ベルギー連続テロ報道にみる海外メディアが報道したがらないこと
image: independent.co.uk

ベルギーの首都、ブリュッセルで連続爆破テロがあった。死者が34人、負傷者は200人以上だと報じられている。このテロ事件を受けて、各国の海外メディアは大々的に大きく事件のことを報道している。CNNやBBCニュース、仏紙ル・モンドでも一面にブリュッセル、テロリスト、ISISの言葉が列挙し、これでもかというほど報道が加熱している。

これはフランス・パリの同時多発テロ事件の時にも感じた違和感なのだが、やはりマスコミと言うのは、「報道したいこと」と、「報道したがらないこと」がはっきりと分かれている。そんなのは、当たり前でしょうと思う人もいるかもしれないが、海外メディアの報道を一歩引いて全体像を見てみると、あまりにも不平等で悲しくなる。これでは、”欧米人の命が誰よりも尊いのか”と、憤りを感じる。

例えば、去年11月のパリ同時多発テロ事件。世界中の人がフェイスブックのプロフィール画像をフランス国旗に変えるほど、大々的な報道がされたが、実はパリテロ事件の前日、11月12日に中東レバノンの首都ベイルートで連続爆破テロがあった。このテロで死者45人、負傷者は約240人だった。ちょうど今回のベルギーのテロとほぼ同じくらいの被害者をだしたテロ事件であったにもかかわらず、世の中はパリのテロ事件ばかりで、レバノンのテロについてはどの海外メディアもあまり報道しなかった。そのため、レバノンのテロ事件はパリとの対比で「忘れられたテロ」と呼ばれている。

つい先日あったトルコの首都、アンカラでのテロ事件では、ある青年がフェイスブックに「パリのテロでは世界中が祈ったのに、なぜトルコではそうならない?」と投稿し、ネット上で話題になった。しかし、実際にトルコでは今月のテロ事件だけでなく、今年2月17日にも、街の中心部で爆発が発生し29人が死亡した。また、2015年10月に起きた爆破では、100人以上が死亡した。しかし、これもまた、欧米のメディアはあまり報道しない。

海外メディアが報道したがらない事件は他にもある。1991年の内戦以降、ずっと戦争状態にあるコンゴでは1996年以降で600万人が死亡。 約40万人の女性が毎年レイプされている。

去年の1月、シャルリー・エブド事件の数日前には、ナイジェリアのボコ・ハラム(ISIL組織)が、ボルノ州バガで約2000人の住民を虐殺した。他にもチャド、カメルーンなど現在も紛争が絶えない地域や、南スーダンの難民問題など、海外のメインストリームメディアが報道しないことはたくさんある。

これではまるで、「世の中には大切な命と、取るに足らない命がある」と言っているようなものではないか。欧米メディアは欧米人が被害者となった同情と涙を誘えるものだけを選んで、大きく報道しているに過ぎない。このメディアの傾向は、欧米だけに限らず日本のマスコミにも同じことが言える。

とは言え、マスメディアだってビジネスなのだから、視聴者が関心の高いものに重点を置いて報道してしまうのは、しょうがないことかもしれない。

ただ、それを見る私たち視聴者がこれらの報道に煽られることなく、冷静な目を持っておくというのが大事なことなのではないだろうか。東京でISISによる爆破テロがあって、死者もたくさんでたのに、世界のメディアにあまり報道されないとなれば、激しい憤りを感じずにはいられないだろう。

もしも自分が逆の立場だったら…?
ニュースを見るときには、そんな想像力と批判的思考力が必要だ。

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3 コメント

  1. ブリュッセルに30年ほど住む者です。日頃から自分が感じている違和感に答えてくださる記事に、非常に共感しました。これからも読ませていただきます。