最新2016年度版|ヨーロッパで最も治安が悪い都市ランキング
写真:Flicker - Konrad Lembcke

2015年にフランスで起きた同時多発テロ事件以降、パリへ旅行に来る観光客の数が激減した。なかでも日本人旅行客の数は大幅に減り、日本の旅行代理店によると、フランスへの日本人観光客は今でも4割程度減少しているという。日本人観光客はフランスでの支出額の平均が最も多いだけに、現地の日本人を対象にした旅行業者は大きな打撃となっている。

このブログでもテロ以降は、「パリに行っても大丈夫ですか?」と聞かれることが多かった。それほど、日本人はヨーロッパのテロを警戒しているということだろう。そこで今回は、世界の様々な統計を発表する海外サイトWorld Atlasより、「ヨーロッパで最も治安が悪いランキング」の最新版を紹介する。

※このランキングは、Numbeo.comの「犯罪インデックス2016」を元に作成された。このインデックスは、欧州各都市に対する人々の感想や、犯罪レベルの最新動向、一人で街歩きができるか、強盗やゆすりの恐れはあるか、自動車乗車時の安全性、暴行・暴力事件の恐れを感じるか、現地人からの人種差別やハラスメント、迷惑行為、非難中傷、物乞い、宗教的不寛容、財産を盗まれる驚異の有無を集計してランキングにしたものである。

10サラエヴォ(ボスニア・ヘルツェゴビナ)

写真:Flicker - Marco Fieber

サラエヴォは同国の首都であり、で最大の人口をもつ都市である。何世紀にもわたって多文化都市であったサラエヴォ、「ヨーロッパのエルサレム」と呼ばれることもあった。World Population Reviewによると、2016年現在の人口は44万人と推定されている。

サラエヴォの犯罪レベルはさほど高くはなく、犯罪インデックス2016では、レベル100中54としている。しかし、サラエヴォが安全だというわけではない。2015年のOSAC Reportによると、殺人、レイプ、自動車泥棒、侵入泥棒、発砲、窃盗などの犯罪は定期的に発生している。ピックポケット(スリ)や恐喝などの軽犯罪もサラエヴォの街では流行しており、特に観光客向けの交通機関では多発している。組織犯罪もサラエヴォでは見られ、ドラッグや武器、人身売買における同国の主要なトランジットとされている。

9グラスゴー(スコットランド)

写真:Flicker -Giuseppe Milo

グラスゴーは、イギリスのスコットランド南西部に位置するスコットランド最大の都市である。2014年のWorld Population Reviewによると人口は約59万6千人で、ロンドン、バーミンガム、リーズに次いでイギリス第4位である。

グラスゴーの犯罪率は高くない(犯罪レベル55.6)が、少し歴史をさかのぼってみると違った一面が見えてくる。Institute for Economics and Peace(IEP)による2013年の調査によると、グラスゴーはギャング抗争やドラッグ取引、刺傷事件などが多発する地域で、イギリスで最も危険な都市とされていた。2012年には、イギリス全体の人口10万人における殺人率は1.67だったが、グラスゴーは2.7である。しかし、2013年以降の現在では、殺人率は半分に、暴力事件は30%減少している。

8ロッテルダム(オランダ)

写真:Flicker - Pim Geerts

オランダ南ホラント州に位置するロッテルダムは、ロッテルダム港を擁する世界屈指の港湾都市で、人口規模はアムステルダムに次いでオランダ第2位である。世界都市であり、国内の他都市に比べて近代的なビルが立ち並ぶ。

犯罪レベルは46.67と高くはないが、ロッテルダム港は昔からドラッグ取引や、不正ドラッグ(主にコカイン)の窃盗事件が起き、ヨーロッパのほかの都市へ流れる温床である。ロッテルダムの観光客はしばしばスリに遭い、車上荒らしや、携帯電話・パソコン、その他貴重品の窃盗に遭うことがある。OSACのCrime and Safety Report 2015によると、このような犯罪は夜間の空港や、乗換駅、トラムなどで起きるそうだ。ロッテルダムのなかでも特にZuidの治安は悪く、失業による貧困がその原因だとされている。

7コヴェントリー(イギリス)

写真:Flicker - Ian

コヴェントリーは、イングランドで8番目に人口が多い、ウェスト・ミッドランズ州にある都市である。人口は2013年時点で約32万9800人(コヴェントリー市議会発表)。コヴェントリーは自動車産業で有名な都市である。

しかし、コヴェントリーは犯罪が多い都市でもある。コヴェントリーの犯罪レベルは59.38。コンヴェントリーで最も犯罪が発生しているのは、Willenhall、Foleshill、Hillfields、Wood Endエリアである。反社会的行動、泥棒、窃盗、ドラッグ、スリ、性的犯罪、万引きなどが、この都市への不安感を助長している。2013年7月~12月にタブロイド紙「デイリーミラー」で調査された統計によると、人口100人に対するイギリス全体の平均犯罪率4.78であるのに対し、コヴェントリーは6.57であった。

6リール(フランス)

写真:Flicker - Herr Olsen

リールはフランス北部の大都市で、大学が多く、9万人の学生がいる都市だ。2010年の国連データによると、リールの人口は22万7560人だと推定されている。

リールの犯罪レベルは56.25。さほど高くはないが、近年この都市では若者の失業率上昇に伴う治安の悪化が見られる都市である。Trading Economicsによると、フランスの若者の失業率は現在25.9%であり、リールの治安を脅かしている。リールの地下鉄では油断のある歩行者を餌食にした若者の窃盗が起き、2014年には性的暴行事件も報告されている。このような犯罪は右翼派の自警団的な若者(Génération Identitaire)を刺激し、リールの地下鉄では、悪党たちの悪党たちに対する狩りが起きている。

5マルセイユ(フランス)

写真:Flicker - Shane Armas Korpisto

マルセイユはフランス最大の港湾都市で、南フランスにおける貿易・商業・工業の一大中心地である。2014年の人口は約85万5000人であった。この都市は、フランス人の間でも「治安が悪い都市」としてすこぶる評判が悪い。

マルセイユは犯罪レベルも68.75と高く、戸外での強盗、車上荒らし、貴重品のひったくりが頻発している。これは都市郊外の低収入層によるものが多い。治安が悪いという評判はマルセイユ経済にも大きな打撃を与えており、マルセイユの失業率は13%となっている。マルセイユ市内ではギャング抗争や人種差別、ギャングによるドラッグの輸送、警察の不正、組織犯罪などの対策に取り組んでいるが、まだまだ安全とは言えない。

4ナポリ(イタリア)

写真:Flicker - David McKelvey

ナポリはローマ、ミラノに次ぐイタリア第三の都市で、南イタリア最大の都市である。人口は約100万人。観光業、商業、農業の盛んであるが、古くから過密が社会問題になっている。他にも、ごみの増大に処理場の増設が追いつかず、街中に未回収のごみが散乱したり、ナポリ近郊ではイタリアの他の地域と比べてガンの発生率が上昇しているなど、この都市が取り組まなくてはならない課題は多い。

治安もその一つで、ナポリの犯罪レベルは68.98と高い。ナポリの犯罪は失業者の多さに起因しており、Borgen Projectが2008年からしている調査によると、失業率は28~40%に上るのではないかと推定されている。OSAC 2015の報告によると、侵入泥棒、スリ、車上荒らし、ひったくり、暴力、ドラッグなどはナポリで日常化しているのではないかとされている。窓やドアがロックされていない走行中のレンタカーを狙った窃盗事件も起きている。今日でもナポリを拠点にとするマフィア・カモッラによる影響が強く、組織犯罪も多い。

3トリノ(イタリア)

写真:Flicker - Maëlick

トリノは北イタリアの大都市であり、イタリア第4の人口規模を持つ。2012年の European Networkによる発表によると、トリノの人口は90万9193人。自動車を中核とする国内最大の民間企業グループ、フィアットの企業城下町として発展したトリノは、ビジネス、産業、文化の中心地でもある。

しかし、犯罪レベルは欧州のなかでも高く、62.88。一時は100万都市だったが昨今は人口減少が著しいトリノでは、現地住民の不安感が高まっている。トリノの人口減少は、反体制のグループが一時地元権力を圧倒したことに起因する。イタリア国家統計局によると、窃盗や悪意のある器物破損事件などが、トリノでは定期的に発生している。

2バーリ(イタリア)

写真:Flicker - Jody Sticca

バーリはアドリア海に面した港湾都市であり、東地中海の国々と広範囲な貿易をおこなう商業の一大中心地である。イタリア国立統計研究所(ISTAT)の2013年の調査によると、バーリの人口は推定32万2000人。

犯罪レベルは高く、67.65である。バーリの迷路のような歩道での軽犯罪やひったくりは日常化しており、観光業発展の妨げとなっている。経済の低迷による失業率の上昇が、バーリの治安の悪さを助長しているが、バーリは組織犯罪も多い街である。EuroPol Public Informationの2013年の報告によると、組織犯罪の要塞とされている。ナポリを拠点にとするマフィア・カモッラも、バーリで活動しており、マフィア一族の支配下にある都市だとされている。これが原因で、暴力事件や殺人が高いレベルとなっており、特にドラッグや武器、たばこ、ゆすりなどの縄張りをめぐって、マフィア一族内の抗争が起きている。

1ロストフ・ナ・ドヌ(ロシア)

写真:Flicker - o.did

南ロシア最大の都市、ロストフ・ナ・ドヌが、ヨーロッパで最も治安が悪い都市である。人口は110万人以上。ここでは、犯罪が街の主要な問題とされており、犯罪発生エリアはロストフ全土にわたっている。

ロストフ・ナ・ドヌの犯罪レベルは77.27。ここでの犯罪増加の原因は、戦争で荒廃したウクライナ国境のドンバスエリアである。ロストフ内務省が2015年に発表した報告によると、2015年4月から6月の間で、犯罪率が21.3%上昇した。この上昇は、違法銃の取引に起因しており、違法な武器がロシアとウクライナを分離する地域であるドンバスで必要とされている。

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3 コメント

  1. 一般的に人通りの少ない場所は特に危険。特にアジア系の旅行者に対しては偏見もあるので要注意です。背景には高い失業率と各都市の移民による多民族化による社会不安や、警察の治安対策が追いついてない状況でしょう。駅も概して暗く、駅員も見かけられなく狙われたらまずアウトです。全てがそうではないが、人を見たら泥棒と思って行動するのが基本です。ガードマンをつけて行動するのが当たり前になるかもしれません。日本の治安の良さにいつも実感しますが外国人による犯罪が増えてくることは間違いないでしょう。入国審査の厳格化と定期的な行動監視が必要でしょう。

  2. 2012年だったと思いますが、ルーマニアの首都(欧州で評判が非常に悪く、ルーマニア
    人に言わせると最悪とか)で、日本人の女子大に行っていた人が、日本からこの国に
    到着後、すぐにルーマニア人の20代の犯人の甘言に乗って、タクシーで郊外の森へ
    連れ出され、強姦されて死体遺棄されたという凶悪犯罪発生。犯人の家からは彼女の
    携帯電話が見つかり、金目の物も盗まれていたとか。この被害者も無茶な旅行をして
    いた人で、日本から長距離でやっとルーマニア入りしたのに、更にそこから長距離で
    列車移動するつもりだったといいます。(携帯に書き込みが残されていたらしく、
    絵文字の多いそれがネットに載っていた)彼女はNPOかなんかで、ルーマニア人
    の知り合い達がいて、この国の人はイコール、親日的みたいな考えがあったの
    ではないかと思われますが、日本人の同世代の人と西洋人の同世代の人との落差
    に、大きく溝があるのではないか?と思わせる事件でした。女子の人達が海外に行く
    のは結構ですが、護身術でもある人でもなくば、やはり男子より危険が大きい事は
    否めません。マリンスポーツが好きな日本人女性が、海外のひと気のない島で
    そういうのを楽しむのは結構だが、そこで襲われて殺されたとかそういう事件も
    あってます。