「この3、4年で急速にマスクをする人が増えた。今も上昇トレンドにある。」

小林製薬の調査によると、ほぼ毎日マスクを使用する人の割合は着実に増加しています。2008年が18.0%、09年が26.2%、10年が27.7%、11年が30.6%と増加の一途を辿っています。小林製薬は「12年もマイナス要因は見当たらない。使用する割合は32%程度まで高まるのではないか」と予測しているそうです。


そんな日本では増加傾向にある「マスクをする人たち」ですが、西欧の国でマスクをして外を歩くとたちまち奇異な目でジロジロ見られてしまいます。「あの人は強盗しようとしているんじゃないか?」とか、「吐息で感染するヤバい病気を持っている」とか、「手術かなにかするの?」と変に誤解されてしまいます。それではなぜ海外では完全におかしな人として見られてしまう「マスクをする人」が日本ではこれほどまでに受け入れられているのでしょうか。

そこで今回は海外では全く流行らないのに、日本人にはこんなにも重宝されているマスクのヒミツについて探ってみたいと思います。「マスクをする人」を奇異な目で見る海外と日本の違いを7つにまとめてみました。

 

1. すでにマスクをしている人が多い

これは根本的な部分になってしまいますが、もし日本にマスクをする人が全くいなかったら日本でも変人扱いされていたのではないかと思います。マスクをつける人がすでにたくさんいるからこそ、明日から毎日マスクをつけろと言われてもさほど抵抗ないのだと思います。

鳥インフルエンザが流行したメキシコでマスクをする人が報道されましたが、当時の北米ように世界中でマスクをする人が増えれば、それが日本であろうが西欧だろうがどこの国でもマスクをつける人が増えるでしょう。マスク人口が増えるほど、マスクに対する抵抗感や偏見がなくなるのではないかと思います。

 

2. 大都会=世界的にもまれな人口密度

1km2当たり6,017人いると言われる東京都。東京の大都会は世界的に見て、とても人口密度の高い街です。満員電車などの空気の通りが良くない密閉された空間に多くの人がいる場に行くことも少なくありません。このような人口密度の高い街ではあっという間に感染症が拡大してしまいます。人が多く集まる場所では、誰がどんなウイルスを持っているかわかりません。

そういった日本独自の“人の多さ”からくる恐怖心が「マスクをして予防する」という行動に繋がったのではないでしょうか。現に、日本でも田舎に行くとマスクをしている人は少ないそうです。

 

3. インフルエンザや花粉症を煽るマスコミ

「マスクをする人」を奇異な目で見る海外と日本の違い 7パターン

もちろん日本以外の国でもインフルエンザが流行したり、花粉症で苦しむ人がいます。私の住むフランスでは、鼻炎持ちで1年中くしゃみをする人によく出会います。花粉症の季節になれば目や鼻を真っ赤にして辛そうにしている人も少なくありません。インフルエンザやガストロ(ガーン. ロタウィルス胃腸炎)にかかったという人の話をよく聞きます。
私の印象では、インフルエンザや花粉症で苦しむ人の数ではさほどの違いがないのではないかと思います。それでは何が違うのか?それはマスコミの報道です。フランスのテレビやニュースでは、日本ほどインフルエンザや花粉症を取り上げて報道していません。日本のニュースでは「インフルエンザで都内の小学校の○校が休校になりました」と毎日のように報道したり、インフルエンザや花粉症対策グッズの紹介などがされていますが、これはあまりフランスのメディアでは見かけないことです。
事実を伝えることも重要ですが、日本のメディアは恐怖心をあおり過ぎているようにも感じます。

 

4. 他人に迷惑をかける人に対して厳しい社会

今となってはマスクをしても恥ずかしくない時代になりましたが、昔は海外と同じく「マスクをする人」がごく少数派で珍しい人だったはずです。ではなぜ海外では流行らないのに、日本ではマスクが受け入れられたか?


それは日本が他人に迷惑をかけることに対して、より厳しい社会だからです。集団主義社会である日本ですが、「他人様の迷惑になることはするな!」と言って育てられ、他との調和を大切に生きる人も少なくないはずです。そういった日本社会ではむしろ「風邪ひいているのにマスクをしない人」のほうがマナー違反とされ、非難されます。風邪をひいてゴホゴホ咳の出る人は、他人に煙たがれるよりもマスクをする方が賢明でしょう。

反対に海外では、咳やくしゃみがとまらない人でもマスクをすると、「そこまでする必要はない」と言われます。人に向かって咳やくしゃみをするのは海外でもマナー違反ですが、手を当てたり、人がいない方を向いてすればOKだそうです。

 

5. 顔隠し

マスクの本来の目的とは違う使用法が登場してきているといいます。女性の中には「化粧していないのを誤魔化す」「寒さ対策」や、男性では「ひげを剃っていないのを隠す」という目的でマスクをしている人がいるそうです。なかには、日本人は顔をさらけ出すことに対して抵抗感をもっているのではないか?という人もいます。

実際にマスクをしている人のなかには、「マスクをしていると何となく落ち着く」という人や「表情を隠したいから」という人もいます。確かにアメリカ人に比べると、facebookなどのSNSで自分の顔をさらけだす写真が日本人は少ないです。マスクをするのもこれと一緒で「自分の正体をさらけだしたくない」という気持ちの現れなのかもしれません。

 

6. 衛生面、健康維持にうるさい国民性

長寿大国の日本人は世界的にみても、衛生面、健康維持にうるさいです。アメリカンファミリー生命保険会社の創業者ジョン B.エイモスは風邪予防の為にマスクをしていた多くの日本人から、衛生に対する意識の高さを感受して、日本市場への参入を決意したそうです。それだけ外国人の目から見ると、私たち日本人は衛生に対する意識が高いと思われています。

日本で抗菌グッズが流行ったり、外国人から見ると過剰だと言われるほど丁寧な包装をするのも、日本人が衛生面に対して厳しいからではないでしょうか。毎日入浴をする国民も世界では日本が一番多いと思います。3で、インフルエンザや花粉症の報道が多いことを挙げましたが、逆に言えば日本人の「冬の健康管理」に対する関心がそれほど高いということ。清潔さと健康にこだわる日本人だからこそ、マスクの着用が受け入れられ、広まったように思います。

 

写真:応其小学校
写真:応其小学校

7. 給食当番

よく考えてみると、私たち日本人は幼いころからマスクが珍しい物ではなかったと思います。私が人生で一番最初にマスクをつけたのは、小学生のころ。学校の給食当番でマスクをつけることを義務づけられ、初めて「自分のマスク」を買ってもらいました。

海外に比べて学校給食が一般的な日本では、幼いころにマスクをして給食当番をした経験がある人も少なくないでしょう。つまり、西欧人に比べて日本人はマスクに幼いころから親しみがあるということ。

医者がするマスクしか見たことがない外国人に比べると、私たち日本人はマスクがより身近に感じられるのではないでしょうか。これがマスクをする人口が増えた日本の根本的な理由だと思います。


12 コメント

  1. 40年前を思い浮かべてみたが、小学校でも保健所の指導で風邪の時はマスクをするようにうるさく教えられてきた。
    そういう啓蒙活動が今につながっているのは間違いない。

  2. アメリカに留学していた友人に聞いたんだけど、風邪をこじらせ咳が出る状態で学校に行ったら、クラスメートから「何故休まないんだ?」「私が風邪に感染したらあなたはどう責任を取るつもりだ?」と文句を言われたようだ。

    あちらでは咳が出る状態では休むのが常識なのかな?

  3. 世代ギャップでしょうか?私が子供の頃、多分、インフルエンザの流行があった時だと思います。
    それも、今までほぼ、Aがただったのが、Bがたがはやったとこの時に、マスコミでも、医者に行っても、学校でも、風邪をひいたら、必ずマスクをするようにと、政府からの指導のようなものがあった記憶があります。
    マスクをすることで、何%だか感染が抑えられるとかというのマスコミでやっていたはず。
    また、海外ではマスクの効果など対して無いというのが一般的ですが、日本ではマスクをすることで、花粉を99%防ぐとか、風邪の菌も防げるというのをうたったマスクが出ています。
    実際、喉の乾燥を防ぐだけでも、風邪予防の効果があるのに、海外ではそのことにを、軽視しすぎだと思います。
    花粉の時も、風邪の時もマスクをしたほうが楽ですが、奇異な目で見られるために、マスクができない外国もおかしいと思いますよ。

  4. なんだかんだ言いながらフランス人も人の目が気になるんですねwww

    効果に「防寒」ってのも付け加えといて下さい

  5. 日本行の飛行機を細かく見なくても、マスクしている人が多いので簡単に探せますが、気にしすぎ、しかも表情の少ない日本人なので更に人相が悪く感じます、
    他国と比べてはいけないけど、不正のないよう、郵便局、銀行等は最低でもマスク、に帽子を外したほうがいいと思います。人相抜きで、印鑑だけでことが済まされる事態がいい加減です。

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