自国民を守るため・・・

 日本では今、原発問題に関するマスコミ批判が過熱している。日経ウーマンでの対談で、経済評論家の勝間和代さんはこのように語っている。(http://bit.ly/gBt7Gy)

「原発関連では、あらゆるところで“情報を隠す”という姿勢が見えますね。情報を独占して、お上がコントロールし、それに従ってほしいというニュアンスが、すべてにおいてすごく強い。同時に、国民側にも放射線や放射能に関する知識が少ないという問題があります。」


日本のマスコミは、必要な情報を流すためにあるのではなく、政府の宣伝機関なのか?という議論がネット上でなされているようだ。しかし、マスコミに腹を立てているのは日本に住む日本人だけではない。フランスに住む日本人もまたマスコミに腹を立てているのだ。

在仏日本人によるフランスのマスコミ批判という流れは震災発生から数日後、日本では福島第一原発の4号機から出火が発見された頃に始まった。では、日本人のフランスメディアに対する批判や不満、怒りの声というのはどのようなものか?フランスの日本人コミュニティサイト、mixiコミュニティ、在仏日本人の方のブログなどを参考にまとめた。

 

不満1: 原子力エネルギー反対デモのタイミングの悪さ
・待ってました!とばかりに始まった原発反対デモは『他人の災難を利用して』いるようで、非常に不愉快。
・そんなことする前にまず、被災者への支援をしろ!
・なので、なんで今!日本で苦しんでいる人がいるのに!

不満2: 福島原発イコール、チェルノブイリ?
・「脅威・原子力」「チェルノブイリ再来?」のニューステロップは国民のパニックを引き起こすだけ
・フランス大使館は首都圏のフランス人に「放射能から逃れるように関東から離れるよう」勧告したが、東京の日本人はみんな働いてるんだよ。
・仏テレビのコメンテーターが言う、「第二のチェルノブイリが~」のフレーズ…。いやいや、違うでしょ。

不満3: 航空大手エールフランスによる「日本脱出」の臨時便
・日本=放射能で危険だから立ち入るな、くらいの勢いで報道するのはやめて頂きたい。
・日本好きだと言っておきながら、結局はフランス政府の言うことに従うわけだ・・・
・困っている国民を見捨てて自分だけ助かればいいのか。


不満4: 日本は豊かな国だから義援金の必要なし?
・タヒチやスマトラ並みの義援金の必要はないと考えるフランス人もいて、腹が立つ。
・経済大国だとか、お金のある国だとか、そういうことは関係ないでしょ。
・日本人ならみんな耐震対策してあるから被害も少なかったでしょ!・・・って軽く見すぎ。

不満5: もうちょっと日本のために動いてもいいんじゃない?
・日本で人気のあったフランス人歌手とかが、チャリティーを開いてくれてもいいと思う。ハイチの時はあったでしょ。
・「フランスの原発がこんな事になったらどうする?」という見方が主流。フランス第一の報道が多い。
・報道するのは原発関連ばかりで乗っ取られた感がある。地震や津波の被害にあった人たちのことも忘れないで。

 

もちろんフランスに住む日本人の誰もがフランスメディアを批判しているわけではなく、実際のスレには投稿者の意見が分かれていたりする。しかし、この記事は多数派のように感じられた日本人のフランスメディアに対する批判をテーマにしており、それ以外の意見は切り落としているので、その点はご了承して頂きたい。

しかし、全体として言えるのは、
・ヒステリックを起こし、国民の不安ばかりを煽る日本人から見たフランス人(マスコミ) と、
・こんな非常事態にも関わらず、やたらと冷静で、のんきなフランス人から見た日本人
という2つの構造が窺える。

果たして、日本のマスコミはフランス人の言うところの“のんき”なのか、それとも逆にフランスの方が“ヒステリック”なのか。真相はいまだにわからない状態である。

↓ちなみにこの動画で、ダニエル・カールさんは、日本を必要以上に危険だと報道する海外のヒステリックなマスコミを批判し、やめてほしいと呼びかけている。


5 コメント

  1. <同感です!!!>
    私も「不満1」にまったく同感です!
    私は、フランスに住み始めて間もないので、フランス語のニュースを全部理解はできないのですが、震災の翌日に起きるストライキ。
    (それはないでしょっ?!)
    と思いました。
    最近やっと日本の惨事にも注目してきたようですが、当初の「地震→原発→原子力に詳しいコメンテーター」という流れが、「原発問題のネタ」として軽く扱われているような気がしてとても心苦しかったです。

    同じように考えている方が、わかりやすく記事にして下さってとっても嬉しいです。ありがとうございます!

    • >、震災の翌日に起きるストライキ。(それはないでしょっ?!)と思いました。

      日本で震災があったことと、仏労働者の争議には何の関係もない。したがって自粛する必要もない。
      過労死するほどの長時間労働、今なおなくならない不払い残業の強要。雇用形態による不当な待遇上の差別など。日本の労働者は既に十分すぎるくらい圧迫を受けていながら、ストひとつできない。生存の為の権利意識のなさ、社会的な事への無関心が、地震列島での利権目的での原発乱立の背景のひとつでもある。なぜ、天災、人災が有ったからと言って全てを自粛しなければならないのか?まるで、民営の自発的戒厳令のようだ。あなたのように理論的でないことを平気でいい、またそれに盲従する人が大多数だから、自民、民主などの国民不在の政府が長く政権を維持していられるのだ。恥を知れ。

  2. こんにちわ。日本在住者です。
    勝間女史は、中部電力の原発(推進)コマーシャルに出ていらっしゃいました。
    原料コストが安く、経済性に優れていると「賞賛」。
    福島事故以後、このCMは「自粛」中だそうです。
    日本人が原子力の無知といわれるのが悔しく、そして今まであまり関心がなかったことを恥ずかしく思っています。
    京大の原子力研究者による講演「原子力の専門家が原発に反対する理由」は、大変分かりやすいものでした。
    http://www.youtube.com/watch?v=4gFxKiOGSDk
    テレビ(日本の)に登場して原発や放射線問題を解説される「学者」の方々について、今ではすぐインターネットで検索します。すべて、電力会社などの代表とともに、政府審議会などのメンバーであることが分かります。

  3. >仏テレビのコメンテーターが言う、「第二のチェルノブイリが~」のフレーズ…。いやいや、違うでしょ。
    どこが違うんでしょうか?チェルノブイリは人事だけどフクシマは自分のところだから一緒にスンナ~ってこと?どんだけ自己中なんだか。チェルノブイリに住んでいた人たちのこと考えたことあるのかあんた。
    っていうかフクシマは既にチェルノブイリの域を超えたとも言われているが。
    今後原発で悲惨な事故があれば「第三のチェルノブイリ」ではなく「第二のフクシマ」と言われるんだよ。分かってるのか?

  4. 日本人は過度なパニックを起こさないで偉いと思う反面
    放射能の危険性に対してあまりに無知だと思います。

    フランスメディアがヒステリックという記事を良く見ますが
    ドイツ、アメリカでも「日本より」危険性を重視した報道をしています。

    今日本に求められている力は復興力と共に
    無関心をやめる力が必要です。

    報道をあてにして原発を容認している人達が
    数年後、健康被害が出て騒ぎ出すのが容易に想像できます。

    あと日本の報道に関して
    なぜ放射性ヨウ素の安全基準が2000Bq/kgに変更されたことを報道しないのか。
    WHO安全基準から遠く離れた基準であるのに
    安全である根拠はどこにあるのか。

    http://www.fsc.go.jp/sonota/emerg/emerg_genshiro_20110316.pdf

    http://nicoasia.wordpress.com/2011/03/24/%E3%80%90%E7%B6%9A%E5%A0%B1%E3%80%91%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E3%81%AE%E6%B5%84%E6%B0%B4%E5%A0%B4%E3%81%A7%E6%A4%9C%E5%87%BA%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F%E6%94%BE%E5%B0%84%E6%80%A7%E3%83%A8%E3%82%A6%E7%B4%A0/

返事を書く

Please enter your comment!
Please enter your name here