通訳泣かせの日本人の特徴4つ|通訳してもらう時の注意点と対策

海外に住んでいる人や外国語が話せる人は、これまで通訳をお願いされた経験も多いのではないでしょうか。

筆者もこれまで何度か英語&フランス語の通訳をしたことがありますが、この人の通訳はしやすい!というタイプの人と、「この人の話す日本語は訳しづらい」という通訳泣かせの人がいるなぁと毎回思います。通訳しづらい人に共通していえるのは、


通訳を精巧な機械と勘違いしている

という点です。自分が言いたいことを日本語で言えば、あとは自動的に通訳を介して100%相手に伝わっていると信じている能天気な人が多いですが、こういう人は本当に通訳泣かせ。英語も現地語も出来ず、またその意欲もない人に特に多いです。

実際のところ、同時通訳者は完璧な自動翻訳機ではありません。話者と通訳者の二人三脚ができて初めて、うまく相手の外国人へ伝えることができるのだと思います。

つまり、うまく通訳してもらう時は「コツ」がいるということ。そこで今回は、通訳泣かせの日本人の特徴を元に、通訳してもらう時の注意点と対策を紹介します。せっかく通訳してもらうのだから、自分の言いたいことを100%相手の外国人に伝わるように通訳してもらいましょう。

 

通訳しづらい人の特徴(注意点)

通訳泣かせの日本人の特徴4つ|通訳してもらう時の注意点と対策

1.長文一気読み

通訳する暇を与えずに、自分が話したいことを長々と話し続ける人は非常に通訳しづらいです。1分間くらいベラベラしゃべった後に、「はい、通訳お願いね!」と振られても、もう最初のあたりで言ったことはほぼ覚えていません。こうなると、日本人が言ったことを100%外国語に変換するのは不可能なので、かなりかいつまんだ内容に訳せざるを得なくなってしまいます。

この時、どの部分をどの程度まとめるのかというのはその通訳者の裁量にゆだねられます。そうすると、通訳者が訳した内容と日本人が伝えたかった内容にギャップが生まれてしまう可能性があるわけです。

ですから、自分の言ったことを正確に訳してもらいたいなら、短く切って話すようにしましょう。一言二言言ったら、間を置くぐらいが丁度いいと思います。プロの通訳者ならこのへんはもっとうまくできるのかもしれませんが、やはりその場合でも短く切って話すのに越したことはないでしょう。

2.日本にしか通用しない表現&ギャグを連発

これは通訳しづらいのもありますが、何より面倒臭いです。「アルミ缶の上にあるみかん」などのオヤジギャグは、日本語の”音”を理解して初めて面白い(?)わけで、これをいちいち「アルミ缶というのはaluminum canで、~の上にあるというのはon the  top of~で、アルミと”~あるみ”がかかってるんだよー、面白いでしょ?」と説明して笑えるわけがありません。

また、「お邪魔します」、「よろしくお願いします」、「つまらないものですがどうぞ」、「恐縮です」、「お世話になります」など、英語やフランス語に直接訳出来ない表現を連発されると、非常にやりにくいです。

こういう場合は、筆者は「よろしくお願いしますというのは、日本ではこういう場面でこういう気持ちを伝えるために言う表現です」と説明しますが、正直とても面倒臭いです。説明したところで(私の説明の仕方が下手なのかもしれませんが)、あまりピンとこない反応をとられることが多いです。説明する時間がなさそうな時は、訳すらしません。通訳をお願いするときは、何が日本特有の表現なのかをある程度知っておくといいでしょう。

3.情報ではなく「感情」を即興で!

これまで通訳をお願いされたなかで一番難しかったのは、「結婚式で、私の両親から旦那の家族へ向けた感謝の気持ちを即興で訳す」というものでした。短く切らずに長々と話す両親の話し方にも問題はありましたが、「気持ち」を訳をしなければならない場合は、とーーーーっても難しいです。

通常、「この商品の色違いはありますか?」や「切符の買い方がわかりません」、「ピーという発信音の後にご用件をどうぞ」などの「情報」を訳するのはとても簡単で、日本語と外国語に意味の誤差はほぼありません

しかし、音楽の歌詞や心のこもった手紙、気持ちを込めたあいさつなどは、通訳者の言葉のチョイスによって伝わる意味が全然変わってきてしまいます。「どうもありがとう」を、Merci.にするのか Merci bien. にするのか、Merci beaucoupにするのか、 Mille merciか、 Merci du fond du coeurにするのかというさじ加減は、その場の状況や話者のキャラクター、事前の打ち合わせ内容などから通訳者が判断します。

感情をうまく別の言語で伝えると言うのは、機械的にできないぶん、即興で同時通訳するのは非常に難しいです。「情報」ではなく、「気持ち」を通訳してもらう場合は、事前にしっかり打ち合わせをして、あなたと通訳者の解釈が一致するようにしておきましょう。

4.何言ってるの?

日本語は非常にあいまいな言語です。それに加え、空気を読んで察する文化なので、私たち日本人は日頃から「空気」のような言葉でコミュニケーションをすることに慣れています。しかし、これが通訳者にはとても訳しにくいです。


「こうしていいと思うか?」というYES/NOの質問に対して、「それはどうかな」、「そうかもしれないけどね」、「良いと言う人もいるけど」、「どうだろうねー」のようなどっちつかずの返答をされた場合、どこまで訳して色付けしていいものなのか非常に悩みます。しかも、質問者の外国人のほうは、日本人が何と言ったのか注意深く観察しているので、ここではっきりした返答をしておかないと、きちんと通訳していないのではないかと疑われてしまいす。そしてこのケースは本当にとても多いです。

日頃から曖昧な表現をよく使う傾向にある人は、この点を意識して注意しておきましょう。すぐにYES/NOの返事が出せない場合は、「~までに返事をする」、「私は意見できる立場じゃない」、「良くわからない」とはっきり返事が出せない理由を説明するようにしましょう。

 

通訳しやすい人の特徴(対策)

通訳泣かせの日本人の特徴4つ|通訳してもらう時の注意点と対策

1.こまめに「今○○って言ったんじゃない?」と確認してくれる人

私の友人で非常に通訳がしやすいなと感じる人がいます。彼女は、私が外国人と会話したときに「今、○○って言ったんでしょ?」とこまめに聞いてきてくれるのです。これは非常にやりやすい。

多くの人が、ある程度会話が終わった時に、「今なんて言ったの?」と質問してきます。しかし、これでは通訳者からすると、「えーっと、どこから説明すればいいんだっけ?」と一瞬、戸惑ってしまいます。「今なんて言ったの?」と聞かれても、いろんな話をしたし、どこの部分が聞きたいんだろう?と、まず考えます。

それに加え、やはり筆者のようなプロでない人にとっては、それまで英語orフランス語で会話していたのに、急に日本語に切り替えるというのが難しく、一瞬頭が真っ白になることもあります。

こんな時、ある程度予測をつけて、「今、○○って言ったんでしょ?」という聞き方をしてくれれば、相手がどの程度のことを理解しているのかというバロメーターにもなり、予測と違う場合でも「どう違うのか」を説明すればいいのでとてもやりやすいです。日本語訳との誤差も少なくなると思います。

2.外人に通訳してもらう時は、はっきり&簡単な言葉で

筆者の旦那(フランス人)が、日本人とフランス人の間に入って通訳することもありますが、このやり取りを見てて、外国人には難しい表現を使わないことが大切だなぁと思います。

基本的には、四字熟語や「矛盾」、「傲慢」、「中傷」、「嫉妬」などの漢字二文字の熟語は使わないようにしましょう。全て簡単な言葉で言い換えて下さい。目指すは、絵本や小学校低学年の国語の教科書に出てくるような言葉遣いです。これだけでも十分にコミュニケーションはとれます。

海外旅行先などで外国人ガイドに通訳してもらう時などは、この点に注意し、はっきりとした発音と簡単な言葉で話すようにしましょう。

3.とにかく、はっきりと!

質問されたときに、はっきりと答えるようにしてくれると通訳者としてはありがたいです。特に、結論が何なのかを先に言ってくれると助かります

通訳者としては、「話者が一番言いたいことを正確にキャッチする」という仕事と、「それを正確に外国語にする」という2つの仕事があるわけですが、特に日本人の場合は、前者の「話者が一番言いたいことを正確にキャッチする」のが難しいです。

この部分があいまいでわかりにくいと、その後にいくら正確な訳をつけても意味がありません。話している本人すら何を言っているのかわからないような場合は、むしろ口を開かないほうが得策です。とにかく言いたいことと結論をはっきりと!これに尽きます。

4.通訳者との事前打ち合わせが何より大切

通訳者にお金を払ってまで、伝えたい大事な要件がある場合は、事前の打ち合わせを大切にしましょう。それまでの状況を説明し、情報を共有して、目的やどんなことを優先して伝えたいのかをはっきりと明示しましょう。

通訳者とコミュニケーションをとって、互いの性格やキャラクター、コミュニケーションでの癖なども理解しあえるのが理想です。通訳者に丸投げするのではなく、二人三脚で協力し合ってコミュニケーションをするという心構えでいてくれると、通訳者にとっては非常にやりやすいです。

 

まとめ

日本人は通訳しづらい

正直、日本人が言ったことを外国語に訳すというのは非常に難しいです。反対の、外国人が言ったことを日本語に直すほうが、ずっとラクです。通訳や翻訳というのは本来、外国語→母語というように母語への変換が基本という理由もあるのかもしれませんが、やはり何といっても日本人は(特に口語では)、言うことが曖昧で、何と訳せばいいか分からない場合が非常に多いです。

このへんをもう少し、通訳してもらう日本人に意識してもらえれば、通訳を介したコミュニケーションの場もより一層有意義なものになると思います。


3 コメント

  1. 知り合いのフランス人やドイツ人に共通しているのは、自分があまりフランス語やドイツ語で言ったことを分かんなそうにしている時、分かりやすい言葉で話してくれるということです。日本語はあいまいな表現が多いというのも通訳しづらい原因の1つだと思いますが、それ以上に、日本の教育では難しい言葉を分かりやすい表現にして説明する訓練がされていないのも原因の1つではないでしょうか。
    ちょっと話はずれますが、中国人や韓国人には漢字二文字の熟語を使うと、逆に日本語で簡単な言葉を使うより通じやすいことが多いです。

  2. 仕事で通訳している時、日本語と欧米系言語の差を意識せずに話されると非常に困りますね。基本的に会話の成立ちが違いますし。

  3. この訳しづらい人の特徴はそのまま
    付き合いたくない人だ。
    上司だったら最悪。

    長々としゃべって結局何が言いたかったのか
    分からないのでイライラするし絶対にトラブる

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