かわいい」と言うのは褒め言葉ではなく、むしろ侮辱であり、馬鹿にされたような気持ちになるそうだ。

 

5.サービス残業

以前に比べて少なくなったとされるサービス残業だが、他の先進国と比べてみるとまだまだ日本はサービス残業の多い国なのかもしれない。仕事が終わっても、会社を退社する最初の人になれず、なかなか会社を離れられない…という話はどこにでもあることだ。

グレイスさんの旦那さんも夜遅くまで働き、夜中に帰ってきたときは家にいられる時間がたったの4時間だった日もあるという。彼に帰りが遅くなる理由を尋ねると、仕事を5時までに終わらせることができても、上司が帰宅しないとなかなか帰れないからだと言われた。

このあたりの感覚や集団意識は欧米人にはなかなか理解されないだろう。筆者も日本で働いていたころは残業で帰りが遅くなり、フランス人の旦那と喧嘩になることもあった。しかし、仕事が片付いているのに会社に残らなきゃいけないというのは、本当におかしな話だと思う。

 

6.終身雇用と、会社への極端な忠誠心

終身雇用制度はすでに過去のものとなった。少子化、日本経済停滞などにより現在は日本的経営であった終身雇用制度や年功序列賃金制度が廃れているが、日本では長期雇用の慣習が残っており、日本の転職率は欧米の半分以下である。

これは終身雇用制度の時代の価値観が現在でも受け継がれているため、転職がマイナスのものと捉えられていることに起因するのではないだろうか。欧米では転職はキャリアアップや賃上げのイメージがあるのでマイナスイメージではないが、日本の場合は「途中で会社を離れた弱い者、裏切者」のようなイメージがある。

アメリカ人のグレイスさん曰く、単純にお金を稼ぐための手段である会社を「一生付き合うもの」として選ぶのは無理がある。いつリストラや会社が倒産するかもわからない現代で、人生を一生捧げるものとして就職活動をするのは割に合わない。これからは新卒採用の段階から「転職ありき」でキャリアプランを考えるという指導していくべきだ。

 

おわりに
いずれにせよ、終身雇用が全く機能しなくなっているのにその時代の価値観だけが残っているというのは、労働者にとっては良いことなしで、まさに骨折り損のくたびれもうけ。

毎年春の入社シーズンになると、飲み会や社員旅行に参加しない新入社員や、入社してもすぐ辞めてしまうゆとり世代が話題になるが、ひょっとしたら彼らのほうが時代にあった働き方なのではないかと思うことすらある。給料もボーナスも上がらない、会社の付き合いでプライベートを潰すうえに、転職しにくい、それでも遅くまで働かなくてはいけないというのは、愛情のない異性に貢ぎ続けるようなものだ。

日本人が目指すべき「働き方改革」とは、雇用者と労働者が対等なパートナーとなることを最終目的とした、私たち一人ひとりの会社に対する意識改革から始まるのではないだろうか。

参照:Texan in Tokyo、写真:tokyoform

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5 コメント

  1. ウチのフランス人妻も
    ①なんで休みの日に会社に電話するの?
    ②なんで会社の人たちとゴハンを一緒に行かなきゃならないの?
    ③なんで残業するの?日本人は時間を守る人が多いのに?
    ④なんで日本人はゴハンを食べるのが早いの?
    ⑤なんで友達じゃない人と遊ぶの?
    他にも「なんで」と言うものたくさんあります。
    まあ徐々に我々ニッポン人の習性を教えて行っていますが、はてさて何年かかることやら……

    • 笑。確かに日本の習慣を一から教えていくとなると、なかなか大変ですよね。奥様には、Jean-Luc Azra著の「Les japonais sont-ils différent?」という本がお勧めですよ。日本人の文化的価値観をすごく客観的にわかりやすく解説したものです。

  2. アメリカ人って本当に独善的で嫌だね。
    サービス残業に関してはうなずけるけど、それ以外は
    順応しろとか適応しろとか思う。
    あの国が世界中で戦争をばら撒いて世界中から嫌われるわけだ

    職場での同僚との関係は欧州の場合は日本人が想像しているほどドライではない気が。
    職場のサッカーチームとかあったり、
    同僚との遠足とか会って
    気持ちのいい職場の環境を整えようとする努力が
    見受けられる。
    プライベートと仕事なんて完璧に分けるのが現代的で格好いいなんてのは大いなる勘違いだと思う。

    面接にどんな服着てようが能力が高けりゃ採用するわ。
    そんなに受かりたけりゃキチンとリサーチして
    そういう格好すればいい。
    「かわいい」と褒められたから侮辱だと感じるなんて
    こいつ、ホンマにどんな甘やかされて育ったんだ。
    世間はお前のお母さんでは無いっつーの

    大体、「欧米」ってどこの国のことだ?
    「南半球の人間」「トルコから西側の国のやつらは」
    みたいに最も意味のない分け方はもう止めては。

  3. はじめまして。こんにちは。

    私も日本の働き方は異常だと思います。
    私は現在アメリカで仕事をしながらのんびりと暮らしていますが、半年前までは日本で必死に働いていました。朝から夜、土日も働きたくないのに働き、行きたくもない飲み会や同僚との交際費にやたらお金がかかり、自分の時間なんてほとんどとれないで自分の20代を過ごしました。もう苦痛の一言でした。
    日本にいた頃は自分が海外でちゃんとやっていけるか心配でしたが、来てみると…全然問題ありませんでした。移住して本当に良かったと日々思っています。日本で働いていたときと同じ職業を今でもしているのに、待遇が全然違います。労働時間が半分以下になりましたし、自分専用のオフィスがあたるし、外がまだまだ明るい時間に帰宅できるし。時間にゆとりができ、健康的な食事を作ったり、運動したり、娯楽を楽しんだりすることができるようになりました。

    日本では多くの人が仕事で疲れ切っています。こういった欧米の価値観を学べば、多くの人が今よりもストレスの少ない人生を送れるのに…と思っています。

  4. 日本にも階級はなんとなくありにせよ、明確には分かれてないですよね?
    街を歩いていて、自分の身分を感じるなんてこと、赤の他人との経済格差を感じるなんてこと
    そうそうないですよね?

    日本って言う国は、おそらく貧民階層というか他の先進国が移民層をつくって
    自分達の嫌な汚れ仕事なんかを押し付けて薄給でなんの補償もなくやらせている労働を
    日本人全体でみんなで一緒に引き受けてるんだと感じます。
    みんなで苦しんでるんだと思います。満員電車に揺られている時にそう感じます。
    街を歩いていても、小さい家も汚い家も豪邸も同じ地域に密集してて
    近所付き合いしてるってすごいコミュニケーション能力だなって感じます。
    海外では同じ種類のもん同士が壁つくって棲み分けしてるだけでしょう?
    パリの電車では移民のスリ集団に財布を盗まれたことがあります。
    日本の満員電車の方が温かいです。