必読、英語を上達したくても英会話教室に行ってはいけない3つの理由

「英会話スクールはお金の無駄である」

 私は以前、日本の大手英会話スクールで働いていました。私自身が英会話スクールに通わず、留学もせずに英語が話せるようになったので、英会話スクールなんて意味がないだろうと思っていましたが、実際に働いて、そこに通う生徒さんに接していくなかで、やっぱり「英会話スクールに通ったところで英語が話せるようになるわけではない」という結論に至りました。


英会話を学ぶ目的が単なる「趣味」で、英語を話せるようにならなくてもいいという人にはおすすめします。有り余るお金をどのように使えばいいかわからないので、とりあえず英会話スクールに行ってみようと思う人にもおすすめです。しかし、有り余るほどのお金はないけど、英語を本気で学んでしゃべれるようになりたいという人や英語初級レベルの人には英会話スクールは絶対におすすめしません。その理由はとてもシンプルで、

英会話スクールは時間とお金をかけるわりに成果がでない」からです。

そこで今回は、自身の英語学習の経験も踏まえ、私が実際に英会話教室でお会いした伸び悩む生徒さんにありがちな共通点をご紹介します。なぜ、英会話教室に長く通っても、いつまでたっても英語が話せず、上達しないのでしょうか。それは英会話学校は以下3つの問題点を含んでいるからです。

 

1やった気になってしまいがち

英会話スクールや英会話カフェ、オンライン英会話などの最大の欠点がこれ。誰でも英会話教室に通い始めた最初の頃はやる気満々ですが、何度も通ううちに徐々に最初のやる気が失われていってしまいます(もちろんそうじゃない人もいますが)。誰にでも起こる「なかだるみ」の時期には予習や復習を怠ったり、暗記や勉強を怠るようになって、だんだん「ただ通うだけの生徒」になってしまいます。たった一人独学で英語を勉強している人の場合は、「このままじゃいけない」と奮起して、もう一度机に向かうように努力するのでしょうが、英会話教室に通っている人はどこか「安心」してしまうのです。

週に数時間のレッスンで英語を勉強していると錯覚し、満足してしまう学習者が非常に多いです。しかし、当然ながら、週にたった数時間の英会話学習で英語が話せるようになるほど、英語力の取得は甘くありません。語学の取得と言うのは時間がかかることなので、「続けること」がまずは大切ですが、具体的な目標(試験や留学、旅行など)を設けるなどして、ある程度「集中的に」学習することも必要です。英会話教室に通って定期的に英語を話す機会ができると、どこか精神的に「安心」してしまい、だらだらと上達し、だらだらと続けるはめになってしまいます。これが英会話スクールに通う人の学習が非効率的になってしまう理由であり、英会話教室の落とし穴でもあると思います。

2インプットできる量が少なすぎる

英会話スクールに通う生徒さんの大半が初級者レベルです。しかし、個人的には、TOEIC600点(英語の基礎をマスターしているレベル)以下の学習者は英語で“会話”ができるレベルに達していないと思います。つまり、英単語や英語フレーズのインプット量が絶対的に足りていないということ。なぜならスピーキングとは、知っている知識をアウトプットすることだからです。使える英単語や英語フレーズのストックが自分のなかにいくらあるか?によって、会話の内容をどこまで掘り下げられるか?が決まってきます。

例えば、「週末は何をしましたか?」と英語で聞かれた場合、インプット量の少ない初心者の人は「友達と買い物に行きました」とか、「イタリアンレストランでおいしいカルボナーラを食べました」程度の短文でしか答えられません。しかし単語や言い回しをたくさん覚えて自分のものにした人は、「大学時代の女友達と彼氏の誕生日プレゼントを探すために買い物に行きました。帰りにテレビや雑誌でも話題のイタリアンに行ったんですけど、ここのカルボナーラが今までの人生で食べた中で一番おいしかった!○○っていうイタリアン、知っていますか?」のようなより具体的で、つっこみどころが多く、次の会話に繋がるような返しができるようになります。

そしてここが一番重要なのですが、インプットはわざわざスクールに通うよりも、自分一人で学習したほうが効率が良いのです。レッスン1時間の間で、先生との会話も織り交ぜながら覚えられる単語の数なんてたかが知れていますが、自分一人での勉強ではより多くの言葉やフレーズを覚えることができます。


それに、これは語学をマスターした人が共通して言うことですが、語学学習のなかで一番大切な要素は「暗記」です。日本語も言い回しやニュアンス、敬語や漢字など、とても奥が深い言語ですが、新しい言語を習得するというのはそれがどんな言語であろうと奥が深いものだと思います。ニュアンスまで正確に伝え、ニュアンスを理解できるようになり、自分や相手のキャラクターを表現・理解して人間関係を築くまでの力を身につけることが最終目標であれば、記憶しなくてはならないことの量は膨大です。時には理屈抜きで丸暗記することも必要だと思います。英語力とは覚えては忘れ、覚えては忘れを繰り返し、地道な暗記の努力を積み重ねた後についてくる力だと私は思います。地道なコツコツ暗記をすっ飛ばして、おいしいところだけをチラ見せするような「英会話」ではいつまでたってもベースが出来上がらないため、とても非効率的で初心者の方には絶対におすすめしません。英会話はインプットのその先にあるものだと自覚しましょう。

3「用意された場」にしか対応できなくなる

英会話スクールにはレッスン中は発言できるのに、世間話ができないという生徒さんが少なからずいます。これは英会話レッスンという「特別な環境」にしか対応できないからです。つまり、自分が用意してきたトピックでしか会話ができなくなってしまうということ。そして残念ながら実生活では英会話スクールのレッスンと全く同じ状況になることはあまりありません。私たちが普段日本語を話して会話しているのと同様に、英語でも話す内容や状況は無限にあります。「用意された場」があるのはレッスン中だけで、外国人の先生が熱心に話を聞いてくれるのも相手が「生徒さん」だからです。お金を払った相手とのみ英会話ができれば満足だという人はそれで構いませんが、英語を習得して仕事なり、留学なり、新たな人間関係に繋げたいという人は自分のわからない・用意していない状況でも積極的に発言していく力が必要になってきます。用意していないトピックでも、おかしな英語でもどんどん発言して吸収しようという積極性が大切なわけです。

英語で会話することに慣れていないうちは、ある程度「用意」することも大切ですが、会話の中で言いたかった英単語が思いつかなかった、文法を間違えちゃった…などの失敗はどんどんしていくべきなんです。「わからなかったことがわかった」が勉強です。わからないことがわからなければ「学習」にはなりません。だから失敗を恐れる必要なんてないのです。現に、英会話スクールで英語力が伸びていく生徒さんはレッスン前の「世間話」を積極的に行う人です。用意していなくても、間違えてもいいんです。かっこ悪くてもいいんです。大切なのは「知らないことを知りたい」と思う向上心だと思います。

 

最後に

語学スクールは「うまくなれるかもよ」詐欺だと思う。語学学習のモチベーションを保ったり、友達をつくったりという面では最適な場所だが、英会話スクールで「英語力が上がる」というのは最初から期待しないほうがいい。もちろん、英会話スクールに行って英語力がついた!という人もいるだろうが、それは英会話スクールのおかげではなくて、当人がたゆまぬ努力をし続けたからだ。英会話スクール側としてはその学校に通ってあっという間に上達する生徒が増えてしまえば商売にならないわけで…。

英会話スクールを「ビジネス」の観点から見てみると、生徒さんにはできるだけ長くモチベーションを保ってもらい、なおかつできるだけ長く通い続けてほしいわけだ。つまり、英語の上達にとても時間をかけてほしいということ。しかし、かといって全く上達しないのであれば辞めてしまう生徒さんがでてきてしまうので、希望を持たせるためにも「少しずつは」上達してほしいというのが英会話教室の本音ではないかと思う。私が「うまくなれるかもよ」詐欺だと思うのは、英会話教室の運営には生徒の学習の非効率性を含まなくてはいけない「事情」があるからでる。やっぱり、英会話教室には行く必要ない。英会話学校に通ってみようかと考えている英語初級者のみなさんには全力で反対する。

日本全国の英会話スクールの運営に必死な方たち、本音ばかり書いてごめんなさい。


15 コメント

  1. 1対1で実際に発言する機会を頻繁に与えられる英会話教室でも英会話が身につかないのでしたら、学校の集団指導で英会話を身に付けろなんて到底無理なのでは?
    大阪では、「受験英語は役にたたない。とにかく必要なのは英会話」という信条の橋下市長の強行により、小学校から英会話の授業を行い、小学6年生で英検3級、中学3年で準1級の取得を目指すそうです。
    私はサッパリこの言い分は理解できませんが。

  2. 英会話スクールに一年間通ってました。
    英語力の土台はやはり、文法と単語の知識の蓄積であり、自己学習か、全くの英語環境に身を投じるしかなく、それは英会話スクールでは養われないと思います。
    正直、英会話スクールの日本語解説が無いようなテキストでは文法知識は全く身につかないし、まだForestでも読んだ方がマシです。
    じゃあ英会話スクールは全く無駄かというと、スクールにもよるんでしょうけど、英語圏での会話構築の手順やマナー、文化的価値観の違いや、人間関係や付き合いの在り方・距離感を生身で感じる第一歩としては悪くないと思います。お金と時間に余裕があれば価値はあるでしょう。
    完全な自己学習では、どういう言葉遣いがどういうTPOに適しているかとか、今ひとつ分からないし、仕事の現場では一々文化的ギャップなんて質問してられませんから。

  3. 英会話は英語の学習方法のひとつとして、取り入れるのがいいんでしょうね。
    私も含め多くの人は、英会話に行けば何とかなると思っています。
    ただ、英会話がダメならどうすればよいか、未だ問題ですが…。

  4. 面白い記事ですね。納得して読みました。
    ただ、普段日本語しか使う機会のない人は、どうすれば上達できるのでしょう?

    モチベーション、継続性や暗記などは重要だと思いますが、実際に使って上達する実感がなければゴールには辿りつけないのでは?英会話スクールはこの辺をうまく演出していますが、それを鵜呑みにせず自分の杓子で上達を測ればよいと思います。「英語が上達したね」と言われるのはまだ初心者の印なので、これを言われないレベルになるまでは英会話スクールが丁度よいのでしょう。ただ、どんな手段をとっても受け身では上達しませんよね。

    私は高校生まではまったく英語が話せませんでしたが、日本国内で勉強して、今では英語圏の国に永住しています。英会話スクールが勉強の主役ではなかったですが、他の人には聞きにくい事とかも質問できたり、1日中英語ずけにして場慣れする機会となり、無駄ではなかったです。

  5. 結構前の記事ですが、気になったのでコメントします。
    おっしゃる通り私も初心者が英会話教室に行くことはあまり好ましくないと思います。文法知識なら高い金を払って教えてもらうより、自分でやった方がはるかに効率がいいですし、なにより初心者は沈黙、考える時間が多いため貴重なレッスン時間を無駄にしてしまう気がします。終わってみたら圧倒的に講師の方が話していた、なんてことにもなりかねません。なので初心者の方はまず基礎的な単語、文法知識を身に着けることがレッスンを受けるより重要かと思います。
    ただ、筆者さんは独学のみでできるような書き方をされていますが、私はアウトプットの場は絶対に必要だと思います。もちろん筆者さんの言うとおり会話表現のインプットなくしては話せるはずもありません。しかし、表現をインプットできた、暗記できたからと言って、それをアウトプットできるとは限りません。アウトプットとは、状況に応じて、自分の持てる知識の中から瞬時に適切なものを取り出し組み合わせるという高度な行為です。なのでアウトプットにはアウトプットのための訓練をしなくてはならないと思います。自分で質問を用意することで、アウトプット練習は一人でもできるのかもしれませんが、やはりどんな質問が来るのか分からない、瞬時に答えなくてはならない、ような状況で学習するのが一番ではないでしょうか。そういった意味で私は英会話スクールはアウトプットの場、自分の能力の披露の場として大いに機能すると思います。インプットとアウトプット、この二つをしっかりとこなしてこそ、会話力は向上するのではないでしょうか。
    ですからもちろんアウトプットの場はなにも英会話スクールでなくても、英語カフェでも、language exchangeでも外国人の友人でも、なんでもよいと思います。(ただ下手くそな英語をボランティアで聞いてくれる人などあまりいない気がします。。)最近では安いオンラインスクールも出ていますし、これを利用しない手はないでしょう。アウトプットによってはじめて、自分の現在地が分かりますし、なにより英語を勉強するモチベーションにもなります。筆者さんはインプットの重要性を主張されていますが、私は逆に、インプットだけでやった気になるな、アウトプットもややれ!と主張したいです。
    あと最後に筆者さんは、英会話教室が生徒に長く通ってもらうため「上手くなるかもよ」詐欺をしている、と書かれていますが、英会話学習はもともと時間もかかり、上達に際限もないものですので、わざわざ上達を遅くするような必要もないもではないかなと思います。しっかりとやってくれている教室もちゃんとあると思います。インプットの重要性を指摘する筆者さんの意見は最もですが、ちょっと批判がすぎるかなとも思いました。

  6. 一人での勉強は限界がありますね。

    自分の通ってるところはイギリスの先生ですが教室に入ったら日本語は一切しゃべりませんから
    そうすると一人おいてけぼりで何がなんでも話さないとダメだとゆう意識とハングリー精神が身につきます
    つぎの週から録音機材を用意し勉強したらわりと簡単に喋れるようになりました
    しかもネイティブな発音で
    先生の話してることがわからなくて辞めていくならその人の英語を話したいとゆう気持ちはたかがしれてると思います

    英会話に通うも通わないも正解はなく結局は本人のやる気でしょうね
    ただその発音や文法では通じないと注意してくれる先生がいるといないではさがでてくると思います

  7. この記事には同感です。まずインプットをたくさんすべきです。そのうえで、アウトプットの機会を得るために英会話教室に通うのはありかもと思います。私自身も長年英会話教室へ通っていた経験がありますが、3年の英会話教室(週1回以上)よりも、1年間多読多聴を続けるほうがずっと効果がありました。多読多聴を数年続けたあとは、字幕なしで映画も理解できるようになりましたし、TOEICも950点を超えました。昨年は数か月アメリカに滞在する機会がありましたが、電話を通じての交渉ごとなどもスムーズにできました。その後オンラインで英会話を再開しようと無料体験コースを受講しましたが、講師が間違った英語を話しているのを聞いてがっかりました。オンライン英会話はお安いですが、ネイティブに習うようなわけにはいかないようです。

  8. わたしが四年間通っていた大手英会話学校の先生は、間違えると大きな声で怒り、会話の台本を作ってくることを指示していました。
    わたしがテキストをスムーズに音読できるようになると、自分の手柄のように振る舞い、うまくいかないときはわたしの努力不足を指摘してきました。
    オリジナル教材を購入しているうちは、それでもいい生徒だったようですが、余りに高価で、その割りに市販の教材より内容が優れているとは思えないので、断ったところ、やはり気に障ったようです。
    民間の営利企業なので、講師といえど営業マンとしての使命もあるようで、生徒の持っている金を目当てにいろいろ考えているみたいで、本当に信頼していいのか迷うのも、英会話学校の問題だと思います。

  9. 貴重なご意見ありがとうございます。その通りだと思います。そこで教えて頂けますか?今どうしたら、話せるようになるか、悩んでいます。

    • まずはインプットの量を増やすこと。知識を増やし、がっちりと丈夫な基礎を作り上げることです。

      それができたら、やはり一番いいのは海外で生活してみることだと思います。英語で暮らしている人たち、社会に入り込んで仕事をしたり、友達を作ったり、恋愛したりという「経験」を何度も積むうちに絶対に話せるようになります。

      日本でこれと同じことをするのは大変難しいですが、できないこともありません。外国人の多く集まる場所に行き、友達をつくるという方法があります。

      とにかくインプットが終わったら、次はアウトプット。文法ミスなどを恐れず、しゃべって、しゃべって、しゃべりまくること。たまには失敗もしますが、これも必要なことです。

      「知識を増やす→知識を使って話しまくる」
      これが、英語が話せるようになる一番の近道だと思っています。

  10. こんにちは。
    私も英会話スクールはアウトプットの場であって英語の力を底上げする場ではないと思っております。おっしゃる通り、基本的にはテキストに沿ってレッスンが進められるため用意された場面のみには対応できても脳内のインベントリーに無い場面では無力となってしまうのは致し方ないことなのでしょう。
    ただし、行ってはいけないというタイトルにはあまり賛同できません。英語にかぎらず他の言語でも言えることですが、アウトプットの場として英会話スクールにおいてその言語を用いたコミュニケーション能力(文化背景)の向上ができるという点においては有用ではないでしょうか。また、英会話ができる最低基準としてTOEIC600点という具体的な数字を挙げていらっしゃいますが、それでは数百後程度の語彙しか有さない英語圏の幼児が親と難なくコミュニケーションを取ることができるという事実は説明がつきませんね。
    単語/文法暗記とおっしゃいますが、私は量的な暗記よりも質を重視した暗記・インプットが大切だと考えております。スムーズに会話を運べないのはあくまでも母語(日本語)で思考しているからであって、語彙数・文法知識が少なくとも英語で思考することができれば(apple→りんご方式ではなく)スムーズなコミュニケーションが可能ではないでしょうか。
    また、会話第一主義が主流の日本では留学をすれば英語ペラペラという夢のような話がありますがそれも違うのではないかと思います。大学在学中は1年留学者若しくは帰国子女が9割ほどのクラスで学びましたが、1年留学しただけの学生はあまり英語力(スピーキングのみならず)が高くなかった印象を受けました。留学しても課題を真面目に取り組まなかったり、日本人同士で固まっていたなどの要因が大きいと思います。結局のところどれだけ英語に触れたか(現代では国内でも気軽に英語に触れることができますね)が大切なのではないでしょうか。

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