【書評】世界で働く人になる!人づきあいと英語スキルを劇的に上げる41の方法

世界には、海外で外国人に囲まれながら働いている日本人がたくさんいます。しかし、いざ日本人がグローバルな環境で働こうと思っても、言葉やコミュニケーション方法の違い、人づきあいのコツなど、海外では勝手が違うことが多いです。しかも、そんなグローバルスキルを身に付けるための有益な情報は、探してみると案外少なかったりします。

海外ビジネスに役立つ、良好な人間関係を構築するためコツを教えてくれる本がないかなぁ~と探していた時に出会った本が、国連機関職員として、これまで7カ国に住み、60カ国以上の人たちとともに働いてきた田島麻衣子さんの本です。


そこで今回は、彼女の本のなかから、「これは特にためになった!」と思った箇所を紹介します。今現在、海外で頑張って仕事している人や、これから海外で働きたいと考えている人の参考になればと思います。

 

書評:世界で働く人になる!人づきあいと英語スキルを劇的に上げる41の方法【著者紹介】 田島麻衣子 (たじま まいこ)
 東京生まれ。青山学院大学国際政治経済学部卒業後、KPMGに入社。大学時代にバックパックで回ったフィリピンのスモーキー・マウンテンの現状が忘れられず、退社。オックスフォード大学院への留学などを経て、2006年より国連世界食糧計画に勤務している。
これまでアメリカ、イギリス、フランス、イタリア、ラオス、アルメニアに日本を加えた7カ国に住んだ経験を持ち、共に働いたことのある同僚の出身国は、60カ国以上を数える。

(マダムリリーから一言)
素晴らしい経歴をお持ちの著者です。ここまでに至るまでに彼女がしてきた努力を想像すると、本当に頭が上がりません。彼女の経験を元にして書かれた本なので、内容にはとても説得力があります。

 

日本人が海外で働くときに気をつけるべき7つのこと

本書の第1章では、田島さんが思う「日本人としての強み」について書かれています。日本人は時間に正確で、最後まで責任をもって仕事をやりぬき、高い協調性があるところなどが、世界を舞台にして働く場合でも有利に働くと、本書で書かれています。

この部分は、正直これまでに何度も語りつくされてきているし、すでに知っていることだったので、あまり興味をひかれなかったのですが、次の「日本人が気をつけるべき7つのこと」という個所が興味深かったのでここで紹介します。

日本人が気をつけるべき7つのこと書評:世界で働く人になる!人づきあいと英語スキルを劇的に上げる41の方法

  1. 上下関係にとらわれすぎない
  2. 下手に自分を低めない
  3. 日本人だけで常に固まらない
  4. 問題は一人で抱え込まない
  5. ステレオタイプを当てはめない
  6. 人と違うことを恐れない
  7. 安易にイエスと言わない、わからないままにしない

マダムリリーもフランスで外国人に囲まれながら働く日本人の友人がいますが、彼らは特に2の「下手に自分を低めない」ように気をつけているという話をよく聞きます。田島さんは本書でこう言っています。

英語でのプレゼンテーションの冒頭などで、”I’m sorry I don’t speak English very well.”と、くれぐれも言わないように!相手は決して謙遜の意味にはとってくれません。「この人は英語があまりできないんだな」と思ってしまいます。

そして、褒められたときの正しい対応は、「ありがとう」と素直に笑顔で応じることで、「いえいえ、私など大した人間ではありません」と言うことはありません。

海外にも、謙虚でおごらない人は数多くいるのですが、自分を低めて表現する人にはあまり出会ったことはありません。相手に「?」という顔をされてしまわないように、十分気をつけましょう。

この部分は本当にその通りだなぁと思いました。謙遜語という表現方法があるように、私もついつい無意識のうちに自分を下げた言い方をしてしまいます。しかし、外国人と話す場合はこの”癖”をなくしていったほうが良いようです。

 

人と違うことはいいことだと考える

さらに、6の「人と違うことを恐れない」は、次の章の「世界で活躍する人が必ず持っている17の共通点」という部分で、このように書かれています。


日本の有名コンサルティング会社で長く働く北欧出身の知人に。こんな話を聞いたことがあります。「クライアント先で会う日本人は、会議であまり発言せず、常に会議室の後方に固まって座っていて、消極的に見える」。

確かに日本人は集団の中で個として目立つことを避ける傾向にあります。それぞれ思うところはあっても、発言することで、下手に「出る杭」になることを、意図的に避けようとします。日本社会には、他人と同じでなければならないという無言の圧力が、確かにあるように感じます。(中略)

しかし、世界に視点を移してみれば、自分と同じ要素を他人のなかに見つけるほうが、むしろ困難になります。(中略)

このような環境においては、自分が他人と違うことは、至って自然なことだと考えられます。逆に、人と違うことが、その人の個性として周りから認められる要素になります。例えば、「こんなユニークなアイデアを思いついた」、あるいは「特別な人的ネットワークを持っている」など、人と違うことを積極的に表現することで、自分の存在を周りにアピールすることができます。

ただし、人と違うことがいいといっても、独りよがりの主張は疎まれるので要注意です。建設的な意見を述べる人、共通のゴールを見つけるために意見を出す人こそが、周囲に尊重されます。

【書評】世界で働く人になる!人づきあいと英語スキルを劇的に上げる41の方法

 グローバルな仕事環境においては、会議中、一度も有用な発言ができない人は、残念ながら周りから認めてもらえません。当然、集団で会議室の後方に固まって座るなど、ありえない話です。

グローバルな場で活躍している人であれば、一般的には、司会役の視線を受け止めやすい場所など、自分が有利に発言できそうな席を選んで座ります。冒頭のコンサルティング会社勤務の知人が、日本人を見て不思議がるのも無理のない話です。

国境を越えて活躍する人々は、「人と同じでなければならない」と考えない代わりに、実は死ぬほど気にしていることがあります。それは、「自分のクライアントと自分の上司が考えていること」です。

それ以外のこと、例えば、「周りに自分がどう思われているのだろう」、あるいは、「周りに合わせなければならないのではないか」については気にしていません。むしろ人と違うほうが、自分を有効にアピールできると踏んでいるようです。

なお、自分らしさを大切にし、人と違う意見を持つことは、日本人の強みである「協調性」と失うことではありません。この二つは共存し得る価値観です。公やチームの利益最大化のために、積極的に努力する過程で発揮される協調性は、むしろ歓迎されるべきものです。

「人と違うことはいいことだと考える」、それは、広い世界で様々な人と仕事をするために、持っておくといい小さな心構えかもしれません。

 

おわりに

海外で仕事する場合のみに限らず、外国人とうまく付き合っていくのに、「人と違うことはいいことだと考える」というのは、とても大切な心構えだとマダムリリーも思います。私自身もそうですが、日本人は多かれ少なかれ「人と違うこと」に対して、恐怖心を持っているように感じるからです。

「人と違うからいい」という価値観を受け入れ、自分のものにしていくのにはそれなりの時間がかかります。口で言うほど簡単なことではありません。まずは、これが第一の成長の壁だと思います。マダムリリーは本書を読んで、外国人とうまく人づきあいしていくコツは、「人と違うことはいいことだと考える」に集約されているように感じました(読む人によっては他の部分が印象に残るかもしれません)。

他にも、「国によって頃なるあいさつの仕方」が紹介された章は、「そうそう!そうなのよねー」と頷きながら読んだり、「いやこの部分は私の経験とは違う」と突っ込んだりして、かなり能動的に読み進めていけました。本の後半では、英語力の身に付け方についても書かれているので、興味のある方はぜひ読んでみてください。

 


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