日本にもあったらいいな!フランス産後ぺリネケアのすごいところ4つ

みなさんは「ペリネ」が何か知っていますか?

ぺリネとは骨盤底筋群のことで、骨盤の最下部にある恥骨と尾骨の間をハンモックのようにつないでいる部分です。子宮や膀胱といった内臓をしたから支えている大事な筋肉で、女性の場合、ペリネには尿道・膣・肛門の3つの穴が開いています。これが出産でのいきみによって過度の圧力が加わると、ハンモックが下に下がり、骨盤内にある臓器が下に向って押し出されてしまいます。ぺリネがダメージを受けたまま放っておくと、40代50代になってから尿漏れ、ガス・便漏れ、子宮脱、女性性機能への悪影響といった問題を引き起こすことになります。


ちなみに、ユニ・チャームが調べた2011年度の尿もれ発症率調査よると、日本人女性の4割以上(43.8%)が尿漏れを経験しており、実に3人に1人30代前半までに発症しているそうです。

日本にもあったらいいな!フランス産後ぺリネケアのすごいところ4つ

欧米諸国では、「骨盤底筋は女性にとって大事な部分」という考えが社会的にも広く周知されています。その中でもとりわけ意識が高いのがフランス。フランスでは「母乳育児よりもぺリネケア!」といった感じで、ぺリネケアの重要性が周知されています。

そこで今回は、実際にフランスで産後にぺリネのリハビリを受けた筆者が「これはいいな!」と思った点を4つ紹介します。あなたはフランスのペリネケア方法についてどう思われますか。

1保険でほぼ100%カバーされる

フランスで出産をすると、産後の検診で産婦人科医から「ペリネのリハビリ」の処方箋をだされ、それを持ってペリネのリハビリを専門とする運動療法士(キネ)や助産師のところへ行きます。産後6週間から一回30分程度のリハビリが全部で15回行われますが、費用は全て保険でカバーされます。

実費がかからないという点が、フランス人女性のペリネケアに対する意識を高めているのは言うまでもありません。すでに産前の母親学級でペリネについての啓発がなされており、産後にはペリネのリハビリに行くものと妊娠中の女性にも周知されています。もし医療費が実費だったなら、産後の忙しい時期に面倒な通院を勧めることはなかなか難しいのではないかと思います。日本では予防医療は健康保険でカバーされないのに対し、フランスではペリネケアのような予防医療も保険適応されるのです。

本当に国民の健康を第一に考えるのなら、「問題があったらお金は出すよ」というスタンスの国民保険ではなく、病気になるのを未然に防ぐ予防医学も保険でカバーされるべきなのではないでしょうか。

2コンピューターに合わせて


それでは、ペリネのリハビリとはどんなことをするのでしょうか。それは簡単に言うと、呼吸に合わせてペリネをきゅっと引き上げる体操のようなものです。簡単なように聞こえますが、産後はペリネ全体がゆるく下に下がっているので、キュッと上に引き上げると言われても、これが案外自分で実感できなかったりします。

フランスのリハビリでは、コンピューターとつないだ器具を膣内に挿入し、パソコンのグラフに合わせてキュッと引き締めていきます。こういった婦人科検診というと、検診台の上で股を広げて…というのが女性にとっては非常に憂鬱なのですが、このペリネのリハビリでは自分一人で準備ができ、スカートやズボンを穿いたままで済みます。女性のデリケートな部分を扱うリハビリなのに、恥ずかしい格好にならなくて済むよう配慮されているところがありがたいなと思いました。

3効果を実感できる

出産前からフランスではペリネケアを重要視していることは知っていましたが、個人的には「本当にそれってやる意味あるの?」と半信半疑でした。しかし、通院が10回目を越えるあたりから次第に効果を実感し始め、今では本当に通院し続けて良かったなぁと思います。ゆるく垂れ下がっていた骨盤底筋が鍛えられ、上にキュッと引き上がっていくのがわかるようになりました。

通院しない日も一日30回の引き上げ体操の宿題が出され、通院が終わってからも産後6カ月までは体操を続けるように指導されます。妊娠して大きくなったお腹を約1年間支え続け、さらには出産で思いっきり腹圧をかけられたぺリネはボロボロです。このボロボロになってしまった筋肉を元に戻すのにはそれなりの時間と労力がかかります。ぺリネケアをしてみて実際に効果が出始めたころに、「あぁ~なるほど、確かに必要なケアだ」とその意味がわかると思います。

4通院の意義

しかし、このリハビリ、ひとつだけ難点が…。それは、すごーく「大変」という点。

慣れない子育てに四苦八苦しながら、生後間もない赤ちゃんを連れて、週に2回予約した時間に遅れずに通院する…というのがどんなに大変なことなのかは出産の経験がある女性はわかるのではないでしょうか。赤ちゃんのことで一生懸命で、自分のことなんてどうでもいい!となっているこの時期に、自分の体の見えないところの「よくわからない不調」に時間を割いてられない!と思ってしまうのが普通だと思います。実際に、筆者もリハビリ中も赤ちゃんが隣でギャアギャア泣き出して集中できなかったりで、とにかくまぁ大変でした。

ただ、だからこそ「通院」に意味があるのだと思いました。寝ても覚めても赤ちゃんのことばかりになりがちな産後だからこそ、自分の体をケアする時間をもつというのに意義がある。子育てしながら、自分の心と体を大切にすることで、精神的にもバランスを保つことに繋がります。ともすれば自分一人でもできるペリネケアをわざわざ専門家に見てもらうからこそ、自分の体を労わろうという強い意思が生れるのだと思いました。

おわりに

というわけで、個人的には大満足のフランスでのペリネケアでした。日本でこれに値するケアといえば、「骨盤矯正」なんですかね?フランスのペリネケアも、日本では「ガスケアプローチ」という名で知られてきているようです。

しかし、担当の運動療法士に聞いたところによると、このペリネケアは第二子以降の産後に行うのはかなり難しいそうです。小さい子を2人連れてリハビリというのは限界があるとか(出産のたびにケアするのが基本)。

日本でも同じようにペリネケアを保険カバーで通院できるようになればいいなとは思いますが、でも自分一人でできないことではありません。携帯のアプリでもリハビリを助けてくれるものもありますし、意志を持って毎日続ければ日本にいてもフランスにいても、効果は変わらないと思います。産後で体がボロボロ、子育てでヘトヘトになってしまうこの時期だからこそ、自分の体を労わりましょう。

 

 


2 コメント

  1. 最後のところで笑ってしまいました。
    確かにそれは大変でしたね、週2回予約時間通りに赤ちゃん連れて、、想像しただけでも大変だ、、
    私は帝王切開だったのでおそらく普通分娩(無痛でしたっけ?)よりはダメージないと思いますが、それでも産後ちょっと違いは感じています。
    尿もれか、、やだな。。産後ヨガのDVDには骨盤底筋エクササイズついていましたが、保険でカバーされてケア出来るのは素敵ですね!

    ところで、フランス人は産後数日で仕事に復帰するみたいな記事を読んだことがありますが、やっぱりその傾向はあるのでしょうか?
    日本だと、いまだに3歳神話みたいなのありますが、、フランスだとその辺はどうなのか知りたいです。

  2. ドイツはすべての産婦に、産後2週間毎日、助産婦さんが訪問するシステムがあります。
    オランダは助産婦さん発祥の国だそうで、助産婦さんのレベルや医療知識など非常に高いです。
    両国ともお母さんと赤ちゃん向けのヨガや、ベビーマッサージなど、無料や低額で受けられます。
    フィンランドは出産準備ボックスが、数十年前から全ての妊婦に配布されています。(外国人含む)。

    日本は母子手帳という素晴らしい制度があるのですが、なぜか出産は病気じゃないということで、
    保険でカバーされないという謎のシステムになっています。
    出産一時金が出たとしても、市町村によっては、一時金が地方自治体から直接支払われることがないので、
    やはり出産に備えての金銭的負担はまだまだ大きいです。少子化だというのに、、、。

    そして、異常出産や和通分娩の場合、子どもを産む人が差額をお金を払わなければなりませんから、
    出産における個々の選択肢が尊重されているとは、言えません。

    和通分娩に対する批判は、痛い思いをしてこと、一人前というのは実は建前で、
    実際は私はお金が無くて、痛みを我慢して出産したのに!という女性たちの悲痛な叫びのあらわれだと、
    私は感じています。

    西欧の精度が全て素晴らしくて日本より進んでいるとは思いませんが、もっともっと見習うところは多いと思います。

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