大阪市立桜宮高校で男子生徒がバスケ部顧問の男性教諭から体罰を受けた翌日に自殺した問題を受け、日本では「体罰」について様々な議論が巻き起こっている。学校教育現場における体罰を厳しく非難する意見が多く見られたが、そもそも日本の学校教育の場においては、学校教育法第11条で、校長および教員体罰を加えることはできないとされている。

 このように殆どの先進国では、親以外による体罰を原則として禁止しているが、意外にも世界一の経済力を誇るアメリカでは、体罰が容認されている州もあるのだ。アメリカでは50の州のうち、19の州で体罰が法律で容認されている。この数字からも推測されるように、アメリカではしばしば「学校教師による生徒への体罰は必要なのか?」という議論が起こることが少なくない。


そこで今回は、様々なディベート・意見交換をする米コミュニティーサイトdebate.orgより、「学校教育現場での体罰がよくしつけられた子どもを育てることに繋がるのか?(Would school corporal punishment promote well-disciplined students?)」というテーマで議論したアメリカ人の体罰容認派と反対派の意見を紹介する。私たち日本人の体罰問題への認識と異なる点はあるのだろうか。

 

あなたは学校教育現場に体罰が必要だと思いますか?

【YES】
 体罰は必要。最近の子どもたちは行儀の悪い子が増えてきていると思います。このような子どもたちには体罰のようなしつけがすぐに効果のでるやり方です。体罰は一般的に、子どもにひどい肉体的苦痛を与えるものではなく、警告するものです。しかも、体罰を学校教育現場で使えば、教師に威厳をもたせることもできます。投稿者:匿名希望

【NO】
体罰は子どもたちへの暴力です。体罰は子どものしつけにはなりません。多くの人はそれを単なる子どもへの暴力として認識すると思います。子どもの敏感な肌に、深刻なダメージ(怪我やあざなど)を残すことに成りかねません。投稿者:匿名希望 

【YES】
躾にはつながるけど、擁護はしません。きちんとしつけられた子どもを育てることにはなりますが、教師と生徒の関係は壊れるだろうし、教育への努力も無駄になってしまうと思います。しつけることには繋がるけど、長期的に見てプラスになるかと言ったら疑問です。体罰は短期的なしつけには繋がるが、子どもを深く傷つける虐待にも繋がってしまいやすいというデータがあります。(参照投稿者:16kadams

これが現在では禁止されているパドリング(paddling)
現在19の州で禁止されているパドリング(paddling)

【NO】
学校での体罰が善い行いには通じません。私が子供の頃はパドリング(木製のカヌーで使用する櫂でお尻を叩くこと)が容認されていた時代でしたが、体罰によって子どもが行いを改めるとは言い難いです。パドルされることに対する恐怖心を植え付けられた生徒もいましたが、間違いを起こす子は体罰によってその行動を正すことにはなりませんでした。結局のところ、同じ生徒が何度も間違いをおかし、何度もパドルされる…といった状態でした。投稿者:VoicelessEmil67

【YES】
 学校での体罰はきちんとしつけられた子どもの育成につながります。残念ながら現在のアメリカでは、多くの子どもが家庭でふさわしい教育やしつけを受けていません。ですから、学校でも家庭でも自分の好き勝手に行動する子どもが多く、とても手に負えない状態です。これでは、クラスで本来学ぶべきことを学べず、他の生徒にも迷惑になってしまいます。生徒が厳しくしつけられるからこそ、より多くのことを成し遂げられるのです。投稿者: AmazingJunior58

【NO】
暴力が解決策であることを子どもに教えることになるので、私は学校での体罰に反対です。これは生徒への虐待にも発展しかねません。学校での身体を通じた体罰は、「罰する」ことにはならないと思います。罰というのは罪に匹敵するものに与えられるべきであると思うし、生徒の間違った行動に対する躾として体罰をする意味が私にはわかりません。体罰は物事を解決する方法としての“暴力”を助長するものであり、これは許し難いことだとおもいます。しかも体罰を認めてしまったら、体罰容認派による虐待を助長することになりかねません。私は小学校の教員免許を持っており、長年、学校教育の現場に携わってきましたが、生徒の悪行はその子どもの行動にあったものであるべきだと思います。子どもが悪いことをしたら、それがその子本人や他の人にどのような結果をもたらせてしまうのか?大人は子供に自分で考えるよう指導すべきです。投稿者: DaffyRosario43


【YES】
子どもは何が重要なのかわかっていない場合が多いので、学校での体罰に賛成です。子どもは自分の行動に越えてはいけない一線があることを理解する必要があります。子どものする行動には絶対に許されないものもあるため、体罰を用いることによって「どこが越えてはいけないラインなのか?」を理解させることに繋がると思います。親が家庭で子どもを甘やかし、しつけのなっていない子どもを学校に通わせるのなら、これはもう学校で厳しくしつけるしかないわけです。親や学校がしつけに失敗し、その結果しつけのなっていない子どもが後の人生で会社をくびになったり、殴られたり、刑務所にいくことになったりして、苦しむようになるのです。投稿者: R0d30NeiII

学校教師の体罰はしつけになるのか?激論の絶えないアメリカ人の意見
アメリカでは19の州で学校での体罰が容認されています

【NO】
 体罰を許すと“暴力”を増やすことになります。教師による体罰は良くしつけされた子どもを育てるのではなく、暴力が容認され、擁護されると文化を生み出すだけです。このように教育された生徒は日常的に暴力を使うような大人になってしまいます。家族単位で苦しむようになり、最終的には全人口、社会がより危険なものへと変わってしまうのではないかと思います。投稿者: TedieDelight

【YES】
子どもには何かしらのしつけが必要です。私は教室で生徒を罰することのできる教師の指導力を評価します。もちろん子どものしつけは最終的には親の責任ですが、最近の子どもたちは親にきちんとしたしつけを受けていない子が多いと言うのは明白な事実です。学校でも体罰できるという選択肢を与えることは、子どもに先生をあざけるような態度をとってはいけないことを教えたり、きちんとしたモラルを教え込むことに繋がります。投稿者: M4ck3God2iIIa

【NO】
体罰は効果的な方法ではありません。年配の方はよく「私たちの時代はよくパドリングされていたので体罰は問題ではなかった」と言いますよね。私も実際子どもの頃、パドルの罰を受けたことがありますが、こういった体罰が私に教えてくれたことと言えば、「どうしたら捕まらずにすむか?」です。身体的に罰を与えることは、子どもが小さなうちに適切な方法ですれば効果的だと思います。しかし子どもが小学校にあがると、体罰の効果は一気になくなってしまうのではないでしょうか。良いことと悪いことの違いを叩いて教えることはできません。お手本を見せることが一番効果的なしつけです。つまり、子どもの親や友達が正しい見本となって行動や振る舞いを実際にやってみせるということです。学校で子どもを叩いても、その子が学校に行きたくなくなるだけです。投稿者: Qu4yI3TaI

【YES】
体罰が必要なのは、考える必要もないほど当然なことです。体罰と暴力には何の関係もありません。むしろ現代で体罰が減ってきたからこそ、暴力が増えてしまっているのです。今は行儀の悪い態度や他人を思いやらない態度をとってもオーケーな時代です。このような社会ではどこに境界線を引けばいいのでしょうか?鞭をうって育てる必要のない子どももいますが、そうではない子どもも確実にいるのです。家庭できちんとしつけられず、学校でも体罰が許されないのなら、学校教育の目的はどこにあるのでしょうか?投稿者: livingart

【NO】
体罰をする代わりに、子どもに何が間違っているのか言って聞かせましょう!子どもというのは、次世代のスターです。そんな彼らを罰しないで下さい。それよりも、彼らを説得するように努力すべきです。子どもはたやすくわかってくれますから。投稿者: N3IiGood

容認派は「体罰はある程度必要だ」と言う意見が多く、その理由は「しつけのなっていない子どもが増えているから」という意見が目立ちました。反対派は「体罰で子どもをしつけることにはならない」という意見が多かったように思います。さあ、あなたは学校での教育現場における体罰についてどう思いますか?あなたは体罰容認派or反対派ですか?
記事参照元:debate.org

3 コメント

  1. 昔はよく「女の子を育てるのは大変だ」と言われました。
    なぜなら女の子を躾ける際に、体罰をしてはいけないと一般的にされていたから。
    ですがいまは、男の子を育てるのが大変だと言われています。
    なぜなら今は、男の子にも体罰をしてはいけないとされるようになり、
    親の肉体的体力が衰えた頃反抗期を迎える男の子は、とても手に負えなくなるようになったからです。

    小さい頃から親や先生が体罰をするという事は、深層心理に「このひとには逆らえないなあ」という感覚を植えつけることで、子供の内はわからないけど大人になってから理解できるタイプの教育を、無理なく施せる最良の手なのです。

    体罰を止めて理論でわからせるというのは、子供に子供時代を経験させず、
    初めから大人の理論で生きることを強制していることにもなるのです。
    子供の頃、大人の会話が理解できなかったので親戚の集まりは嫌いでしたが、
    そういう子供に大人の会話も理解しろと言っているようなものなのです。

  2. 怒鳴るだけで子供は悪事と認識するよ。
    しつけは反抗期を迎える前に完了させなければならない。

    少なくとも反抗期を迎えたら暴力など無意味。
    そのストレスや不満を弱い者へとぶつけるだけの連鎖。

    また、その手段が限定的な条件でもって効果的だったとしても、
    教員がその手段を正しく行う保障がなく虐待を許す危険性が伴う。

    体罰が方法として善いか悪いかという議論に関係なく、別の問題へのリスクを考えると誰彼かまわず許可する事は社会的に悪い影響が大きい。

    しつけが必要なのは子供ではなく大人の方。
    虐待への取締りと刑事罰という大人のしつけを行う行政が機能していないかぎり、体罰を容認する事はない。

匿名 への返信 返事をキャンセル

Please enter your comment!
Please enter your name here