なぜ日本人は、英語が話せるのに会話できない人が多いのか?

 マダムリリーは以前、某英会話スクールで働いていたが、そこの生徒さんのなかには、こんな大きな勘違いをしている人が結構いた。それは、

英語ができる人=英語が話せる人

というもの。「英語ができる人」と聞いて多くの人がイメージするのは、英語を正しく発音し、ペラペラと流ちょうに“しゃべっている人”ではないだろうか。事実、ネットで「英語ができる芸能人」の動画を検索すると、そのほとんどが英語を”話している姿”である。マダムリリー自身も、これまで何度も「英語で何かしゃべって!」と言われてきたが、こう言われるたびに少し違和感を感じてきた。なぜなら、

英語力に差が出るのは、リスニング力

だからだ。外国人と英語で会話がしたいのなら、集中してレベルアップすべきなのは、何と言ってもリスニング力。相手の話を理解することが、まずは最重要だ。しかし、現実は「自分が話すこと」ばかりに意識が集中してしまっている学習者がとても多い。

実は、私が以前働いていた英会話教室では、英語を話せるのに、外国人との会話が全くかみ合っていない人が少なからずいた。そんな、英語を話した途端に話がかみ合わなくなるのは、こんなタイプだ。

  • 相手が話している間に、自分が何を話そうかと考え、相手の話を全く聞いていない。
  • 話を聞いていないから、相手に質問されたことに気が付かず、質問に答えない。
  • 自分が頭の中で用意した文章を唐突に話しだすので、会話がつっかえる。
  • うなづいて話を聞いていたかと思えば、さっき言ったことと同じことを質問する。
  • 相手が面白いジョークを言ったのにも気が付かないので、リアクションが遅れる(またはスルー)。
  • そしてまた、自分が話したいことをひたすら話そうとする。
  • 結果、話が全く盛り上がらない

このように、一方的で独りよがりな、英会話というよりは英語スピーチを繰り広げる生徒がものすごく多い。このパニック状態は、傍から見ていると、まるでコミュ障である。

きっと頭の中では、「発音&文法はこうしなくちゃ!」、「○○って英語でなんて言うんだったっけ?」と、それはそれは物凄いスピードで学んだ英語をブラッシュアップしているのだろうが(以前の私もそうだった)、受け手にはそうは映らないだろう。何だコイツ、話聞いてんのか?、自分の言いたいことだけ言って、リアクションなしかよ!と心の中で毒づかれているかもしれない。

お金を払って通う英会話スクールでは、それでも外国人講師が辛抱強く会話しようと努力してくれるが、実際の外国人との会話となると、こうはいかないだろう。英語を話しているのに、会話ができない人は、

自分が話すことに意識が集中しすぎ

ているのだ。自分が話せるようになることではなく、まずは相手の言っていることを理解できるようにするという方向に意識を向けて、学習するべきだろう。

 

リスニング力をつければ、自然と話せるようになる

マダムリリー自身、英語を始めたころは外国人との会話にテンパって、上にあげたような自己中な会話をすることが多かった。実際に英語を話しているのに、なかなか外国人と仲良くなれない。何とか外国人と楽しい会話をしたいと思い悩んだ結果、コミュニケーションでは聞く力が大切だという結論に至った。

その後はたくさんの英語音声をディクテーションし、リスニング力の向上に力を注いだ。そのおかげで、英語学習のブレイクスルーを体験したと思う。英語力の成長カーブが、目に見えて急上昇したのだ。聞けると、自然に話せるようになる。聞く力をみっちり鍛えたことで、総合的な英語力アップにもつながった。

そして何より嬉しかったのが、聞く力を身に付けたことによって、外国人と”人間関係”を築けるようになったこと。相手とより深い話ができるようになり、互いを理解しあえる友達になる…というのが、英語学習の最終目標であり、醍醐味ではないだろうか。

 

話し上手より、リアクション上手になれ

マダムリリーはやっと英語が話せるようになったと思った頃にフランスへ移住し、今度はフランス語の勉強をゼロから始めた。これがなかなか上達しなかったのだが、在仏6年目あたりから急に周りのフランス人に「フランス語がうまくなったねぇ!」と褒められるようになった。

確かに発音も以前よりは少しマシになり、語彙数だって増えたが、口数が増えたわけではないと思う。むしろ、「何かしゃべらなくちゃ!」と思っていた昔のほうが、よくしゃべっていたかもしれない。

ただ、昔と今で確実に違うと自分で思うのは、他人とフランス語で会話することが楽しくなった、ということ。ジョークや噂話、テレビやニュースの話などが面白い!と思え、周りと同じように笑ったり、驚いたり、困惑したり、質問したり、意見を言ったり…と、リアクションをとれるようになった。

要するに、すっかり溶け込むことができたのだ。

こんな私の様子を見て、周りのフランス人は「フランス語がうまくなった」と認めてくれるようになったのはないかと思う。人は基本的に、口達者にうまくしゃべれる人との会話よりも、自分とうまく言葉のキャッチボールをしてくれる人に対して好感を抱くのではないだろうか。

だから、リスニング力が何よりも大切なのだ。外国語の習得を目指す人は、大体の人が一生懸命「話し上手」になろうとするが、これはベクトルの方向が間違っているなぁ…といつも思う。

語学力がなく、うまく話せないからこそ、外から→内へ

英語ができるようになりたい人が、話すことよりも聞くことにもっと意識を集中すれば、本当の意味で英会話ができる人がきっと、もっと増えるだろう。

 

 

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