英語圏の国に生まれた人はむしろ負け組、ネイティブが損すること
image: Sebastian Rieger - Flicker

英語を母国語とする人は、多くが外国語を話せないことで悪名高い。

世界中の人が英語を話してくれるから、わざわざ外国語の学習をする必要がない英語圏生まれの人。しかし、様々な国籍の人が英語で会話する国際社会は、英語ネイティブだけが孤立する状況を作ってしまう。“英語ネイティブだけが知らない世界”が、多国籍の集まりには存在するからだ。

英語ネイティブのなかには、自分が外国語をひとつも話せないことを棚に上げ、「あなたは英語すらできないのか」と上から目線で指摘する人もいるが、「井の中の蛙大海を知らず」とはまさにこのことである。英語しか話せない人は自分がどんなことで損をしているのか、それにすら気がついていない。

そこで今回は、何かと勝ち組だと思われがちな英語圏生まれのネイティブが、実は損していることを2つ紹介する。英語圏生まれの全ての人が損しているというわけではないが、世間が思っているほど彼らは得しているわけではないことがわかるだろう。

 

1内緒話ができない

アメリカ人の友人、チャドは日本に留学していた頃、こんなことを言っていた。

「僕と会話した後に、日本人は日本語で楽しそうに話をして、フランス人はフランス語で話をして、そのあと英語に戻ってみんなで話をする。僕は日本語も英語もわからないから、誰とも内緒話ができない…」

確かに、英語ネイティブはどの国へ行っても内緒話ができない点が不便である。筆者は周りにいる人に聞かれたくないことを話すとき、フランスでは日本語で、日本ではフランス語で言うようにしているが、どちらの場合も英語でヒソヒソ話はしない。周りの人に何を話しているか理解されてしまうからだ。

外国語で内緒話なんてするなよ…と言われてしまうかもしれないが、これは語学習得者からすると非常に便利なコミュニケーションツールで、多言語話者の特権であり、醍醐味であるともいえる。外国語で内緒話をすると、その言語を話す人の間に連帯感を生み、より強い絆で結ばれるようになるし、自分の味方についてもらえるように立ち回りやすくなる。

外国人との国際会議で、その中の一人のドイツ人が日本語を話してくれたら、何となくひいきしてあげたくなるのが人情ではないだろうか。その点、英語しか話せないネイティブには、人間関係の構築に外国語を利用する優位性が味わえない。

2国際語としての英語が苦手

ニューズウィーク日本版の記事「ネイティブの英語はなぜ世界でいちばん通じないのか」には、このような一節がある。

皮肉なことだが、国際ビジネスにいちばん適応できずにいるのは、環境に応じて自分の英語を変えられない英語の「ネイティブ」たちだということが、数々の研究で明らかになっている。英語は、ビジネスはもとより高等教育や国際協力などに使われる国際語だが、調査によると、ネイティブたちは国際語としての英語が苦手だ。母国語の上に胡坐をかいている場合ではないというのに。

筆者は在仏なので、日頃からフランス人とフランス語で会話をしている。彼らと会話していて思うのは、「相手が自分の母国語で話してくれるからと言って、外国人と会話ができるわけではない」ということだ。

フランス人のなかにはスラングやフランス語特有の表現を多用したり、アカデミックな言葉を避けたり、こもった発音をする人がいるが、こういう人との会話は外国人からすると、とても厄介だ。逆に、辞書に載っている言葉を多用し、きれいでプレーンなフランス語をしゃべる人との会話は面白く、話が弾みやすい。筆者のレベルは変わらないのに、相手によって、発言量も、会話の内容の濃さも、満足感も大きく変わる。

要するに、ネイティブのなかにも外国人にとって話しやすい人と、そうでない人がいるわけだ。その違いは何だろうか。

それは、「どう話せば外国人にも伝わりやすいか」という探求心があるか否かの違いではないかと思う。母国語の上に胡坐をかいている人は、いつまでたっても外国人との会話を楽しめず、仲良くもなれない。

多国籍の人が集まる場で、国際語としての英語を話さなければならない場合、たとえ自分が英語ネイティブであっても“伝わりやすい英語”を話す配慮が必要である。しかし、外国語を話せないことで悪名高い英語ネイティブは、自分が外国語を学習したことがないから、どう話せば外国人にも伝わるかが理解できない。世界中の人が英語を話してくれるおかげで、そもそも自分が相手に合わせるという発想すらない人もなかにはいる。だから、英語ネイティブは国際語としての英語が苦手なのだ。

すると自然に、英語圏の人だけがグループ内で孤立してくる。英語を話すドイツ人、フランス人、中国人、韓国人のグループは国の垣根を超えて仲良くなれるが、英語圏の人は英語圏同士で固まってしまう。英語が母国語であるがゆえに、外国語として英語を話すその他大勢の外国人との間にバリアができてしまうのだ。

 

まとめ

以上、英語ネイティブが損をすることを書いたが、これはもちろん全ての人に当てはまるわけではない。英語話者でも外国語を学んでいる人は、その言語での内緒話だってできるし、外国語学習者の苦労も理解できるだろう。そうなると、外国語を習得している英語圏生まれの人が国際社会では最も有利な人たちだとも言えるが、皮肉なことにそういう人は珍しい。

英語圏生まれだから勝ち組だということは決してない。英語が他の言語より優れているわけでもないし、重要なわけでもない。

大切なのは、どの言語のネイティブであっても母国語のうえに胡坐をかかず、外国人の立場に立って会話をしようとする配慮と、探求心だ。

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2 コメント

  1. アメリカに住んでいた時は、非ネイティブ同士での会話の方が盛り上がって楽しかった思い出があります。一方、アメリカ人は英語を話せないとあからさまに嫌な顔をしたり、こちらが話題を振っても会話に加わらないということがよくあり、アメリカ人と外国人との間に親しい交友関係がある訳ではないと感じました。ネイティブでない留学生やビジネスマンが流ちょうな英語を話すと、「この人物は仕事が有能だ!」と思い込むこともあり、もし有能でないことが後でばれるとトラブルが起こるケースもありました。アメリカでの生活で人種差別の経験は殆ど無かったのですが、流ちょうな英語を話せないアジア人に対してはあからさまな「言語差別」が存在すると思います。トランプさんが選挙のスピーチでアジア人に対する言語差別なる発言をしていますが、誰も咎めないばかりか笑いを取っています。これはある意味で人種差別よりも切実な問題だと思いました。

  2. 外国語で内緒話、わかります!
    なんでも好き放題言えるので結構スッキリしますよね^^;
    でも時々日本語がわかる人(日本ではフランス語やドイツ語など、英語以外の言語)もいるので注意してください…
    友人はドイツの電車内で思いっきり日本語で内緒話をしていたところ、同じ車両に日本語のできるドイツ人がいて完全に聞かれていたそうです笑
    若者言葉をまぜるとか、早めに発音するなどしたらリスクがちょっとは減らせるかもしれないです。

    ネイティブじゃない人とのほうが喋りやすいというのも完全に同意です!
    行きつけの医師がドイツ語ネイティブじゃない外国人なのですが、すごく親しみがあって安心感があります。
    説明もとても丁寧なので、専門用語ばかりの話しも難なく理解できます。たぶん「この言葉はきっと分からないだろうな」とか、「今この話題を理解していなかったな」とか常に察しながら話してくれているからだと思います。
    母国語以外の言語を使うようになると、自然とそういったセンサーが働くようになりますよね。それも外国語を話して生活するメリットだと思います^^