日本の新幹線とフランスのTGVでは信頼のレベルが違う!4つの理由

以前書いた記事『フランスの郵便局って何なの?バカなの?ひどすぎる郵便事情5パターン』では、フランスのあまりにひどい郵便サービスの実態について触れたが、他にもフランスにはひどいサービスがある。その一つがSNCF(フランス国有鉄道)だ。

なんでもフランスの「元国営だったサービス」は労働組合が物凄いパワーを持っているそうで、労働者の怠慢のしわ寄せを利用者が支払うようになっている…という話をフランス人から何度か聞いたことがある。日本のJRもその昔は「国鉄」だったが、同じ「元国営企業」でもサービスの良さや従業員教育の違いなどは比較にならない。何といっても、「時間の正確さ」が桁違いなのだ。


そこで今回は、フランスと日本の鉄道会社の文化の違いを探るべく、「日本の新幹線がいかに時間に正確で素晴らしいか」を説明したフランスの記事を紹介しようと思う。また、これまで何度もフランス国鉄のTGVを利用した筆者の気づきも加えておく。これを読めば、日本の新幹線は信頼のレベルが桁違いだということがわかるだろう。

※ TGVとは…
フランス国有鉄道(SNCF)が運行する高速鉄道。日本で言うところの新幹線。TGVとは、フランス語の「Train à Grande Vitesse」の略。最高速度は320km/hで世界の高速鉄道輸出競争では、日本の新幹線の強力なライバルでもある。

なぜ日本の新幹線は世界一時間に厳しいのか?フランス国鉄との違い
フランス国鉄の新幹線、TGV

1いつから「遅延」になるかが違う

フランスのTGVと日本の新幹線では、そもそもいつから「遅れ」になるのか、その定義自体が違う。フランス国鉄のTGVの場合、1時間半の路線では5分遅れても「定刻通り」と見なされる。3時間の路線では15分以上遅れないと「遅延」扱いにはされない

これが日本の新幹線の場合は、1秒でも遅れたら「遅れ」とされる。1分以上遅れたら車掌さんが謝るが、一分違わず正確に運行する鉄道は今のところ世界でも稀らしい。

筆者は日本の電車に乗っているときに、「本日、この列車は○○駅を出発した時点では3分遅れでしたが、終点の○△駅では定刻通り到着することができました。乗車の皆様のご協力ありがとうございました。」という車内アナウンスを聞いたことがある。本当に日本の列車は時間に正確だ。

2「遅延」の頻度が違う

電車の遅れ自体も日本ではとても珍しい。遅刻常習犯のフランス国鉄では、先月1カ月間で、定刻から遅れたTGVは全体の17%平均遅延時間は約30分だ。


日本の場合、遅延した新幹線は全体のたった0,3%。しかも、全列車年間の平均遅れ時間はなんと…6秒!なんて正確に動く列車なんだろう。

フランス在住の筆者は、TGVに乗る時は「30分は遅れるもの」と見込んで乗るようにしている。特に繁忙期は大幅に遅れることも珍しくないため、感覚的には「30分くらいの遅れで済んだらまだいいほう」といった感じだ。

3なぜここまで時間に正確に運航できるのか

日本の新幹線がここまで時間に正確に運航できるのにはいくつかの理由がある。まずひとつは、鉄道車両自体をフランス国鉄よりも定期的にモデルチェンジするため、より近代的で性能がいいから。また、日本は地震が多いため、電車線路設備の耐震対策がしっかりとされている点もフランスの国鉄とは違う。

さらに、運転手の他に車掌が数人同乗しており、駅のプラットホームにも待機している。車掌が手や笛で合図して列車の停止をしたり、旅客用の扉を閉め、車両とホームの安全を確認した後、運転士に対して出発合図を送るなど、乗客のスムーズな乗車安全な発着に一役買っている。

素晴らしいのは車両や車掌だけではない。プラットホームで電車を待つ乗客たちも2列にきれいに整列し、電車が停止すると同時に遅れることなく乗車できるようになっているのだ。

4駅、電光掲示板にも違いがある

乗客のスムーズな乗車という点では、フランス国鉄の場合、駅や電光掲示板などの設備自体にも問題がある。

例えば、出発30分くらい前に駅に到着したとしよう。まず電光掲示板で乗り場を確認するが、ほとんどの場合が乗車30分前でも何番乗り場なのか決定していない。そのためいつも乗り場を確認するための電光掲示板の前ではたくさんの人で溢れかえり、表示されるのを今か今かと待っている。出発15分前くらいになってやっと乗り場番号が表示されるが、ここから急いで乗車口まで移動しなければならない。大勢の乗客の大移動が始まるのだ。

そしてこれが異様に長い。駅によって違いはあるが、例えばパリのリヨン駅の場合、列車の頭から歩いて自分の席の号車までプラットホームを移動しなければならない。席が12号車なんかにあったりすると、大きな荷物やスーツケースをガラガラひいて、結構長い距離を歩くことになる。歩きたばこをする人や子供連れなど、色んな人が一斉に自分の席を目指して大移動する。

また、日本の列車と同じように1号車から順番どおりになっているとは限らない。号車番号が順不同であったり、3桁の号車番号で始まる場合があるので非常にややこしい。

このように駅自体の構造や、出発ギリギリまで乗り場が電光掲示板に表示されないなど、どう頑張っても「遅れ」が出てしまうようなシステムになっていることにも問題がある。日本の新幹線がこんなにも「乗客のスムーズな乗車」に力を入れているのに、フランスはその点の努力をしようとしているようにははっきりいって思えない。ここらへんが、「少しなら遅れても平気だよね!」といったルーズなフランス人の暗黙の了解に繋がっているのではないかと思う。

 

結論:
やっぱり日本の列車は素晴らしかった。

参照記事:francetvinfo.fr


11 コメント

  1. 新幹線はより早く目的地に到着するために、速いスピードと正確なマネジメントで出来上がっています。それは誰のためでもなく乗客のためです。でも、フランスのTGVはただ速いだけで、乗客のために正確な時間に目的地に到着する。という根本的な考えが無いのではないでしょうか。目的地に早く到着したいのは、乗客の勝手な考えで、鉄道会社は速いスピードで輸送するだけ。という考えなんじゃないですか。個人主義の考えが強いと、自分の持ち場、相手の持ち場がはっきりとしているので自然とこういう社会システムが成り立つのでないでしょうか。

  2. フランスの鉄道が民営化されれば多少改善するかもしれないが逆にストライキが多くなるだろう。遅延はフランスの文化で普通と思っていれば問題ないと思う。取り敢えず改善してもらいたいのは駅構内が暗いのでもっと蛍光灯orLEDで明るくすることだね。主要駅の発着のホーム変更は上野駅と同じ構造なので大改築しないと無理だろう。日本なら発着ホームの情報は直前でもスマートフォンで見れるがどうかな。その様な事をしていると置引やスリの危険性もあり要注意かも。ちなみに東海道新幹線は深夜数千人でメンテナンスしているようだ。

  3. これは勉強になりました。西欧全体の駅のつくりやシステムがが似ているので、共感できたな。
    私は福知山線事件の原因の一部になった日本の異常なまでの公共機関への期待と、せからしさ、多すぎるアナウンスが嫌いです。
    それでも新幹線は世界一だと思う。ICもECも快速適度だと思ってしまう~。いつかは夢だったTGVに乗ってみたいです。

  4. 多すぎるアナウンス⇒ 同感です。自動アナウンスがあるのに重複して車掌がアナウンスします。しかも車掌によって統一されていなく個人差があります。欧州の場合、長距離では音量を低くしており補足的に遅延があるとか接続の案内があります。快適さではまだ欧州の鉄道の方が上でしょう。異なる点は車内が冷たいオフィスのような日本とおちついたカラフルのインテリアと柔らかい照明です。更に構造が頑丈に作られており静寂さが保たれて多分、台車から直接振動や騒音が発生しない構造と考えられます。JR各社は知っていると思いますがなるべくコストをかけないようにしているはずです。テレビでイギリスの日立製車両の騒音にクレームがついて改良した事が伝えられていました。普通車(2等車)の座席も長時間座っていても疲れません。もう一つは駅弁の習慣がなく、車内は極めて臭いがしません。更にサイレントコンパートメントがありスマホや音漏れのする携帯型のイヤホンの使用も禁じられている車両もありますね。多分、注意を受けたらやかましい中国本土の団体客や家族には耐えがたいかも知れません。
    レールもローカル線も含めて殆どロングレール化しており静寂で大陸の地盤が安定しているので地震国の日本と違いバラスト(砕石)も多いように見え横揺れは少ないですね。このようなプラスの面がたくさんあるので後は運行ソフトを少しでも日本を見習うべきでしょうがプライドもあり難しいかも知れません。市街地を通り過ぎるとけばけばしい広告もなく人家の少ない一面の畑(これからは菜の花畑や麦畑)やぶどう畑の緑濃い車窓を長めながらの旅は心が落ち着きます。
    ちなみにTGVの車両幅は新幹線よりも30-40cmぐらい狭く窮屈に感じます。余裕をもってユーレイルパスを使用すれば各国自慢の鉄道を楽しむことが出来ますがホームが低いので大きなスーツケースの場合は少し大変です。

    • おとうさんさん>私はあこがれのTGVにのったことがないので、とても参考になりました。
      新幹線もいにしえの昔の私です。ドイツには最近更にサイレントコンパートメントが導入されたそうなのですが、
      フランスもなのですか?もっと教えてください。ビジネスで利用する方や、静かに物思いにふけりりたい人にはぴったりだと思います。ヨーロッパの良さは色々なニーズへの選択肢がある、静か、痴漢も冤罪もないし、
      満員電車でも日本ほどイライラしている人が少ないことだと思います(各個人は別です)でも、問題は遅い(笑)事だと思います。インターシティーのゆっくりなこと!車窓がキレイなのでそれもまた乙ですけどね。

  5. 最近のTGVはよくわかりませんがHPでは携帯使用については他人に迷惑がかからないようにと書いています。中国人グループと同じ車両にいたことがありますがうるさかったですね。体制の異なる台湾の旅行者は静かですが台湾で何故か尋ねたところ文化の違いという返事が返って来ました。ファーストに乗れば基本的に静かです。4-5時間の移動であればゆっくりと間接照明のダイニングカーで過ごすのも楽しみでしょう。或いは安全が確保されているシャワー付国際個室寝台車も選択肢でしょう。糊のきいたシーツは気持ちがいいですね。但し到着後はスリとか盗難に注意しなければならないのが日本と異なる点。オペラとかコンサートを組み合わせたら最高でしょう。

  6. おとうさんさん>お忙しい中ありがとうございます。
    確かに台湾人と中国人観光客、個人はそうでもないのに、集団になると騒がしい場合もあるかもしれませんね。
    あとはこれは私の経験からだけど、バカンスシーズンのイタリア人もやたらハイパーで煩い人が多いような。
    寝台車とオペラやコンサートは私には無理なのですが、寝台車に乗るのは夢です。

  7. 同じ中国人でも台湾の方は明らかに違います。言語の関係から普通にイタリア語で会話しているのを聴くとうるさく感じるかも知れません。しかし、音楽的で愛のささやきやカンツィオーネを聴いていると情熱的であることも確か。当たり前の列車の遅れなどを気にせずコンパートメントや寝台車で車窓の情景に合わせてハイレゾのクラシックを音漏れのないように聴きながら旅を楽しむこともよいでしょう。その際はスマホの電源を切っていたほうが良いでしょうが依存症になってしまった日本人は無理かも。列車内のアナウンスは音声を変調しているので聞きやすいのも確か。どちらかと言うと新幹線内に近い。通勤電車のアナウンスは最悪です。ちなみにTGVの開発は日本の新幹線を研究していました。

    • 完全にスレ違いだとは思いますが、不特定多数の人の目に触れるという意味で公共空間だと思うので一言。公の場で発言する前にもう少し歴史と現状を勉強して下さい。現在、どれだけの台湾人が自分のことを中国人だと認識しているか、ネットでちょっと調べればすぐにわかることです(さらには台湾人が中国人だと勘違いされることについてどう感じているかも)。あなたに悪気がないのはわかりますが、「同じ中国人でも」とネット上で書き込むだけで、中国共産党の思想宣伝の手伝いをしているということをどうか認識して下さい。

      • Arythurさん、同意です。
        台湾の人の中国人への心情はとても複雑なものがあります。台湾の方で、中国共産党に先祖代々恨みを持っている人は、本当に大勢います。それは第三国に移住しても連鎖があります。
        なんといっても、自分の国がなくなる危機に常にさらされているんですから。
        中国と台湾は、似た文化圏にあるけどメンタリティや、方言も違うし、長年の遺恨もあります。同じではないですよね。

  8. おとうさんさん>イタリア語は確かにそうかも。メロディアスで情熱的で、私的ですよね。
    イタリア人のバイオリニストさんの演奏を聴くと、その抒情性に魂をうばわれます。
    中国語もピンインがあるので、甲高く聞こえる事もあるのかもしれません。うるさいという人もいるけど、私は音楽的で好きです(読みも直情的で分かり易い)。
    ドイツやオランダなどを往復していたことがあり、電車のいきなりの運航停止や、駅での通行止めなど
    なれているので(苦笑)、日本の電車の正確さにいつも驚いています。でも、駅員さんは待ってくれるし、
    丁寧だと思います。ドイツのICの車掌さんはキツいですね。
    私は、車窓をみたり乗り合わせた人と話す事が好きなので、いつかののどかな車窓をみつつ、古い友人たちが住むフランスやスイスの田舎町をのんびりたずねてみたいですね。

    TGVは日本の新幹線からヒントを得たというのも聞いたことがあります。でも、運転がちょっと怖い苦笑

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