外国語できると人生変わる!バイリンガルのメリットがわかる動画7選

2ヶ国語を習得している人をバイリンガル、3ヶ国語を習得している人をトリリンガル、2か国語以上話す人をまとめてマルチリンガルと言う。

筆者は英語とフランス語を話すトリリンガルだが、外国語ができるようになって人生が変わったなぁと心から思う。単純に「スキル」としてできることが広がっただけでなく、モノや世界をより多面的に見ることができるようになった。他の言語を習得することで、私たちの発想がいかに「言葉の定義」によって制限されるかを理解できるようになったと感じる。これは多言語話者には共通して得られる感覚なのではないだろうか。


そこで今回は、外国語を話せるようになるとどう人生の見方が変わるのか?をテーマに、バイリンガルになると得られるメリットを紹介した海外のユーチューブ動画を紹介する。これをきっかけに、あなたも新しい言語を学んでみませんか?

1バイリンガルの脳が持つ利点

バイリンガルの脳はどんな利点があるのかを説明したTEDのアニメーション動画(日本語字幕あり)。筆者が特に面白いと思ったのは、「大人になってから第二言語を学んだ人々は、ネイティブの人々に比べて、第二言語で問題に直面した時、感情的な偏見が少なく、より論理的なアプローチを発揮する」という点。

これは確かに思い当たるような気がする。日本語で話す時のほうがより感情的、情緒的になり、英語&フランス語のほうがより筋道を立てて、論理的に説明しようとする。これは文法や社会的な違いだと思っていたが、どうやら脳の働きによる違いらしい。

2赤ちゃんはどうやってバイリンガルになるのか?

一人では何もできないような状態で生まれてきた赤ん坊が、どうやって2か国語を覚えていくのかを説明した動画。色々な実験を紹介し、その結果から得られる仮説を教えてくれて、これも面白い。

例えば、生後4か月の赤ん坊に母国語の「音」を聴かせ、赤ん坊が興味を失ったら別の外国語の似た音にスイッチして聴かせる実験。多くの4か月の赤ん坊は別の言語に変わったと同時に振り向いたり、強くおしゃぶりをするなど「音の違い」を聴き分けている反応を示した。しかし、これと同じ実験を今度は生後8か月~1年の赤ん坊にすると、別の言語にスイッチしたときに「聴き分け」をした反応を示さなかった。

これは、赤ん坊が大きく成長する過程で、より母国語にフォーカスした脳細胞のコネクションを発達させるからだと言われている。この過程で必要のない”外国語の音”は切り落とされるというわけだ。

だから大人になって新しい言語を学んだ場合、例えば筆者だとフランス語の12時(douze heures)と2時(deux heures)を聞き分けるのが難しいが、赤ん坊のうちから正しい発音を聞き分けていれば、このかすかな音の違いをきっちりと「聞き分ける脳」ができるということらしい。

3バイリンガル脳は時間の感覚が異なる

バイリンガルは、話す言語によって時間の感覚が異なるという実験結果を説明したもの。

英語やスウェーデン語は、時間を「距離」で換算する。 例えば、short break(短い休憩)やlong wedding(長い結婚式)と言った感じだ。日本語もこれに当てはまる。しかし、ギリシャ語やスペイン語では、時間を「量」で表す。だから、スペイン語では「小さい休憩」や「大きな結婚式」という言い方をする。

スウェーデン語をスペイン語のバイリンガルを対象にした実験によると、スウェーデン語では時間を「距離」として、スペイン語では「量」としてそれぞれ別に認識していることがわかった。

このことから、いかに私たちが世界のあらゆるモノを「言語」を通して定義しているかが伺える。スペイン人に big weddingと言えば、その人はたくさんの招待客がいて「長い」夜をイメージするだろうが、アメリカ人にとってのbig weddingは、単純に招待客の多い結婚式をイメージするに留まるのかもしれない。

こう考えてみると、新しい言語を習得することで「世界の見方が変わる」というのは納得のいく話だと思う。「外国語を学んで世界観が広がった」という人の根拠はこんなところにあるのかもしれない。

4バイリンガルになると頭が良くなるのか?

ビデオの前半では、主にバイリンガルになると認知症の予防になるという話をしている。特に筆者が面白いと思ったのは後半で、「バイリンガルになるデメリット」の部分だ。

それはバイリンガルがコミュニケーションをとる時、両方の言語とも脳が反応するので、圧倒されてしまうことがよくあるらしい。2009年のペンシルバニア州とノースウェスタン大学の研究発表によると、バイリンガルは言葉を探すのに少し時間がかかることがわかった。これを、delayed lexical access と言う。

これは筆者も体験したことがある。特に、とっさに「今なんて言ったの?」と聞かれて、別の言語に訳さなくてはいけない時は、脳の回路が混戦している感覚がある。他にも例えばフランス語で何かを説明している時に、頭に浮かんだ言葉が英語だった場合、それをとっさにフランス語に直すのに時間がかかったりもする。


これはバイリンガルのデメリットであるが、しかし同時に「話す前に一旦考える」という習慣がついたようにも思うので、単純に「デメリット」として片づけられない部分もある。

5バイリンガルあるある!

こちらは「利点」を説明したものではないが、多言語話者あるあるをまとめた動画。筆者も思い当たる場面が多く、笑える。特に最初のシーン。散々中国語で噂話をした目の前の女性が、実は中国語ができるというオチの話だ。

実は筆者がフランス人の旦那と話している時は、英語&日本語&フランス語を織り交ぜて話すせいか、周りのフランス人は旦那をフランス人だと思わないらしい。そこで彼らはフランス語で堂々と私たちの噂話をするのだが、当の私たちは言われていることを全部理解できて気まずい…ということがたまにある。

6 言語がどのように脳を変えるのか?

この動画では、言語によってどのように脳が異なった働きをするのかを説明している。特に面白かったのが、

  • 英語などでは人に道を聞かれたときに、「ここをまっすぐ行って、次の角を”右”に曲がれ」のような言い方をするが、ある民族では「”東”に曲がれ」という言い方をする。この言語を話す民族は常に東西南北を意識している必要性があるため、空間認知能力に優れている
  • 色を表す時も同様。ピンク色を見て、「フ―シャ」、「サーモンピンク」、「桜色」のように分類して表現する人は物理的に色の違いを見分けている。反対に単純に「ピンク」と表現する人は、後でピンク色を思い出す時に、どのピンクも同じ明度・彩度のピンクしか連想できない。モノを表す言葉があるかないかで、脳に記憶するものに違いをうむという例である。
  • 中国語のように音のトーンで言葉の意味が変わるような「トーン言語」を母国語としている人は、楽器や音階を学ぶときに有利になる。ある研究では、音楽的なバックグラウンドがゼロの中国人は、英語圏の音楽家よりもも音階やピッチの理解力があると証明した。

7バイリンガル教育の重要性


この動画では、 子どもをバイリンガルに育てるメリットやそのコツを説明している。内容を簡単にまとめると、

  • バイリンガルの子どもは、問題解決能力に優れ、いらない情報を排除する能力が高い。
  • パパが英語、ママが日本語という教育法や、外では英語、家では日本語という方法もあるが、いずれにせよ、子どもに両方の言語で十分に話しかけることが大切。
  • モノリンガルもバイリンガルも、子どもの言語発達の時期に違いはない。
  • 子どもの年齢が上がるにつれ、正しい発音を身に付けるのは難しくなる。
  • 最低でも1日の会話の30%は第2言語で行うこと。
  • 子どもに話しかける話者が言語をきちんと理解していること。

8マルチリンガルになると、あなたはどう変わるのか

映画『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』の著者ヤン・マーテルさんが、マルチリンガルになることでどのように世界の見え方が変わるかを説明している動画。彼はフランス語、英語、スペイン語話者である。彼が説明する「英語とフランス語でどのように文化が異なるのか」という話は非常に面白い。

  • フランス語には英語にない、”YOU”のかしこまった言い方”Vous”がある。この言い方があるおかげで、誰かと会った瞬間にその人との関係性や身分をはかる必要に迫られる。これは英語にはないコンセプトだ。
  • 英語にも昔は””Thou”という言い方があったが時とともに失われてしまった。
  • カナダのフランス語を話す地域、ケベックでは”tu” をよく使う。フランスはより形式や格式にこだわり、”Vous”をより頻繁に使う。
  • ケベックフレンチでは駐車場のことを「terrain de stationnement」、フランスでは「parking」という。これはケベックが周辺をカナダ、アメリカのアングロフォンに囲まれているせいで、英語が流入するのを防ごうと努力した結果だと言われている。

確かに英語とフランス語の違いに注目すると面白い発見が結構ある。

例えば、スニーカー。フランス語では、les basketsというが、これはバスケットボールから来ているのではないかと思われる。また、”Have a nice day!”の返事として、フランス語のフォーマルな”vous également”という言い方があるが、これを英語に直訳すると”You equally”となり、これまた変な表現だなぁと思ったりする。

要するに、言語を直接訳出来ないということなのだが、この訳出来ない部分に言語体系や文化、国民性まで垣間見れるところが面白いと思う。

そんなそれぞれの言語のオリジナリティーを学ぶことが言語学習の醍醐味であり、あなたに今までとは違う視点で見る機会を与えてくれ、結果的に人生を豊かにするのではないだろうか。


6 コメント

  1. バイリンガルの条件は2つ或いはそれ以上の言語を使う国の文化の環境に日常的に接してないと無理でしょう。日常会話的なバイリンガルは可能でしょうがそれ以上になるためには最低でも父方或いは母方の母国語(例えば日本語)を完全にマスターしてないと無理でしょう。更に両親に教養があり日常的に家族でトピックスなどをバイリンガルに会話することも必要でしょうがどちらかが内容についていけなくなるのでは。滝川クリステルでさえもフランス語はぎこちに聞こえますが日本語(母が日本人の為)はまず問題ありませんがお父さんはパン屋さんの職人で難しいフランス語は無理でしょうから教えれないでしょう。タレントのクリスティーネ春香がいるが母方がスイス人、父方は日本人で確か日本で言う高校1−2年までスイスで育っていますが日常会話のバイリンガルは日本語とドイツ語(スイスドイツ語)だけでフランス語、英語堪能とテロップが流れるが誰もネイティブの人が確認してないので学校で教わったぐらいのレベルでしょう。

    • スイス、フランス語圏滞在でドイツ語を母国語としている配偶者と3人の子育てしています。私たち夫婦は普段家では英語で会話をしますが、こどもは日本語とドイツ語を母国語として3歳ぐらいまではバイリンガルでした。保育所に行くようになった年からはフランス語は自然に話し始めました。小学校からは国際学校で授業はすべて英語ですので10歳になった長女は4ヶ国語を普通にしゃべります。フランス語とドイツ語はスイスの国語ですので必須で、今年からラテン語を習っています。これは特に特別なことではなく周りの子供たちも最低でも2カ国、3ヶ国語はしゃべっています。うちに来ている〔高等学校へは行ったことの無い)ポルトガル人のお手伝いさんの子供もポルトガル語、仏語、独語と3ヶ国語できます。逆に1っ科国語しかしゃべれない子供は稀だと思います。

  2. バイリンガルになるのは、いいことばかりではないのです。
    同時に複数の言語で思考を処理するので、各言語同士の概念の違いに戸惑う事で、言葉の発達が遅くなったり、思春期の入り口(大体言語臨界期と重なる頃)で、言葉がでなくなっちゃう子も少なくないんです。

    西欧言語同士だと、元のルーツが似ていたり、文化的につながりが深いので、日常生活でぶつかる事が多いので、お互いに習得しやすいのですが、義務教育でも必修だしね。
    ただ、アジアの言葉(特に日本語のように孤立語)と西洋言語や、アフリカや中東の言葉と西洋語だと、
    バイリンガルであることに、非常に苦労する人も多いそうです。

    後は、日本だと子供のころからすべての言葉を同じレベルで話せる=バイリンガルやマルチリンガルだと思い込む(思い込みたいのか?)人がなぜか多いのですが、
    ヨーロッパだと、母語とのレベルの差があっても、日常会話レベルや仕事で使える中級程度でも充分バイリンガルだし、マルチリンガルなんですよ。別にすべての言語が平均的でなくてもいいんですよ苦笑
    ソースはスイスとベルギー、オランダの南、ドイツのオランダとの国境地帯と地中海です。

  3. 言葉の数だけ世界が広がる。
    他の国の言語には日本語には直訳できない言葉や表現があるのでそれらを知るだけでもだいぶ考え方に幅ができそうですね。

    私は過去に少しだけロシア語を勉強してみたのですがあまりの難しさに投げ出してしまいました。
    また挑戦してみます。

  4. 世界が広がる事で視野や世界がひろがることもありますが、文化のはざまに挟まれ、苦しい思いをする人もいるということをもっといろいろなひとにしってほしい。

  5. 文化的に似通ってると混乱少ないけど、全く違う文化の言葉だと超混乱するし、ふあんていになるよ。とあるマルチリンガルより。

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